第63話 襲撃⑭

ここからの俺たちの仕事はできるだけスムーズに非戦闘員たちが行動できるようになるべき歩きやすくて短い道のりを先導していくことだ。なんなら俺たちの仕事はもう半分以上終わっているといっても過言ではないだろう。これから大変なのは俺たちじゃなくて後ろの護衛に回っている蒼葉君と瀬霜さんたちだ。


『ここからはスピードを上げていくよ。先頭の2人はできるだけ敵が居なさそうで進みやすいところを進んでいってね。まだ後ろから追撃を受けているっていう情報は入ってきてないけどいつ敵が来てもおかしくないからできるだけ急いで』


弓削さんと俺はそれを聞いて進むペースを上げていく。後ろに見えている集団も俺たちのスピードについて来ようと頑張っているようだが、だんだんと離れていってしまう。


「弓削さん、少しスピード落としましょう。後続との距離が離れすぎてます」


「わかった。おそらく近くに敵がいるぞ。回避はできない」


「了解です」


俺にはまだわからないがどうやら弓削さんは近くに敵がいることを感じ取ったらしい。これが経験の差ってやつか。


後続に合わせて少しスピードを落としてさらに周りを警戒しながら進んでいく。


そのまま進んでいくと目の前に少し開けているところが見えてくる。そこにはテントが張ってあってどうやら敵の指令拠点の一つになっているようだ。見たところあまり敵戦闘員がいる感じもしない。これなら2人だけでも攻め落とせるだろう。それにここを直進するか避けて通るかでだいぶ、ふもとへの距離が変わってくる。


手始めに一人で行動していた数人の敵兵をサイレンサー付きのピストルで殺してから敵のテント近くで歩哨をしている2人組を弓削さんと同時にステルスキルする。これでテントの周辺に展開していた敵部隊は片づけきれた。


それから俺たちはテントの中に入っていく。テントの中にはおそらく非戦闘員であろうオペレーターが数人と司令官のような人物、それに大量のモニターがあった。


俺たちがテントの中に入ると中にいたオペレーターたちと司令官のような人物はこっちを見て固まる。俺たちはそのすきに固まっているオペレーターたちを殺害していく。中には腰につけてある拳銃を取り出そうとする者もいたが俺たちがそれを撃たせるわけもなく崩れ落ちていった。


最後に残った司令官のような人物は急いで肩につけてあるパニックボタンのようなものを押そうとするが弓削さんに頭を撃ち抜かれてそのまま動かなくなっていた。


俺たちが非戦闘員まで殺害したことを非難するような奴らもいるだろうが、ここで彼らを生かしておく意味がない。もしここで起きたことをほかの部隊に伝えられると面倒だしそもそも俺たちにあいつらを生かしておくメリットがない。ここはあくまでも戦場なのだ。

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