蘇生スキルで世界最強へ! 〜無能だと思っていたスキルが進化して最強に!?蘇生した仲間の能力を使えるって!?俺はこのスキルで冒険者ライフを楽しんでいこうと思う!〜
第十四話 ラングラント王国はいいところ!
第十四話 ラングラント王国はいいところ!
帰路に着く俺たち一行は、
「まず、俺たちがいるのはラングラント王国という国だ。隣国と比べて少し大きめな国であり、人口や生活水準なんかも他国より高いとされている」
今はその道中でリノから投げかけられた「結局ここはどこなのじゃ?」という質問に簡単に答えているところだ。
「この国は気候的にも恵まれている。よほどのことがない限り雪も降らないから俺は過ごしやすいと思ってるよ。結構暑い時期もあるけどね」
傍らを歩くクルエラは今の話を親身に聞いてくれてたみたいで、無言のまま頷いていた。その隣ではリノがかなり退屈そうに欠伸をしている。ちょっと説明くさかったかな?
「ただ、外国についてはあまり知らない」
前置きをしたところで、大雑把に他国についての説明をしていく。
ラングラント王国を起点として、
北に凍海と面するガルテス王国が、
東にヴラルド王国と仲良しなカザリック王国が、
南に歌姫を象徴とするシギング王国が、
西にこのイーシェル大陸最大の人間国領、グルニプト帝国があることを簡潔に彼女たちへ説明していった。
「位置を知ってるのはこのくらいかな。
レレント列島国なんかもどこにあるのかわからないし、他の中小国家についても知らないからなぁ。冒険者になるにあたって、もう少し勉強しておくべきだったか?
ちなみに人間国領以外だと、獣人たちが治めるクェゼノン連邦や龍人族が治めるドラグネル王国、エルフが住まう世界樹領に吸血鬼と人間が共存するヴラルド王国、魔物の発生源とされる魔王領なんかがある。……ああ、あと天使族の住まうルルシェト天空領だっけ?なんかがある。
「大雑把に説明するとこんな感じだな」
「……ん、なるほど」
僅かに微笑みながら頷くクルエラ。
その横でリノはというと──
「……むにゃむにゃ」
──こ、こいつ……っ!歩きながら寝ているだと!?一体どんな訓練をすればそんな芸当が出来るんだ!?
「おーい、リノ。起きろって!」
「むにゃ!?……なっ、なんじゃ、せっかく気持ちよく寝ておったところだというのに……」
「人が説明してんのに寝るなよっ!てかリノから聞いてきたんだぞ!?」
「だって国の話なぞ聞くだけ退屈だったんじゃもん!やっぱり血の騒ぐような決闘話をしてほしいのじゃ!」
いや決闘話ってなに!?初めて聞いたんだけど!……まぁ、退屈なのはわからんでもない。
現に俺もこの知識を教会で教えてもらってた時は同じ気持ちだったからな。戦いにしか興味がないリノにはさほど気にならない情報だったか。
「リノは本当に戦いが好きなんだな。これじゃまるで
「そ、そんなに褒めるでないっ。流石に照れてしまうではないかっ!」
「いや褒めてねぇよ!」
やっぱりというかなんというか、リノはどこか抜けている。天真爛漫で元気があるのはいいことだけど、ゴブリンの件を考えるともう少し自分の力を自覚してほしいよ。いやホントに。
王都でも暴れられたらたまったもんじゃないし……。そうなればあの天龍級のドラゴン以上に被害が出る可能性がある。
まぁ昔の時代を生きていたリノに、今の常識を言ってもすぐに理解するのは難しいよな。伝説に出てきた黒龍も物凄い凶暴で本能のままに動く生き物だったし……。
──〈
依然冒険者のおっさんが教えてくれた話の中にそんな伝説があった気がする。
イーシェル大陸の隣に存在する、今は誰も足を踏み入れていない不踏大陸アルヴァノンを舞台に、原初の黒龍が暴れ回って都市や村を蹂躙していくという物語だ。最後は神にすら抗い、地に堕とされたところを勇者と呼ばれる存在に討伐されていた。よく聞く伝説の、定番的な終わり方の一つだ。
子供っぽいリノを見てると、とてもそんな物騒な黒龍には見えないんだけどね。
「……それにしてもクルエラがスキルで作ってくれたこの袋、本当に便利だよな。助かったよ」
「……ん、それはよかった」
「……むにゃむにゃ」
リノったらまた歩きながら寝てやがる!いやもうこの際気にしないでおこう。
「ゴブリンの耳を入れるのに丁度いいし、血も
「……ん、ありがとう」
「……むにゃむにゃ」
「…………」
「…………」
「……むにゃむにゃ」
──会話が続かねぇ。てか今更だけどむにゃむにゃってどんな寝言だよ!可愛いかよ!
はぁ…………いかんいかん、最近心の中でつっこむことが多くなってきた気がするな?一回落ち着こう。
クルエラもあんまり喋んないし、リノも寝てるから道中での会話がほとんどない。王都までまだ時間も掛かるし、この際自分の情報を一旦整理しておくべきかな。
頭の中に意識を向けるみる。深奥に呼びかけるように、スキルの名を想像してみた。
──【
──能力:死者の蘇生。代償に魂の分割。恩恵として眷属の力を得る。生じ……
【
それと眷属の力を得る──これって蘇生した存在の力を分け与えてくれるってことでいいんだよな?ゴブリンとの戦いでも思ったけど、確かに筋力が上がってる気がする。クルエラやリノと比べれば本当に微力なものだけど、人間としては十分に強くなってるはずだ。今の実力だとクレイジーベアーくらいは倒せるようになってると思う。……と思いたい。
そして最後の文。『生じ……』の後に続く言葉も気になる。どれだけ集中しても脳内にあるイメージがその先を教えてくれない。【
「結局謎の多いスキルであることに変わりないのか……」
蘇生ってだけで最強スキルだとは思うけど、もう少し能力を把握して使いこなせるようにしてみたいものだ。曖昧な部分が多いと不足の事態に陥った時、どう対処したらいいのかも分からないしね。
あと気になることといえば進化前のスキルである【
この能力って進化して消えてしまったんだろうか?それとも【
わからない以上、当てにしてはいけないか。死んでしまっては元も子もないし、情報が確定するまでは無いものとしておこう。
「おい!あいつ様子がおかしいぞ!」
俺が考え事をしていると、急に前方から叫び声が上がった。
俺たち……?……じゃないな。前の商団か?なにやら揉めているみたいだが。
「トマソン!どこに行ってたんだ!」
大声を上げる冒険者らしき人物が、商団の馬車を守るように剣を構えている。その人の向かい側、木々の間から街道へふらふらと近付く謎の男がいた。ボロボロの皮の鎧を身につけ、刃の欠けた剣をぶらぶらとだらしなく垂れ下げたまま不気味な表情で冒険者を睨んでいる。
大事になりそうであれば加勢するとしようか。そう思い、俺は腰に差している剣へと手を伸ばした。
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