第7話パンジーの本音
パンジー 領主邸
部屋に戻りいろいろな感情が巡りベットに突っ伏した。
今日は私の誕生日なのに・・・なんで・・・なんでよ・・・・
『パンジー、私は領主としてまた援軍に向かう。防衛戦だから小競り合い程度になるだろうが父は出なければならない。』
『わかっております、お父様。行ってらっしゃいませ』
『ご武運をお祈りしております。貴方。』
『すまない2人とも。領主代理として頼んだぞ。では行ってくる。』
そういって1か月前に出撃していった。今年もだ・・・・。1年に1度帰ってこれるかどうか・・・来れてもお父様は十日程度の補給をすますとすぐにまた出撃してしまう・・・・。
頭では理解している。領主として、為政者としての出撃だということもちゃんと理解している。けど・・・・10年・・・・・・10年私はまともにお父様と話せていない。
そのうえお母様も領主代理として他領の領主の代表者や補給物資を用意する商人との会食、部隊の隊長への会談、領民からの陳情書の処理、出現した魔物の撃退、上がってくる報告書をチェック・・・・やることは多岐にわたる。
本来なら領主家族全員でやる必要があることを今はお母様一人が受け持っている。
私も本来なら領主代理の一人として活動していても年齢的には問題ないはずだった。
だがそれは平時だった時の話だ。3歳のころからずっと両親は手が空いておらず教えられるような年頃の兄弟もいない・・・そのことが私達一家の状況を悪化させてしまった。
お母様とも最近ほとんど一緒にお食事をとることもままならない。まして家族3人など・・・3歳以前の話だ。
それでも3年、4年の話なら耐えられた。だが物心がつく3歳のころから10年間一度も祝ってもらってない・・・心が壊れてしまいそうだった。
なのにあの子は・・・・スズランは・・・・同じように父親と会うことができず、母親と一緒にいることができるのに母を助けるために一緒にいないことを選んでる。
母親を手伝いたくても手伝えなくて会いたくても会えない私とは同じようでまったく違う・・・。
少しは甘えなさいよ!私が欲しくてもできないことをできるくせに!
今日もそうよ、お金のことは慰問金があるはずだから問題ないはずなのに、1時間の自習時間を得たんだから今日くらい1時間早く帰りなさいよ!お昼休みだって30分くらいの間に一度に来られて急いでご飯を食べることになるんだし時給的に割に合わないことくらい頭の良いあなたならわかるでしょう!
魔術論文のことだってそうよ・・・論文なんだから机で書かなきゃならないんだから家でやらなきゃならないんだからその分一緒にいられるでしょう!
学園生には私のほうで放課後の姿を見せたりして苦学生だと触れ回ってはいるけどあまり効果がないし・・・
私はお母様を手伝いたくても手伝うこともできないのに・・・・
大体、自己犠牲が強すぎるのよ!自分だけが我慢すれば大丈夫と思ってるんでしょうけどそれじゃいつか心が折れちゃう。
あの子の家庭環境が似てるから感情移入してしまうのかな?
あんな嫌味な言い方をしてしまうなんて・・・・はぁ自己嫌悪・・・
あとがき
パンジーのキャラに少しだけ触れてみました。
家族環境の板挟みで辛くて当たってしまったのかもしれませんね。
ちなみにマリーゴールドの花言葉の一つは「嫉妬」です。
伏線回収ですね。
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