第57話 襲撃⑧

「どういうことだ?俺たちは治安部隊パブリックオーダーだが、、、」


「そうなんですね」


その警官は俺たちが治安部隊パブリックオーダーだとわかると少し安心した表情になってテーザーガンを下した。


「それでどうして俺たちが警官だと見た目で分からなかったんだ?」


「いえ、警官だということはわかったんですけど味方かどうかはわからなかったので」


「…どういうことだ?」


「…警官たちの中に敵が紛れ込んでいるんです。そこに倒れている3人も警官の格好をしている男にやられました」


「なっ、それは本当か!?」


「はい。間違いなくこの目で見ました」


「…まずいことになってるな」


「司令部に報告しておきましょうか?」


「いや、司令部には連絡を入れておかないでいいだろう。味方を疑いだしたらきりがないし、もはや収拾がつかなくなる。それにまだ未確認の情報だ。まだ正式に報告をする必要はないだろう。一応蒼葉君にだけは伝えておいてくれ」


「了解です」


『こちら剣持、蒼葉君聞こえますか?」


『聞こえているよ。それでどうしたの?』


『まだ未確認の情報なんですけどもしかしたら警官の中に敵が紛れ込んでいるかもしれません』


『…それは本当?』


『はい、まだ未確認ではあるんですけど合流した警官の証言によるとそうとのことです』


『わかったよ。司令部には伝えてないんだよね?』


『はい、余計な混乱を招かないためにまだ、司令部には伝えていません』


『わかった。それなら僕がお兄ちゃんに直接伝えておくよ。お兄ちゃんならそれに対応してくれるはずだから』


『了解です』


司令部に混乱を招かないために伝えないとは言ったがさすがに作戦立案者には伝えておかないとまずい。なので蒼葉君が隊長に直接伝えておいてくれるのはありがたい。俺たちは直接隊長とだけ連絡を取る手段は持っていないからな。


「弓削さん、連絡終わりました」


「わかった。…それで今はどういう状況なんだ?」


「それがわからないんです。周り展開していたはずの味方とはもう連絡が途絶えてしまっていますし」


「そうか、、、でもまだ突破さえているわけじゃないんだろう?」


「はい、一応まだ近くから銃声は聞こえるので突破されたわけじゃないと思うんですけど…」


「わかった。剣持はここから東方向に向かって行ってくれ。俺は西側に向かっていく。それともう弾がないんだろう?俺たちが一応持ってきたからこれを使ってくれ」


「ありがとうございます」


「もし突破されそうになったらパニックボタンを押してくれ。そうしたら本部から救援が来てくれるはずだ」


「わかりました」


「剣持も突破されたら知らせてくれ」


「了解」


弓削さんがそう言い終わり歩き始めるに合わせて俺もそれとは反対側に歩き始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る