8 システィアの悶絶
(※システィア視点)
早朝。私の部屋。
そこで精神的な苦痛と悶絶を同時に味わっていた。
「あ~っ!! あ~っ!! もうヤダっ!! なんで私はっ!!」
ベッドの上でのたうち回る私。
それもそうだ、みんなの見ている前で、ユウにあんな態度をしてしまったから。
「もう駄目だっ! ユウに酷いことした! 絶対ユウに絶対嫌われた!!」
後悔先に立たずと言うが、まさにその通りだ! 的を得ている。
それにしれっと恥ずかしい事を言った気もするが、もちろん気のせいと思われているだろう。というか、気のせいであってほしい!
「何やってるんですか。姫ともあろう方が恥ずかしいですよ。もうそろそろ立ち直ってください」
私の悶絶姿に頭をかかげるミリエラ。
完全に呆れている様子だ。
「しょうがないじゃない! だってユウの奴、あんなにヴィグナリアと楽しそうにして、鼻の下をのばして!」
「……それはあなたがもたもたしているからでしょうに……」
「なんか言った!!」
ぼそっと聞こえたミリエラのつぶやき。
完全に小声だったため、何を言ってるのかが分からなかったが、おそらく私の悪口だろう。
「いえ、もっと姫様がユウ様にアプローチすれば、ユウ様との関係もそれ以上になって、変な虫もよってこないでしょう。ずばりチョメチョメです!」
「わ、私とユウがそんな淫らなことをやれと!?」
ミリエラが右手の指で輪っかを作りその間を左手の指で行ったり来たりさせる。私の顔が凄く赤くなっているのがわかる。顔がかなり熱い。
「そ、そそ、そんなの恥ずかしくて……」
「いやいや、昨日あんな場所で『私は処女!』宣言をしたじゃありませんか!」
「うがぁああああああああっ!!」
ベッドの上で悶絶する。やっぱり変な事を言ってた私。
と言うか、なんでミリエラがその事を知っているの!? あの場にいなかったはずなのに!
するとミリエラがニヤニヤしながらこちらを見ている。なんかムカつく。
「むうっ、なんかミリエラにバカにされてる気分」
「わたくしが慕っている姫様に、そんなことするはずないじゃないですか」
どうだか、完全に遊ばれているような気がするが。
内心怒りをためる。
ちょうどいい、今度ユウに会ったら、このストレスを発散してやろう。
とばっちりを受けるユウの困り顔を、今、かなり期待している。
「それより姫様。こんなところでのんびりしていてもいいんでしょうか?」
「なんだ、どういうことだ?」
「今日のユウ様のスケジュール。エリィ様と都市警邏のとなっておりますが……」
「な、なんでそんな大事なことを早く言わなかった!」
ベッドから立ち上がり、ミリエラに問い詰める。
私は知っている。エリィは私のユウにただならない想いを抱いていることに。
だから放っておくわけにもいかない。
「早く出るぞ! ミリエラ!」
「姫様! とりあえずは着替えをしてから……」
「いい! 今日は街中に出るから例の格好をお願い」
「畏まりました。それで朝食の方は――」
「食べている暇なんかない! 出先で何か食べるからいい!」
何やら頭を抱えるミリエラの姿。どうせ街先で買い食いするなんて王族にあるまじき行為だと言いたげだ。現にそれで以前叱られた。
でも今回は非常事態だ。ここは急いでユウたちを監視しなければいけない。
あいつらがいちゃいちゃしていたら、是が非でも止めに入らなければいけないし、ユウにはそれ相応の調教もしなければいけない。
さて、さっさと支度をして、ユウの後を探さなければいかなきゃ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます