第62話 襲撃⑬
警官側が押しているとはいえ突破しているわけじゃない。いまだに俺たちは敵の網の中にいるわけだ。だんだんと銃声が近くなってくる。なんならすでに斥候として前にいる警官たちは散発的な戦闘に巻き込まれているらしい。そろそろ俺たちのところにも敵が回ってくるだろう。
『突破されました!すでに3名がダウン!』
『了解。斥候としての任務は終了だ。撤退戦をしてくれ』
…どうやら斥候の警官隊が突破されたらしい。俺が聞いたところによると斥候は全部で6人だったはずだ。すでに半数がやられているということを考えると残りの3人が生きて帰ってくる可能性は少ないだろう。
「全員、戦闘態勢になって。そろそろ接敵するよ。弓削さんと剣持さんは前方を、蒼葉と瀬霜さんは後方で非戦闘員を守って」
隊長の合図に合わせて警官たちがあわただしく動き出す。非戦闘員のオペレーターといえど一応警察官なので銃撃の訓練は受けているし銃も携帯している。非戦闘員も含めて全員がホルスターから銃を出していつでも撃てるようにする。
俺は弓削さんと一緒に部隊の一番先頭で銃を構える。もちろんその場で止まって迎撃をしている時間なんてないので前に少しずつ進みながらだ。
敵の死体を横目に見ながら進んでいくと前の草むらが揺れて敵が現れる。
俺がそいつを撃とうと銃を構えるとすでにそいつは弓削さんに頭を撃ち抜かれていた。さすが
「一人殺った。先に進むぞ」
「了解」
一人始末してから先に進んでいくとその途中で数人の敵と出会ったがあった瞬間には俺と弓削さんに撃ち抜かれてそのまま何も起こすことなく死んでいくので部隊には何も支障が出ていない。
敵を数人始末してから草むらの中を進んでいくと数人の警官の死体があった。全員が体のあちこちを撃たれていて大量の血を流している。おそらく斥候として俺たちの安全を確保してくれていた者たちだろう。俺は少しの間立ち止まって手を合わせてから進む。ただ彼らの死体があったということはここを突破した敵はすでに全員始末しきったということだ。まず第一の関門はクリアだろう。
『斥候の死体を確認した。おそらくオールクリア』
『了解。こちらも数人の負傷者は出たけどカバーできる範囲』
本隊のほうでもどうやら戦闘があったらしいがそれでも死亡したものは一人もいないそうだ。まぁ、あっちには蒼葉君と瀬霜さんがいるからな。そりゃそうだろう。
ただまだこれは始まったばかり。ここからは地獄の追いかけっこが始まる。おそらく敵の部隊にもここが突破されたということはじきに伝わっていくだろう。それならば確実に追ってくる。
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