第58話 襲撃⑨

弓削さんに言われたとおりに東側に向けて歩いていくが、戦闘を近くでしている気配というものは全く感じない。もちろんさっき会った警官が言っていた通り銃声というのは時々聞こえてくるがこれは戦闘している音とは少し違うような感じがする。


それにどこか緊迫しているような空気もこの先からは感じないし、どうもおかしい。


そこから少し進んでいくと何人かの敵と思われる死体が転がっていた。どれも頭をリボルバーで一撃で撃ち抜かれている。どうやらこちら側の警官にはなかなかの腕前の持ち主がいるらしい。それなのにここから先で戦闘をしている気配がないということはもしかしたらこれをやった警官がすべて掃討しきったということなのかもしれない。


そこからまた少し歩いていくと近くから銃声が突然聞こえる。


俺は銃声が聞こえた瞬間にその場に伏せて数秒そのままでいるが誰かがこちらを狙っているといった感覚を覚えることはない。恐る恐る銃声が聞こえてきたとところを確認すると木にもたれかかっている警官の頭に対して警官の制服をしている何者かが銃を突き付けているところだった。


俺は急いで肩にかけていたライフルを構えると警官に銃を頭に突き付けている男の頭に照準を合わせる。そしてそのままトリガーを引く。銃から飛び出た弾丸はそのまままっすぐに銃を突き付けている男の頭に向かっていきそいつの頭を貫いて後ろにある木に突き刺さった。


銃を突き付けていた警官が倒れると木にもたれかかっていた警官がゆっくりとした動きでこちらを見てリボルバーを震える手で構える。


治安部隊パブリックオーダーだ。大丈夫か?」


俺がその男に駆け寄るとその男は安心したように目を閉じるとそのまま安らかな顔で目をつぶった。


急いで脈を確認するがすでに脈がない。


「っ、、」


俺は小さく手を合わせてからその警官の警察手帳を回収すると周辺を確認する。そこには警察の服を着ている男たちが折り重なるように倒れていた。


どうやらこの警官と俺が殺した男がここに来ていた敵味方の部隊を合わせた最後の生き残りだったようだ。相当壮絶な戦いをしていたんだろう。死体の損傷具合から察するに最後は玉も尽きていて近くにあるもので殴りあっていたようだ。


彼らを弔ってやりたいがそんな時間は俺に残されていない。とにかくこれより先で戦っていると思わる味方を助けに行かないといけない。ということで俺は歩き始める。


、、、がさっき俺が殺した警官の格好をした人物のことが気になる。走って警官のところに行くと俺は胸ポケットに入っている警察手帳を回収してその場を去る。


中を今見ることはしないがどうやら手で触った感じでは偽造ではなくて本物の警察手帳のように感じる。

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