第55話 襲撃⑥

蒼葉君がグレネードを投げるとその瞬間瀬霜さんは担いでいた機関銃を乱射し始める。もちろん反動がすごすぎて正確に狙うなんて言う芸当はできないが下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。数人の隊員が倒れていく。


その間にも俺と弓削さん、蒼葉君は一人づつ削っていく。だが、相手も訓練を受けている部隊だ。そんなに甘くはいかない。瀬霜さんと合わせて6人ほど殺した時にはもう相手は伏せてしまっていた。ただ、それは俺たちの思惑通りである。こっちが突然襲撃したせいで相手はグレネードの存在にも気づかずに地面に伏している。


グレネードが爆発すると近くに伏せていた数人の隊員の体の一部と鮮血が宙を舞う。


そして相手が動揺したその瞬間、俺たちは突っ込んでいく。動揺して連携が取れていない部隊など俺たちの敵ではない。グレネードの被害を受けていなかった隊員もすぐに全員地面に倒れる。


「こ、、殺して、、、、くれ」


地面で体の一部がはじけ飛んで苦しんでいる相手は望みどおりにとどめを刺す。どのみちあの怪我ではもう治りようがない。そんな状態の相手をいたずらに苦しませるのも少し違うだろう。


「進むよ」


そこにいた敵部隊をせん滅し終えるとすぐに俺たちは司令部に向けて移動を開始する。俺たちがこうしている間もあたりからは多くの銃声と怒号が聞こえてきている。


銃のリロードをしながら先に進んでいくとだんだんと戦闘が頻発するようになっていく。


あの敵部隊が今までで一番大きい部隊ではあるそのあとも少数の部隊とは何度も接敵している。地図上では司令部にだいぶ近くなっているというのにこんなにも敵が多いというのはだいぶ敵が司令部に浸透してきているのだろう。


戦闘しながらも急いで歩いていくと周囲を警戒している警官たちが見えてきた。


「何者だ!」


治安部隊パブリックオーダーだ!救援に来た」


「本当か!それは助かる!」


警官たちは俺たちに向けて構えていたリボルバーを下げると周囲を警戒するようにしながらこちらがいるところまで来る。


「栃木県警警備課の坂下です!」


治安部隊パブリックオーダー所属の弓削だ。それで今の状況は?」


「ここはどうにかして防衛ラインを守れていますがどうやら反対側はかなり押し込まれているようです」


「わかった。それで赤嶺さんがどこにいるか知らないか?」


「赤嶺さんですか?…少なくともこちら側では見ていません」


「…わかった。情報感謝する」


弓削さんがそう言い終わると俺たちは司令部があるであろうところに向かう。俺たちは司令部を守るためのかなめとなる部隊だ。いったん司令部に行って状況を確認してからどこに向かうのか決めたほうがいいだろう。

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