第41話 『♡ Kyoko Love ♡』41-2

番外編 康之編:


41-2.


 離婚した元妻の香はそこら辺のモデルよりもずっと美しい女性だった。


 けれど、料理も上手かったし、部屋の掃除なども行き届いており、

 収入もあった。


 素敵な、という言葉を使って遜色のない女性ひとだった。


 それでも、彼女が病気だから・・

治らない病気になったから・・


自分は香を捨てた。


 働けず収入もないから捨てたのだ。




 それなのにこうして香のことが頭に浮かぶと、不思議なことに今

彼女はどうしているだろうか? と思うようになった。



 康之は今のいままで香のことなど気にも留めていなかったのに、

石川恭子が結婚したことを知り、石川繋がりで香のことが記憶の中から

出てくると、急に病気でずっと寝ているはずの香のことが

気になりはじめるのだった。


 近況を知ったからとて、その先のことなど何も

考えてもいはしないというのに。


          ◇ ◇ ◇ ◇



 翌日の午前中にはその道のスペシャリストに電話依頼をし、現在の

香の生活状況など知りたいということで、素行調査をお願いした。


『病気で療養している女性』ということで依頼すると、その道のプロと

言われる担当者が言った。


 簡単そうで、一番難しい案件ですね、と。


『家で病気で寝ている人の素行調査って、調べようがないですよ。

 困りましたねぇ~。

 ご近所さんだって知らないかもしれませんしねぇ~。


 ただ病気のまま家で寝ているだけでしたら調べることもないのでは

ないですか? 


 お知り合いでしたら、ご家族に聞かれてはどうでしょう?』


と言われてしまった。




 言われずとも、そりゃそうだっ。


 

 

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