【Side 6】最愛からの愛を貰った後(ウィステリア視点)

 貰ってしまいました。

 リオン様から愛を。

 いえ、今日貰った愛は、リオン様からするとまだ軽い方なのだと思います。

 本当はそれ以上の愛を、リオン様は私にあげようとされていたのだと思います。

 私に合わせて、我慢して下さったのが、帰り際の表情を見て分かりました。

 美しいお顔のリオン様の切なげな、憂いを帯びた表情は、攻撃力が半端ありません。

 あの表情を見て、私もそれ以上を求めてしまいそうになりました。

 まだ結婚前なのに。学生なのに。


『リア、大丈夫かい?』


 王都の邸宅の私の部屋のソファに膝を抱えて座る私に、召喚獣のフェンリルの桔梗ちゃんが心配そうに見ています。

 彼女はフェンリルの中でも一番強い、フェンリル女王です。

 桔梗ちゃんから名前を付けて欲しいと言われて、私が決めました。

 私のお兄様も召喚獣がフェンリルですが、それよりも強いので、少し心苦しいです。


「私は大丈夫。ただ、リオン様に私、我慢させてしまっているのが分かってしまって、それが申し訳なくて……」


『そ、そうじゃのう……。リオンは紳士よの。普通ならあそこで止めないからな』


「そ、そうよね……。私に合わせて下さってるのが分かって、私の勇気のなさに嫌になりそう」


 リオン様に幻滅されてないか不安です。


『うーん……妾が言うのも何だが、次はリオンの魔力の覚醒なんじゃろう? その時に、リアがちゃんと愛をあげたら良いのではないか?』


 さらっと桔梗ちゃんが爆弾を投下して来ました。


「ちゃんと?! ちゃんとって、何処まで……」


 顔が真っ赤になっているのが分かるくらい、私は動揺して、桔梗ちゃんに詰め寄ります。


『それはリアが決めることじゃ。妾は応援するのみ』


「うぅ……。私、リオン様を悲しませたくないけど、重い女って思われるのは……」


 私が重いのは分かってます。

 リオン様はご自分の懐に入った人にはとても優しい方です。

 そんなところも好きですし、懐に入った人達に見せる笑顔も好きです。

 ただ、私だけに笑って欲しいと思う時もあります。

 二人っきりの時に見せて下さる、素敵な、極上の笑顔を私以外には見せて欲しくない。

 抱き締める人は私だけにして欲しい。

 チェルシーさんや元女神様はもちろん、誰にもリオン様を渡したくない。

 リオン様を独り占めしたいと思ってしまいます。

 ……重い。

 絶対、私、重い女です……。

 だけど、リオン様を誰よりも好きで、愛していると思っています。

 婚約して十一年。

 ずっと一緒にいたからこそ、リオン様は誰にも渡したくない。

 私の愛で、メロメロにしたいくらいです。メロメロは死語だけど……。


『……リア、安心せい。リオンも十分重いぞ。リアが妾を召喚してくれるまで、幻獣界でそなた等を見ていたが、二人共似た者同士じゃ。それぞれ互いを想い合って、それぞれ面倒な程に重いわ』


 溜め息混じりに桔梗ちゃんが言います。


「ふふ、似た者同士だなんて、嬉しいな」


『妾は誉めておらぬぞ、リア……。惚気はいらん。それより、魔力の覚醒をしたが、異常はないか?』


「リオン様も気にされてたけど、私は大丈夫だよ。魔力が高くなったみたいだけど、問題ないよ」


 心配する桔梗ちゃんの頭を撫でながら、笑って伝えます。

 ふわふわで綺麗な毛並みの誘惑が凄いです。

 リオン様が紅さんを撫でる気持ちが凄く分かりました。

 ふわふわは正義です。


「私より、リオン様の方が心配よ。リオン様は魔力の覚醒の時に、暴走させないといけないみたいだし……」


 そちらの方が心配です。魔力を暴走させないといけないというのが、何故必要なのかよく分かりません。身体に負担が掛かるのではと心配です。


『そうじゃな。リオンは元の魔力が高いのが、更に高くなるからのう。リオンの場合、今の状態に身体が慣れているから、更に高くなっても、身体が今以上の魔力を放出しないんじゃ。だから、暴走させて身体を高くなった魔力に慣らす必要があるのじゃ。リオンがそのことを知っているか分からぬがな』


「リオン様はもしかして、そのことを知らないの?」


『恐らくな。リオンの周りには過保護な女神様、召喚獣達だらけだからの。大事にし過ぎて教えていない可能性が高い』


「それ……もしそうなら、リオン様が可哀想なんだけど……」


 とても重要なことなのに、誰も教えていないのはどうなのかと思います。


『多分、うっかり教え忘れだと思うぞ。魔力の覚醒より、元女神のことの方が重要だからのう』


「そうだけど、納得いかないわ。私が言っていいなら、明日にでもリオン様に言いたいわ」


『それは言ってもいい。過保護な連中の代わりにリアが言ってやればいい。その時に、妾から聞いたと言えば、リオンも納得するじゃろう』


「桔梗ちゃん、ありがとう」


 笑顔で私は桔梗ちゃんに抱き着いていると、妙な気配を感じ、身体が強張ります。

 ソファの近くに置いていた護身用の細剣の柄に手を掛けて、いつでも動けるように構えます。

 一応、私も公爵令嬢で、将来はリオン様が王位継承権を放棄するまでは第二王子妃なので、身を守れるように子供の時から鍛練はしています。

 リオン様のように強くはありませんが、それでも、一撃目は防げるように。

 一撃目を防げば、そこからの勝機もあるはずなので。

 鞘と柄、それぞれを握り、周囲を見渡していると、正面から声が聞こえました。


『こんばんは、ウィステリア。驚かせてごめんなさい』


 声と共に、リオン様そっくりの、濡羽色の長い髪の女神様が現れました。


「えっ、女神様?!」


『流石、ヴァーミリオンの婚約者ね。ちゃんと気配を感じ取れてるわね。自分の身を守れるようで安心したわ』


「……守られるだけではいけないと思いますから。私が少しでも自分の身を守れたら、ヴァル様が動きやすいと思いますので」


 細剣の柄から手を離して、鞘を握って女神様に微笑むと、笑い返して下さいました。

 その微笑みが、リオン様そっくりで少し顔が赤くなります。


『ヴァーミリオンのことを考えてくれてありがとう、ウィステリア。ヴァーミリオンが貴女にべた惚れで、守りたいと思う気持ちがよく分かるわ』


 微笑み方が本当にそっくりで、つい女神様を見惚れてしまいます。

 不謹慎なのですが、リオン様が女性の格好をされたら、目の前の女神様になるのだろうなと思います。

 十二歳の時にリオン様の女装姿を見ましたが、今の十五歳でも女装は通用するのではと感じます。

 目の前の女神様を見て、そう感じます。

 リオン様は嫌がると思いますけど。


『実はね、貴女はわたしの推しなの。それにヴァーミリオンはわたしの双子の弟になるはずだったから、その婚約者のウィステリアとも仲良くなりたいと思っているの』


 さらりと女神様が驚きの一言を投下なさいます。

 私の心臓がバクバクと激しく脈打ってます。

 二人揃って私が推しって、どれだけそっくりなんですか! とても恐れ多い……!


