第49話 眷属神

「――リアは本当に可愛いね。癒やされる」


「えっ、リオン様?! どうしましたか?!」


 魔法学園へ登校中、馬車の中、ウィステリアの笑顔に癒やされて、抱き締めてしまった。

 花の、優しい良い香りがして、離れたくなくなってしまう。


「リオン様? 何かありましたか?」


 ありまくりです。

 ここ数日、五百年前関連で俺の精神は疲れまくってます。

 自分が蒔いた種ではあるが、それでも色々と話が拗れ過ぎて参っている。

 五百年前関連で少しだけ、精神年齢が小さな子供になったような感覚になり、緊張の糸もぷつりと切れてしまっている気がする。

 俺の懐に入っている人達以外にも隙を見せている気がして、正直、今の自分の状態はあまり宜しくない。

 こういう時は何か起き兼ねないし、対処が遅れる。

 常に警戒しておかないと、何か起きても対処が出来ない。

 なので、ウィステリアに癒やされてから、色々リセットしようと考えている。

 彼女に凄く申し訳ないけど。


「ここ数日、キャパオーバーなことが起きてね。リアで癒やされて、色々とリセットしたくて。だから、もう少しこのまま抱き締めさせて」


「リオン様、そのキャパオーバーなことは、私でもお手伝い出来ることですか?」


 ウィステリアを抱き締めていると、彼女もおずおずとゆっくり俺の背中に手を回してくれる。

 そんな仕種も俺にとって癒やしだ。

 好き。可愛い。愛してる。可愛い。


「まだ伝えられないけど、リアに話した後からは俺の愚痴とか聞いてもらえたら嬉しいかな」


 正直、伝えておきたいことは多い。

 知らない方がいいかもしれないが、五百年前関連はいずれバレる。

 月白と花葉を喚んだ時点で、その仲の良さで怪しまれる。

 だから、先に伝えておきたい。

 そうなると、今度は女神関連の話も伝えておかないといけない。

 マジで誰だよ、ここまで話を拗らせた奴。


「その時は是非、遠慮なく愚痴を仰って下さいね、リオン様」


 ふわりと花のように綻ぶウィステリアの顔を間近で見て、心臓が高鳴る。

 ウィステリアのこの笑顔が好きだ。

 だから、俺も彼女にしか見せない極上の微笑みを贈りたい。


「ありがとう、リア」







 魔法学園の午前の授業が終わり、昼休憩の時間になった。

 俺やウィステリアの周りの席は、親友や護衛兼友人に囲まれている。

 俺が座る机の席は左端から俺、ウィステリア、オフェリア、ディジェムだ。三人掛けの机と思っていたが、四人掛けでも余裕の長さだった。

 俺達の席の隣の机に左からグレイ、ピオニー、リリー。前の机は左からアルパイン、イェーナ、ヴォルテール。

 護衛兼友人はガッチガチに周囲を固めている上に、他の生徒達を近付かせない勢いだ。

 最近、何故か護衛兼友人は皆過激というか、過保護になっている。

 俺が王族専用の個室で倒れた後ぐらいからだ。

 かなりのショックを与えてしまったようで、凄く申し訳なく思っている。

 後から友人になってくれたピオニーやリリー、同じく後から合流したグレイはアルパイン、ヴォルテール、イェーナから話を聞いてからは過保護になってしまった。

 申し訳ないし、有り難いのだけど、ちょっと息が詰まる。

 それをディジェムとオフェリアは微笑ましく見ている。二人共、王族だが、自分達の護衛ではないので、身軽だと言いたげな顔も覗いている。

 愛しのウィステリアだけが、俺の気持ちを分かってくれているようで、優しく微笑んでくれる。

 誰も居なかったら、抱き締めているところだ。

 そんな俺達の様子を、こちらとは対角の、廊下側の一番前の席に座るヒロインが見ていた。

 今日はまだ一度も魅了魔法を使っていない。

 いつもなら、授業の度に魅了魔法を掛けては俺が付与した魔石で無効化され、掛けては無効化を繰り返していたのが、今日は一度も魅了魔法を使っていない。

 何を企んでいるのか、それが怖い。

 特に月白と花葉が警戒しておくように言われたことで、余計にヒロインの動向が気になる。


「ヴァル、何かヒロインのことで気になることでもあるのか?」


 ディジェムが小声で聞いてくる。俺とディジェムの間に座るウィステリアとオフェリアも俺を見る。


「うん。今日は一度も魅了魔法を使っていないからね。何を企んでいるのかと考えてた」


 防音の結界を俺達が座る机の周りだけ張り、頷く。


「スライムを召喚していた訳だし、ショックで魅了魔法を掛けるのを忘れたとかではないの?」


「その割には滅茶苦茶こっちをガン見してるぞ、ヒロイン」


 オフェリアの言葉に、げっそりした顔でディジェムが呟く。


「……目線はヴァル君にロックオンしてるわね」


「ヴァル様は渡しませんっ」


 ふんすと可愛く息を吐き、ウィステリアが両手を拳にする。

 そんな可愛い仕種を教室でしないで欲しい。

 他の男共に見られたくない。

 俺だけに見せて欲しい。

 馬車でウィステリアを抱き締めたおかげで、何とか色々リセットし、精神年齢を通常運転に戻した俺は、独占欲丸出しになりそうなことはおくびにも出さずに、ヒロインの動向と周囲の様子も窺う。

 魔力感知で見ると、ヒロインの魔力が何かおかしい。

 編入して来た時は、聖属性の白色の魔力に何か黒いものと桃色のものがちらついているだけだった。

 今はちらついている黒いものの色が濃くなったように感じる。

 気のせいだと思いたいが、気持ち悪く感じる。

 そんなことを思っていると、ハイドレンジアが俺の元にやって来た。


「我が君。お会いしたいという方がいらっしゃるのですが……」


「一体誰が?」


「ここでは名前は伏せて欲しいとご要望ですが、何度もお会いしたことがあるので、問題はないかと」


 ハイドレンジアの言葉で何となく正体が分かり、溜め息を吐く。


「……分かった。場所は個室?」


「はい」


「ウィスティ、ディル、オフィ嬢。皆と先に食堂で昼食を先に食べててもらえる?」


「ああ、分かった。大変だな、王子様も」


「君も公子様でしょ。はぁ、念願の食堂での昼食だったのに……」


 ツッコミと共に溜め息が漏れる。

 今日は魔法学園の食堂に行こうという話をしていた。

 普段は王族専用の個室で昼食を摂っていたのだが、俺が食堂に興味があるとうっかり呟いたことで皆で行くことになった。

 前世でも呪いで身体が動かなかったことで、ほとんど学校に行けず、よく漫画等で見る昼食を食堂で友人達と食べるというものがどんなものなのか体験したかった。

 乙女ゲームでの第二王子はほとんど食堂で食べていたので、何だか対抗意識も出てしまい、余計に行きたくなり呟いてしまったのだが、邪魔されてしまったので、俺は食堂に縁がないのかもしれない。


「ウィスティ、終わったら行くから」


「はい。お待ちしてます、ヴァル様」


 微笑み合うと、ディジェム達が顔を赤くした。

 何でだよ。

 小さく息を吐いて、教室を出る。その後ろをハイドレンジアが続く。

 出ると同時に、念話で紫紺を喚ぶ。


『紫紺。編入生が何をするか分からないから、念の為、姿を隠して様子を見ておいて。何かあったら皆を守って欲しい。その時はすぐ知らせて。すぐ行くから』


『分かった、兄上。何かあればすぐに伝える』


 頷き、紫紺はウィステリア達の後を追った。

 いつの間にか、紫紺は俺を兄と呼ぶようになってる。まぁ、いいけど。

 グレイには話したのだろうか。まぁ、いいけど。

 何度目かの溜め息を吐いて、俺は個室へ向かった。










 王族専用の個室に入ると、俺に会いたいと言った紅梅色の髪、蜜柑色の目をした当人が立って待っていた。

 何となく、呼んだのは彼だと思っていたが、正解だった。


「待たせて申し訳ない。ドラジェ伯爵令息」


「いえ。こちらこそ、突然申し訳ありません。どうしても、殿下にお伝えしたいことがありまして」


「名前を敢えて伏せたのは、ドラジェ伯爵家には関係ない話ということかな?」


「そうです。ご聡明なヴァーミリオン殿下には心服するばかりです」


 にっこりと微笑み、ロータスはお辞儀をする。

 その仕種はわざとそうしているのか、とても胡散臭く見える。


「用件を聞いても?」


「その前に、人払いをお願い致します」


 ロータスは静かに、俺の後ろに立つハイドレンジアを見据える。

 俺は顔を後ろへ向け、ハイドレンジアに頷く。


「何かあればお呼び下さい、我が君」


 俺の耳元で囁き、頷くのを確認すると、ハイドレンジアは個室を出た。

 ハイドレンジアが出たのを確認したロータスが防音の結界を張った。


「先程は失礼致しました、ヴァーミリオン様」


 先程の態度と打って変わって、ロータスは左胸に手を当て、恭しくお辞儀をする。

 その変わり身に、眉を寄せる。

 更に、先程までは殿下と俺を呼んでいたのに、何故、様と呼んだのかも理由が分からない。


「どうか、警戒しないで下さい」


 そう言われて、警戒を解く人間はいるのだろうか。


「……まぁ、そう言われても警戒は解けないですよね……。ヴァーミリオン様、私の少し変わった出生の話を聞いて頂けますか?」


 苦笑を浮かべ、ロータスが告げる。

 話が進まないので頷き、ソファに腰掛け、ロータスにも勧める。

 ロータスも対面のソファに座り、じっと俺を見る。


「実は私には生まれる前から主がいます。その方は本来なら神として、女神ハーヴェスト様と共に人間達に崇められても良い方なのに、魔に堕ちた元女神に狙われ、殺されてしまうため、人間として生まれることになりました。しかし、結局、魔に堕ちた元女神に狙われ、何処かの貴族令嬢が掛けた呪いと毒から母君を守るために生まれずに亡くなってしまったり、ここではない別の世界でお生まれになっても、魔に堕ちた元女神から呪いを受け、若くして亡くなられ、無理矢理この世界に戻され、お生まれになりました。私はその方が神としてお生まれるになる際に、眷属神としてお支えする予定でしたが、その方が人間としてお生まれになりましたので、私もお支えするため、人間として生まれることになりました」


 長い。噛まずによく話したな。

 というか、待て待て待て。本当に拗れまくってるな。

 ロータスの話を聞くと、その神って俺じゃん。

 しかも、ロータスも神になるはずだったということじゃないか。


「……その神が、俺と言いたいんだな? で、ドラジェ伯爵令息も本来だったら神ということかな?」


「仰る通りです。貴方の配下の神――眷属神としてお支えする予定でした」


 俯きながら、ロータスは呟くように続きを言う。


「本来なら、ヴァーミリオン様が人間としてお生まれになられてすぐ、お近くにエクシュシオ子爵のように側近としてお支えする予定でしたが、記憶等の引き継ぎが上手くいかず、御前に馳せ参じるのが今となってしまいました。申し訳ございません。邪魔が入りまして……」


「邪魔……?」


「はい。魔に堕ちた元女神ミストが邪魔してきました。私がヴァーミリオン様の下に付くのが困るのでしょう」


「困る? 何故?」


「私の権能は調和。調和を司る神です。そして、魔に堕ちた元女神の権能は惑い。惑いを司る神です。惑わしても、調和には弱いのですよ」


 ロータスの言葉を聞き、調和の意味を少し考える。


「成程。調和は全体が程良く釣り合い、矛盾や衝突等がなく、纏まっているという意味だから、ドラジェ伯爵令息が俺の下にいると、俺を惑わせられないということか。でも、それは神の時の話であって、人間として生まれたのなら、その権能というのは引き継げないのでは?」


「ちゃんと段階を踏めば、引き継げます。記憶や権能も含め、その引き継ぎ最中に元女神に邪魔されました。本来ならヴァーミリオン様がお生まれになった時点で側近としてお仕えするつもりでした。邪魔された結果、記憶や権能等の引き継ぎが完了出来たのが三年前、ヴァーミリオン様がシスルを助けて下さった後です。もう少し早く引き継ぎが出来ていれば、シスルと共にお仕え出来たのですが……」


 溜め息を吐き、ロータスは苦笑する。

 何というか、この人も過激派? 何か、ハイドレンジアと同じような感じがする。


「そうだったのか。それで、今、俺に話した理由は?」


「ヴァーミリオン様が警戒されているチェルシー・ダフニーに元女神が接触しました。それをお伝えする際に、私のことも伝えないと納得されないのではと思いまして」


「……接触? いつ?」


「召喚獣の召喚の授業の時ですね。あの女、スライムを召喚し、癇癪を起こして授業を勝手に中断して離れたと思うのですが、その後に元女神と接触したようです」


 ロータスの言葉に少しだけ血の気が引く。

 あの時の嫌な気配は気のせいではなかった。

 頭痛がする。

 いつかはどちらかが接触すると思っていた。

 ハーヴェストからもヒロインを断罪すれば、元女神に繋がると聞いていたし、今日の魅了魔法を使ってこなかったのも何かあるのだろう、と思っていた。

 元女神から何か入れ知恵をされたのだろう。

 が、その前に。


「何故、二年生の君が一年生の授業内容を知っている? しかも、チェルシー・ダフニーをあの女って呼ぶのは君と何かあったのか?」


「人間として生まれましたが、私も一応、神の端くれですので、人間と違って目や耳も良いので、ヴァーミリオン様をお守り出来るように見ておりました。チェルシー・ダフニーは我が主であるヴァーミリオン様と最愛の婚約者様の邪魔でしかない存在なのであの女と呼んでいるだけです」


 辛辣だなぁ、この人。

 いつの間にか、俺を我が主認定してるし。というか、ウィステリアは認めてるんだ……。

 それに守れるように見ていたって、授業を真面目に受けろよ……。

 小さく溜め息を吐く。


「ヴァーミリオン様。ご提案があります」


「何だ?」


「私の目と耳を使いませんか?」


 じっと蜜柑色の目が懇願するように俺を見つめる。


「国王夫妻、王太子夫妻、ヘリオトロープ公爵家には影がいます。それは王族と準王族だからです。ですが、貴方には影がいません」


「必要ないからね。王位継承権を放棄する王子に影がいたら、それこそ叛意を疑われる」


 八歳の時に国王夫妻襲撃未遂の後に影を付けないかと国王と宰相から打診はあったが、必要ないと突っぱねた。

 後々、俺に影がいることで国王や宰相の敵対貴族から叛意を疑われる可能性もあったし、逆に取り込もうとする可能性もあったから、元々いなければ手出し出来ないと思って断った。

 萌黄がいるから、情報収集は出来るから問題ないし、場合によってはヘリオトロープ公爵に協力を仰ごうと思っていた。


「貴族関係では確かに貴方の場合は必要ないでしょう。次期風の精霊王が召喚獣ですから。しかし、元女神に関しては心許ありません。あの元女神は魔に堕ちてから狡猾になりました。風の精霊王の情報収集能力を掻い潜るのは容易です。元女神の動きを把握、牽制するために、神としての権能と、私の目と耳も使いませんか?」


「……それは俺を第二王子としてではなく、神として配下になると言ってるのか?」


 もしそれなら否だ。俺は神じゃない。

 ロータスが言う神の権能なんて、俺は持っていないし、何を司るのかも知らない。


「難しい問いですね。元々、私は貴方の眷属神として生まれるはずでしたから、神として配下になるのは何の躊躇いもありません。ただ、私にとっては貴方をお支え出来るのなら、神でも第二王子でもどちらでも構わないと思っています」


