第32話 凶報④
瀬霜さんの切符切られるまで秒読みみたいな運動に揺られているうちに一瞬で目的地に着いた。まぁ、あれだけスピードを出せばそりゃすぐにつくよな。
路肩に車が止まってから降りるとそこには弓削さんが待っていた。
「瀬霜にしては遅かった方じゃないか?」
「そりゃ、これ以上始末書は書きたくないからね。安全運転できたよ」
「そうか。ぜひそれを続けてほしいな」
「でも、つまんなかったから帰りからは普通に運転するわ」
「…はぁ、まぁそんなことはどうでもいい。今回のミッションはここにある犯罪組織の拠点を壊滅させることだ」
「その犯罪組織っていうのは具体的にどのような組織なんですか?」
「今回の組織はレゼルという組織だ。実態としては薬物の売買から武器の密輸、ましてや人身売買までやっている相当黒い組織だ」
「めちゃくちゃやばい組織じゃないですか!こんなの俺たちだけで対応できますか?」
「すでにSATには協力要請を出しているが、来るまでは少しかかるそうだ。もたもたしていると感づかれて逃げられかもしれない。俺たちは俺たちだけで任務をやるぞ。SATには途中で後方支援として参加してもらう予定だ」
「まぁ、前回のこともあるからそうしたほうがいいね。前回も駆逐したと思っていたのに逃げられていることだし」
苦々しい顔をしながら瀬霜さんがそういう。
「前回?昔にもそのレゼルという組織とやりあったことがあるんですか?」
「あぁ、その時も組織の本部に突入したんだがトップを逃してしまったんだ。それから活動が鈍化したから解散したこと思っていたが」
「まずは組織内の粛清から初めたみたいだね。今のうちにつぶしておかないと面倒なことになるかもしれない」
「そういうことだ。とりあえず今回はトップの射殺を目標とする。今回ここにトップがいるのかどうかはわからないがおそらく大規模な拠点になっているから幹部クラスは確実にいるはずだ。交戦規定なんて気にするな。とりあえず敵が見えたら問答無用で撃て」
「了解です」
菖蒲さんが前回交戦規定は無視した方がいいって言ってたけど本当の事なんだ。まじめな弓削さんが言っているのなら間違いない。
「それでは作戦を説明する。今回は俺と剣持の2人で中に突入する。瀬霜は建物を監視できるような場所で狙撃の準備をしてきてくれ。もちろん中から怪しい人物が出てきたら問答無用で狙撃していい」
「わかった」
「それで俺と剣持は室内に突入した後とりあえず非常口があると思われるところを全速力で抑えに行くぞ」
弓削さんは工場内の地図を指さしながら作戦を説明していく。
「おそらく護衛が配備されていると思うが見かけた瞬間に射殺しろ。もし撃ちあいになったら俺たちの装備でも一瞬で倒すのが厳しくなるかもしれん」
「了解です」
「それじゃ、全員配置につけ。隊長、もしSATが来たら近くにある下水道の中に熱源反応ないか調べておいてください。もしかしたら下水道を伝って逃げるかもしれません」
「わかった。そういうのは全部任せてくれて大丈夫だから、任務に集中してね」
「わかりました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます