24 駆けるヒロイン
(※システィア視点)
私は現在、ガルバディア郊外にある古い塔へと向かい走っている。
そこには私の愛するユウが囚われている。
先ほどヴィグナリアにも言われた。
『あいつは私が自ら鍛えた男です。あいつなら無事に切り抜けられるでしょう。あいつにはその力があります』
そう言われた。しかしそう言われてもだ。
私の愛する人が敵に囚われているのだ。彼女として放っておくことが出来ない。
ミリエラにも言われた。
『王族なのだから、現場に行く必要はありません。ご自身の立場をしっかりとご理解ください』
それでもだ。私は自分の愛する人が囚われたという事実だけには何とも納得いかない。
そして許せなかった。
恋人のユウが囚われたのに何もできなかった私に、ユウ救出の兵士をただ黙って見守るしかできない私に。
魔王の娘と言われている私。私には力がある。
しかしこの力は愛するユウの為にある力だと思っている。
ユウは私を守る為に兵士になると言ってくれて、それを実現させた。
しかし私は、守られるだけなんて嫌だ。
私は、この強力な力で、私の愛するユウ、そしてその周りの人を守りたい。
それが私にとっての王族の力なのだ。
だから私はこうやって城を抜け出し、ユウの元へと走っているのだ。
ユウに手を出した報いを、必ず受けさせてやる!
私は怒りの赴くまま、塔へと足を走らせる。
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