第66話 襲撃⑰

茂みに飛び込んでヘリコプターから俺たちの姿を見ることはできなくなったからといって安心はできない。おそらくこのあたりだろうという推測でミサイルが撃たれる可能性がある。


俺と弓削さんはできるだけその場から離れるようにして走っていく。ヘリコプターから俺たちのことを見えているとは思わないが万が一赤外線センサーなんかを持っていたら俺たちのやっていることなんてまるわかりだ。もしそんなことがあったらおとなしくあきらめよう。


ただ俺たちの懸念は外れたらしい。時折ヘリコプターから何かを発射する音と爆発音が聞こえてくるがそれは俺たちのところに向けられたものではない。俺たちはそのままある程度離れたところまで逃げ切ることができた。


ただ途中で聞こえてきた爆発音はおそらく後続の集団に向けて撃たれたミサイルが爆発した音だろう。後続には相当の被害が出ていてもおかしくない。


『こちら、弓削。そちらの被害は?』


『被害は甚大。非戦闘員の数人が死亡。怪我をしたものも多数』


やはりさっきの爆発音は後続に向けて撃たれたミサイルのものだったらしい。俺たちは少人数だし訓練も受けていたので隠れることができたがそんなこと訓練されていない非戦闘員たちや一般の警官たちは咄嗟のことに反応できないだろう。やはり被害は出てしまったらしい。


『…わかった。そちらに援護に向かう』


『助かる』


『それで隊長はどうしたんだ?』


『九条隊長は、負傷した。ただ命にかかわるようなものじゃない。今は応急処置中だ』


『わかった』


「剣持、合流するぞ。隊長が負傷した」


「っ、、、了解です」


非戦闘員である隊長にミサイルを咄嗟にかわすというのは確かに厳しいだろう。治安部隊パブリックオーダーの隊長とはいえまだ13歳。まだまだ身体能力は子供だ。


「菖蒲さんたちは大丈夫なんですか?」


「死傷者が多数出ているらしいが、他は何も言われていない」


弓削さんの報告を聞いて少し安心しながらも俺たちは急いで後続がいるであろう森に向かう。


後続がいる場所に向かうとそこはひどいことになっていた。目に見えるものの半分ほどがけがをしたようで地面に座っており残りの無傷だった者たちがその者たちの応急処置をあわただしくしている。


さらに少し離れたところには小さなクレーターも確認できる。おそらく逃げたところにミサイルを撃ち込まれてそれを回避しきれなかったんだろう。怪我をしているものの近くで無事の隊員に指示をしている菖蒲さんも見える。


「菖蒲!状況は?」


「正直最悪だよ。10人は少なくとも死んだし残った人たちの中でも半分はけがをした。それも重症者が多い」


「隊長は?」


「隊長は、ぎりぎり大丈夫だと思う。少しミサイルが着弾した場所から離れていたし怪我もあんまり大きいほうじゃない。でも今は気を失ってる」


「わかった。残りの2人も大丈夫なんだろう?」


「うん。2人は私たちの集団から少し離れたところにいたからね」




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皆さんあけましておめでとうございます!今年も多くの作品を書いていこうと思うのでよろしくお願いします。



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