第46話 凶報⑰
艦橋部に入るがとくに変わったところはない。そのまま進んでいくがそれでも何も起きない。というよりも何も起きなさすぎだ。まだあっちには部隊が残っているはずなのにどの部隊とも接敵しない。
「これはもしかして待ち伏せされているのか?」
「かもね。まぁ、僕たちにできることはただ突き進んでいくだけだよ」
「残弾数は?」
「あと30発もないかな。それが撃ち終わったら銃剣で戦うことにするよ」
「銃剣?そんなのも持ってきているのか?」
「まぁ、一応ね。最悪の場合はこれを使う予定だったから」
「それ飾りじゃなかったのか。もうちょっとましなもの選んでほしかった。そんな古の装備なんて使えないぞ」
俺はそういいながら少年が銃に取り付けている剣を指さす。
「試してみないことにはわからないでしょ?そっちの残弾数は?」
「俺はあと拳銃が10発とライフルだ」
「でも船内でそんなの使えないでしょ?」
「あぁ、あとはフラッシュバンとグレネードが一つずつだな」
「まぁそれだけあればどうにかなるんじゃないかな?逃げられたりしたらどうしようもないけど」
「そうだな」
小さな会話をしながら歩いていると前に大きな扉が見えてきた。
先ほど聞いたらどうやらハンドサインはわかるようなので俺が扉を開けるとバンドサインで伝える。俺が扉をあけてそれに続く形で少年が先に中に入っていく。扉を開けた先はだいぶ広くなっていたので遮蔽物に隠れるようにしながらライフルに持ち替えて進んでいく。
少し進むと海保職員だと思われる隊員の声が聞こえてくる。
「俺たちの役目はあくまで時間稼ぎだ。攻めていく必要はない」
「わかっている。そのための装備でここにきてるからな」
「それならいい。しかしまさか本当に陸上戦を体験することになるとはな」
「陸上戦ではないけどな。とはいえ銃を持って戦うことに変わりはない」
男たちは2人のようだ。2人が少し目を離したすきに拳銃を2人の頭に向けて放つ。
ここでなら少し時間もあると思うので2人の装備をあさってみるとどうやら俺とおんなじ拳銃を使っているようだ。ありがたくマガジンを回収させてもらう。
「先に進もう」
「わかった」
さらに先に進んでいくが誰とも会わない。さすがにあの2人だけが生き残りの隊員ではないと思うが本当に全く会わない。それにさっきの隊員たちも自分たちのことを時間稼ぎだと言っていた。間違いなくほかの部隊もいるだろうし何かを企んでいるということも間違いないだろう。
そんなことを考えながら歩いていると階段にたどり着いてしまった。これでこの階はクリアしたことになるが少し釈然としない。あまりにも手ごたえがなさすぎる。
もやもやした気持ちを抱えながら少年とともに階段を上がるとそこは広い食堂のようになっており待ち伏せていたと思われる海保職員たちから一斉に銃撃を受ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます