第64話 襲撃⑮
敵の司令部を潰してから俺と弓削さんはさらに進んでいく。さっき司令部にいた敵は外部に連絡する前に全員潰しきれたと思うからまだ敵は俺たちがここまで進んでいることに気づいていないだろう。それにこの先には多分敵もいないはずだからここからは完全な鬼ごっこになる。
「剣持、どうやら後続が捕まったみたいだぞ」
俺が弓削さんにそういわれてそう後ろを見ると瀬霜さんと蒼葉君が銃を撃ちながら非戦闘員たちをせかしているのが見えた。まだ俺たちからだと敵の姿は確認できないがもう交戦距離に入ってきているということだろう。
「弓削さん、俺たちも後ろ側に応援行ったほうがいいですかね?」
「…まだ大丈夫だろう。少なくとも隊長から何か指示があるまでは大丈夫なはずだ」
後ろのことを気にかけながらも俺たちは先に進んでいく。多分さっきの司令部が置いてあったところで敵は挟み撃ちにするつもりだろうがそこはもう潰してある。瀬霜さんたちならそのすきを逃さないだろう。
ここからふもとまでまだまだある。俺たちに求められているのはここからふもとまでのガイド。まずは自分の任務に集中していこう。
少し開けていたところからまた草がうっそうと生い茂っているところを進んでいく。完全に道なき道を進んでいくが俺たちの進軍スピードは変わらない。あくまで俺たちは警察だが訓練としてはまるで自衛隊のような訓練を通り抜けてきている。このような山道だってお手の物だ。まさか実戦で使うことがあるとは思っていなかったが。
「弓削さん、そろそろ半分です」
「わかった。後ろのほうでは散発的に戦闘が起きているがまだ脱落者は出ていないらしい。このペースでこのまま逃げ切るぞ」
ここまでとても順調だ。なんなら順調すぎるといってもいいかもしれない。敵の包囲網を突破する時だって今の追撃されている時だって予想よりも敵の戦力が圧倒的に少ない。施設周辺にはもうオペレーターを残してないので敵の包囲網の中でどうなっているのかは知らないがもしかしたら彼らがうまく引き付けている、もしくは殲滅しているのかもしれない。もしそうだとするのなら最高だ。
「剣持、油断はするなよ。ここまでとても順調に来ているがまだわからない」
「わかっています」
そういう弓削さんの顔はどこか影があった。
それから少し進んでいくと今度は道路に当たった。どうやら俺たちが来るときに使っていた道路まで下ってこれたみたいだ。
「弓削さん、これからは道に沿って降りていきますか?それとも山のほうを降りていきます?」
「…道のほうにしよう。非戦闘員たちにこれ以上山道を歩かせるのはおそらく不可能だ」
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