「そ、それは恐れ入ります……。あの、私も、恐れ多いことですが、女神様と仲良くなりたいです」


『ありがとう。ヴァーミリオンが知らない内に仲良くなって、驚かせるのもいいかもね?』


 いたずらっ子のような笑みを浮かべて、女神様は仰います。リオン様に本当にそっくりです。

 笑顔が本当にそっくり過ぎて、私の心臓が保ちません。

 でも、リオン様を驚かせるのは面白いかもしれません。

 リオン様は私をよく驚かせるので、時々はこちらがお返ししても良いかなと思います。


「それは是非とも一緒にお願い致しますっ」


『本当? 嬉しいわ。その時は一緒に宜しくね。さて、本題に入ってもいい?』


 尚も微笑む女神様にドキドキしながら、私は頷きました。


『……ウィステリア、ヴァーミリオンを守るために命を賭す覚悟はある?』


 女神様が言いにくそうに私に言います。その表情もリオン様に似ていて、本当に辛そうにしています。


「どういう意味で仰っているのか、意図は分かりませんが、答えはもちろん、覚悟はあります」


 リオン様も恐らく同じ質問をされたら、私と同じ答えを仰ると思います。

 私はリオン様が大事ですから。リオン様も同じだと思います。

 でも、それはどうにもならない時の最終手段です。

 私はリオン様と一緒に幸せになりたいと思っていますから。


「でも、出来るのなら、命を投げ出さずに私もヴァル様と生きて幸せになりたいと思っています」


『良かった。それを聞いて安心したわ。わたしは二人には幸せになって欲しいもの。今日、貴女の前に現れたのは、警戒しておいて欲しいからよ。ヴァーミリオンは貴女を心配し過ぎて言えてないけど、ミストは貴女の身体を狙っているの。だから、気を付けて。出来れば、貴女の召喚獣やヴァーミリオン、彼の召喚獣から離れないようにして欲しいの』


「私の、身体ですか?!」


 何故狙っている……なんて聞かなくても、何となく分かります。

 相手はリオン様を狙っているのですから。


「私の身体を使って、ヴァル様を手に入れるつもりなんですよね……?」


『ええ。わたしもヴァーミリオンもそうはさせないけれど。ウィステリアも知っておけば、対策は立てられるし、警戒出来るでしょう?』


「すみません、お手を煩わせてしまいまして」


『気にしないで。むしろ、こちらが迷惑を掛けているのだから』


 苦笑いを浮かべて、女神様が更に言います。


『だから、貴女に少し力を貸したいの。わたしの将来の義理の妹になるでしょう?』


 にっこりと微笑んで、女神様は私の手を握って下さいます。

 女神様の義理の妹……。

 第二王子妃よりもパワーワード過ぎて、頭から離れません。


「え、力ですか?」


『そう。これを着けてくれる?』


 女神様は手の上に乗っている、金と銀で出来た金属の帯で編まれ、紅色の石と濡羽色の石が付いた、初めて見るのに何処かで見たことがあるような既視感を抱くブレスレットを私に見せて下さいます。

 まるで、リオン様と女神様、お二人の目の色と髪の色です。


『……見ての通り、わたしとヴァーミリオンの力で出来た物よ。と言っても、今のヴァーミリオンではないけれど』


「どういうことでしょうか? 今のヴァル様ではないというのは……?」


『うーん……何と言えば分かり易いかな。わたしの母は未来が視える女神と前に言ったでしょう? 母が視た未来で神として生まれたヴァーミリオンが、貴女にあげた物なの。それをわたしが創造して、わたしの力も少し入れたわ』


 そう言って、女神様は私にブレスレットを渡します。


『わたしの権能は創造と豊穣。ヴァーミリオンの権能は守護と再生。双子だからか、わたしとヴァーミリオンの権能は相性が良いの。このブレスレットはヴァーミリオンが貴女を守るために作った物よ。紅色の石はヴァーミリオンの守護の権能。濡羽色の石はヴァーミリオンの守護の権能をわたしの権能で創造したものが入ってる。二回、貴女を守ってくれるわ』


 女神様の言葉で、何となく悟ってしまいます。

 私の身に、二回、命が危ないことが起きるのだと。


「……二回、命が危ないことが私に起きるのですね」


『いいえ。一回よ。もう一回は念の為よ。ミストは狡猾だから、保険よ。わたしはこの世界にあまり手を出せないけど、手が出せる範囲であらゆる起き得ることを対策したいから』


