第23話 『♡ Kyoko Love ♡』23

23.


 先々月だったか、たまたま別居について語り出した石川

恭子のことを、垣本は目をまん丸にして眺めたものだ。


 いっぱしのことを語る恭子の姿・言動に大きなギャップを

感じた。


 彼女は華やかな世界の住人で見るからにふわふわして

いて、キラキラしていて、にこにこしていて、にこやかで

世間の下々で苦労している女性たちからは程遠い場所に

居るように見えていた。


 年齢こそ少しいってるとはいえ、自分含め庶民である

男たちからすると、明らかに高嶺の花だ。


 そんな風にしか見えないきらびやかな彼女が、同居という

ワードの存在する世界に降臨し、想像だにしなかった弁舌

を振るった。


 おったまげー!


 それは大きな驚きであり、SHOCKであった。


 ふたつの顔を持つ彼女を知り、そのどちらの顔にも俺は

恋に落ちた・・のかもしれない。


 ギャップ萌えとでもいうのだろうか。


 ずっとこの女性ひとは、一般女性が経験するような

職場での苦労や家庭生活での苦労などという、世俗の垢

みたいなものとは、縁なく生きてゆく人なんだろうなぁと

漠然とそんな風に思っていたものだから、よけいに。


 仮に俺の知らない顔があったとしても、この先ずっと

知る由もないだろうと、思っていたし。


 同居の件にしても、そこまでズバズバ話せるのだから

彼女とならお互いの主張をすり合わせながらこれからの

人生を共に歩んでいけるような気がする。

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