第11話 屈辱

「で、具体的に何してきたの?」

藤原さんは俺に問う。

「いや、その…カメラ、というか…」

当たり前だが上手く話せない。

「うわぁ…マジで盗撮しようとしてるんだ…」


「はい…すみません…」


「すみませんじゃないけど…。どういう風に撮ろうとしてたのよ」

俺は作戦を書き綴ったメモ帳を渡して見せた。

「はぁ。この計画性他に活かせたらよっぽど良かったのにね。」

「すみません…」

俺の口は謝罪以外の言葉を吐くのを拒否しているようだった。

「…あの。それで俺は何をしたら…」

「そうね。今から言うことちゃんと聞いてて。」

「はい。」


「まずは服脱いで。全部。」

「えぇ…?」

まさかの発言だった。

「カメラの回収は私が協力する。あんたが撮ったあの娘の裸もあんたにだけは見せてあげる。その代わり、他に見せたり売ったりしたらあんたの裸を私が撒く。」

「……わかりました…。」

まさか人生で初めて女の子の部屋で全裸になるタイミングがこんなにみっともないとは思いもしなかった。

「じゃあそこ立ってて。」

「…はい。」

そして俺はありとあらゆる角度から産まれたままの姿を撮られた。

恥ずかしいというよりは悔しくて泣きそうだった。


「…じゃあ撮れたから。見苦しいから早く服着て。」

「わかりました…。」

とてつもない屈辱を受けたにも関わらず、結果的に作戦が成功に向かいそうな事実には喜びを隠せない俺が確かにそこに居たんだ。


この時、俺のメンタルは既にカメラ回収へと傾いていた。

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