「そういう風にお考えのところも、ヴァル様にそっくりですね。話し方も、表情も。本当にそっくりなので、実は女神様は女装したヴァル様ではとか、女神様がヴァル様に扮しているとか思ってしまいます」


『もしそうなら、わたしもヴァーミリオンも変な人になるわよ? わざわざ女装したり、男装したりするなんて』


 ほんの少し、ほんの少しだけ、お二人の女装や男装姿を見たいと思ってしまいます。お二人は嫌でしょうけど、きっと素敵なはずです。


『……見ても楽しくないわよ?』


 思ったことが私の表情にうっかり出ていたのか、女神様は顔を少し赤くして呟きました。赤くなるところも、言い回しも本当にリオン様そっくりです。


『とにかくね、ウィステリア。ミストの件が解決するまで、このブレスレットを肌見離さず着けていてね。出来れば、魔力が覚醒した後のヴァーミリオンにこのブレスレットを見せて。それでこのブレスレットは本領を発揮するから』


 その本領を発揮とは、どういうことなのかよく分かりませんが、私は言われるまま頷きました。

 頷いた私を見て、女神様は微笑みます。


『あまり現れることは出来ないけど、貴女とヴァーミリオン達が幸せになることを祈っているわ。幸せになることを諦めないでね』


 女神様が私の両手をぎゅっと握って下さいます。

 銀色の右目、金色の左目が、切なげに私を見つめます。


「はい。女神様、ありがとうございます」


『ウィステリア、わたしのことはヴェルと呼んでくれる? ハーヴィはやめてね。ミストがそう呼ぶから嫌なのよ。わたしもヴァーミリオンをリオンと呼んでるし、リオンもヴェルと呼んでくれるから、貴女もそう呼んで欲しいわ』


「分かりました。でしたら、私もリアと呼んで下さい。ヴェルお義姉様」


『お義姉様! 嬉しいっ! 推しのリアにお義姉様って呼ばれるなんて! リオンに自慢しなきゃ!』


 それはどういうことなのでしょうか。

 私もリオン様と呼んでますし、女神様――ヴェルお義姉様は何を自慢するのでしょうか?

 首を傾げていると、ヴェルお義姉様はにんまりと笑います。


『まだ貴女の方から、リオンって呼び捨てで言ったことがないでしょう? 結婚してないのに、わたしのことをリアはもうお義姉様って呼んでくれたから、リオンはきっと悔しがるわ』


