第12話 金

あれから数ヶ月後、俺は初の正式な作戦協力者との作戦会議に勤しんでいた。

「じゃあ、脱衣室の天井にある換気扇のカバーを外せば、そこにカメラがあるのね?」

「はい。いつ頃回収出来そうですか?」

「一番手っ取り早いのは、私があの娘の家に遊びに行って、トイレを借りるふりをして脱衣室からカメラを回収することね。」

「本当ですか!ありがとうございます!」


「やるなんて言ってないわよ。私のリスク大きすぎるでしょ。」

「あ…そうですよね…すみません…。」


「お金を積むなら考えてもいいわよ。」

「お金…ですか…?」

「そう。協力自体で3万。

回収を急ぐなら5万。」

やっぱりこの女はクズだった。クソが。どう考えても中学生の発言じゃない。


…だがそんな事を言っている場合ではないのも事実。

「でもそんな大金どうやって…」

「あんたお姉ちゃん居たわよね。」

「はい。居ますけど…」

まさか。


「あんたのお姉ちゃんの隠し撮り写真とか下着とか。売ったら5万なんてすぐよ。」

完全に発想がイカれてやがる。輩みたいな事を言いやがって。

「そんな事出来…」

「先に下着盗んで盗撮してんのはどこの誰だっけ?」

返す言葉なんてあるはずがない。俺の敗北だ。


「出来ないならあの娘に全部バラしてもいいのよ。」

「……やります…。」

卑怯なやり方だが客観的に見れば元凶は俺だ。やるしかない。

「じゃあ5万分のネタを用意できたら連絡して。それじゃ。」

流石にこんなに弱みを握られれば疲れる。

俺はすぐに帰って寝た。


翌朝。午前5:21。

久しぶりに目覚ましがなる前に目が覚めた。

そして昨日の藤原さんの言葉を思い出す。

どうやら姉ちゃんはまだ寝ているみたいだ。

…今のうちに下着を盗んでおこうか。

ターゲット外どころか実の姉の下着を盗むなんて気が乗らないなんて甘っちょろいもんじゃなかったが、もう馴れた手つきで音を立てずタンスを開けた。

だがよく考えれば替えの下着が無ければ確実にバレる。

その時は下着のメーカーだけをメモしてタンスを閉じた。


後日、俺はメモした下着と同じものを買いに行く事にした。

カメラとバッテリーを買ってから小遣いを使っていなかったのだが、俺はまたしてもこんな事で金を使うのだ。

ある程度大きな下着専門店につき、目が眩むような大量のブラジャーとパンツを前に、中学生男子の俺は結界のような強烈な壁を押し破るように恐る恐る入店。

なるべく早く済ませようと、メモを見ながら計6セットの下着を購入。姉ちゃんの胸のサイズと同じB70のブラジャーとそれに付属するパンツだ。

買い物を終えた俺はそそくさと家に戻り、夜を待った。


異様に長く感じた8時間。

家族全員が寝静まった。

午前3:02。姉ちゃんの部屋に下着を取り替えに向かう。

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