第47話 凶報⑱
突然の銃撃だったが幸いにも近くに遮蔽物があったためそれに隠れる。ただこれはある意味予想通りともいえる。1つ下の階で予想以上に相手と接敵しなかったのはここで俺たちを待ち構えているからだとも考えられるしこのように広いところのほうが人数有利を生かしやすい。
「どうする?」
「そうだねー、こっちよりも人数は多いだろうけどたかが知れているはずだし一人ずつ削っていく感じでいいんじゃない?銃撃を見た感じ一か所に固まっているわけじゃないようだし」
「わかった。…それならまず左側にいるやつらから掃討しよう。あそこまでなら遮蔽に隠れながらでも行けるだろう」
「わかった」
ということで俺たちは遮蔽物に隠れながら左側へと向かっていく。それにしても変わったパネルの配置をしている。まるで侵入者に対してあちら側に行ってくださいと言っているかのようだ。
左側について様子をうかがうと数名の隊員が通路の先に隠れているようだ。
少年と目で合図を送りあいタイミングを合わせて突撃する。
海保の職員たちはこっちが突撃することを予想していなかったのか少し慌てた様子でこちらを撃ってくる。そのすきを狙って俺と少年は隊員たちを撃ち抜いていく。
ある程度掃討したところでもう一度遮蔽物に隠れる。
俺たちがどんどん倒していっているにもかかわらず相手は増援をこっちに送り込んできている様子はない。さすがに俺たちがこちらにいるということはあちらもわかっているとは思うがどういうことなのかはわからない。俺たちとしてはこっちに隊員が集まってきたらグレネードで一掃できるし来なかったとしても各個撃破することができるのでどちらでもいいのだが少し不気味だ。
「少しまずいかもしれないね」
「なぜだ?いいように進んでいるように感じるが」
「いいように進みすぎているんだよ。僕たちは間違いなく誘い込まれたね」
少年がそういうと同時に後ろからも足音が聞こえてくる。
「ほらね。やっぱり敵は僕たちがここで立ち止まること状況を作っていたんだよ」
「そんなことができるのか?」
「パネルの位置を変えてやればできないことはないと思うよ。僕たちは実際その思惑通りに動いたわけだし。それでどうする?」
「とりあえず俺は後ろからきている敵の相手をする。そのあいだ前方の敵を動けないように引き付けておいてくれ」
「それじゃ、結局じり貧だよ」
「…俺が何とかする」
「まぁ、そういうなら任せるよ」
少年の腕前なら少ない銃弾でも敵をくぎ付けにすることは容易だろう。それよりも問題はこっちだ。任せろなんて勢いで言ったけどなんも考えなんかない。でもなんとかできるんじゃないかっていう自信のない根拠ならある。
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