 いたずらっ子のような笑みを浮かべて、ヴェルお義姉様は言います。


「あの、程々にお願いします。リオン様が可哀想なので……」


『リアは優しいわね。これからもリオンのことを宜しくね。リオンの愛は重たいでしょうけど、そこはごめんなさいね』


 先程の笑みとは打って変わって、優しい、慈愛に満ちた、正に女神様の笑みを浮かべます。


『渡さないといけない物は渡したし、そろそろ帰るわね。リア、わたしはリオンも大事だけれど、貴女も大事だから、本当に幸せになることを諦めいでね』


 ヴェルお義姉様の言葉に、胸が詰まりそうになります。

 転生して、悪役令嬢だからと諦めていた幸せを、リオン様は私が幼い頃から下さり、今も変わらずに大事にして下さいます。

 それでも、魔法学園に入学した後も不安でした。

 チェルシーさんに惹かれたり、彼女の魅了魔法に掛かって、リオン様は私を断罪するかもしれないと、心の隅では不安でした。

 先程、リオン様の愛を少し頂くまでは。

 頂いた後は、リオン様は私のことを本当に愛して下さり、もっと多くの愛を下さろうと思っていることを感じました。

 最愛からの愛を貰う。

 その愛のおかげで、魔力の覚醒をしたのだろうと思います。

 私はリオン様が側にいて下されば、幸せになれると感じました。不安も何処かに飛んでしまいました。

 私も、リオン様に愛を差し上げたい。

 リオン様との将来を諦めたくない。


「はい。諦めたくないです」


 ぎゅっと両手を組んで、私はヴェルお義姉様に向かって頷きました。


『リア、頑張ってね』


 そう言って、微笑んだヴェルお義姉様は帰って行きました。


『リア、大丈夫かい? すまぬな、流石にハーヴェスト様の前で、妾も口出しは出来なくてな』


 桔梗ちゃんが声を掛けてくれます。今までヴェルお義姉様がいらっしゃる間は、静かにしていたようです。


「大丈夫だよ。ありがとう、側にいてくれるだけで心強かったから」


『それにしても、ハーヴェスト様はリオンにもじゃが、リアに対しても過保護だのう』


「とても恐れ多いのだけどね……。ところで、ヴェルお義姉様と話していて、ふと気になったのだけど、私達の魔力の覚醒は最愛からの愛で覚醒すると言われたけど、他の人も?」


 ディル様やオフィ様も、最愛からの愛で魔力の覚醒をしたということなら、他の人もそうなのでしょうか。


『いや、リオンやリア、ディジェム、オフェリアの転生者と王族だけじゃ。転生者と王族以外はある日突然起きる。あの小娘も転生者じゃが、あれは最愛からの愛では覚醒せぬ』


「どうして?」


『魅了魔法を使って、最愛からの愛を貰っても、それは真実かどうかは分からぬ。魅了魔法を使えても、今まで誰にも全く掛けていなければ有り得るかもしれんが、もう使いまくっておるから無理じゃ』


「それは、チェルシーさんはもう、魔力の覚醒をしないということ?」


『することは出来る。じゃが、条件は厳しい』


 桔梗ちゃんが私の隣に座りながら、教えてくれます。続きを促すと、溜め息を吐きながら桔梗ちゃんは言います。


『魔法を司る神に、乞い願うことじゃ。まぁ、その神を含めて、全ての神は元女神のことを知っている上に、小娘が犯した罪のことを知っているから、難しいのう。覚醒出来たとしたら、かなり強引にじゃのう』


「そうなのね……」


『まぁ、リアが小娘や元女神のことが気になるのは確かに分かる。これから対策するとしても知っておくことは重要じゃ。だが、リアの場合は考え過ぎなことが多い。リオンを頼れ。あやつの方が情報を持っている。リオンが持つ情報やその他の者の情報を纏めてから、考えても遅くはない。今は気にせず休め。特に今日は身体は何ともなくとも、魔力が覚醒したのじゃから』


 前足で私の膝をぽんぽんと優しく叩きながら、桔梗ちゃんが子供をあやすように言います。


「そうだね。明日も授業があるし、休むわ。ありがとう、桔梗ちゃん」


 笑みを浮かべて、桔梗ちゃんと一緒にベッドへ向かいます。

 灯りを消して、デュベに潜り、ヴェルお義姉様から頂いたブレスレットを左手に着けます。

 しっくりと手首に収まり、まるでこの位置が正しいと主張しているかのようです。

 外から漏れる月明かりで輝く、ブレスレットの紅色の石を撫でて、微笑み、桔梗ちゃんに抱き着きます。

 温かくて、ふわふわです。


「おやすみなさい、桔梗ちゃん」


『おやすみ、リア。良い夢を』


 桔梗ちゃんの温もりと、優しい声ですぐ眠気がやって来ます。






 リオン様とヴェルお義姉様が作ったブレスレットを頂いた影響なのか、夢の中で、見たことがないはずの神としてのリオン様の神々しい姿を見ました。

 嬉しい気持ちと、その姿を実際に見ることが出来ない残念な気持ち、ミーハーなファンのような気持ちが押し寄せて、朝、馬車の中でリオン様の顔がしばらくまともに見られなくなったのは私だけの秘密です。

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