 やっぱり過激派だ。これ、ハイドレンジアと結託したら、色々止めるのが大変になるんじゃないだろうか。

 だが、魅力的な提案ではある。

 相手は元女神。萌黄だけでは確かに心許ないところはある。

 現に、ヒロインと元女神が接触したのも俺は気付かなかった。

 最悪な結果にならないためには、手札は多いに越したことはないので、その申し出は正直有り難い。


「ドラジェ伯爵令息は俺個人の影になると取っていいのかな?」


「そうですね。そう取って下さって構いません」


 言いながら頷き、ロータスはじっと蜜柑色の目で俺を見つめる。


「分かった。俺に協力してくれるのなら、とても有り難い。君の提案、乗らせてもらうよ。ドラジェ伯爵令息」


 小さく微笑むと、ロータスは感極まったように身体を震わす。ちょっと、引いた。


「ありがとうございます! ヴァーミリオン様! ああ、私のことはどうぞ、ロータスとお呼び下さい。実は羨ましかったのです。シスルや妹達が。すんなり貴方様の配下になるのに、私はまだちゃんと配下になっていませんでしたし、どちらかというとヴァーミリオン様に一番怪しまれていましたし! 私が一番、ヴァーミリオン様のご事情に一番詳しいのにぃっ……!」


 拳を作り、ロータスはぷるぷると悔しそうに震わせている。

 あー……うん。確かに怪しんでました。

 だって、胡散臭い笑みを浮かべたりするし。敵なのか味方なのか分からない状態なら、怪しむに決まっている。


「あー……うん。とりあえず、ロータス。これから宜しく」


 もう一度、駄目押しで小さく微笑むとロータスの笑顔が弾けた。

 よし、上手く誤魔化せたようだ。

 それから、笑みを消して、早速ロータスを見て、


「そういう訳で、チェルシー・ダフニーと元女神の動向、調べておいてもらえる? あと、もし分かればだけど、どの程度の力量なのかも分かると尚良いかな」


 目を細めながら告げる。我ながら、腹黒いなと思う。

 こんなところ、ウィステリアには見せられない。


「畏まりました。お任せ下さい、ヴァーミリオン様」


 人の良い笑みを浮かべ、ロータスは恭しく一礼し、個室を後にした。

 ロータスが離れたのを確認した後、今度は俺が防音の結界と除き見防止、侵入禁止の結界を張る。

 深呼吸して、口を開く。

 こういう時は、意外と緊張するんだなと感じる。


「――ハーヴェスト」


 普段、口にするのを気を付けていた俺の片割れの姉の名を呼ぶ。

 結界を張った部屋の中で、空気と気配が変わる。


『どうかしたの? ヴァーミリオン』


 澄んだ空気が広がり、小首を傾げながら女神が俺を嬉しそうに見る。傾げたことで濡羽色の髪が一房肩から落ちる。

 全部見ていたくせに、この女神は何を言ってるんだ。


「……知ってるのに聞いてくる貴女はどうなんだ?」


 ジトっとした目でハーヴェストを見ると、彼女はニヤリと笑う。その顔も俺そっくりだ。


『やっぱり貴方はわたしの半身ね。お互いの手の内が分かっちゃうからやりにくいわ。お久し振りだね、リオン』


「それはこちらも一緒だよ。久し振り、ヴェル」


 小さく微笑み、俺はハーヴェストを見る。


「俺以外の転生者、ウィステリア、ディジェム、オフェリアに伝える時期はそろそろ?」


『いきなり本題に入るのね、リオンは。そうね。時期としてはもう伝えて大丈夫。その時はわたしを呼んで。わたししか知らないリオンとあの子達の話もあるから』


 ハーヴェストしか知らない、俺達の話ってどんな話だ。

 最近、衝撃の事実というのを知らされ続けて、疲労感が半端ない。


「……そう。俺の話もまだあるのか……はぁ」


 溜め息が自然と漏れる。


『ちなみに、今、伝えておきたいのはリオンが神として生まれるはずだった時に持つ権能はね、守護と再生。貴方は守護と再生を司る神として生まれるはずだったの』


 あっさりハーヴェストは俺に告げる。


『わたしは創造と豊穣を司る女神。権能も同じ。これを貴方に伝えたのは、後々、必要になるから。貴方は神ではないから使えないけど、それでも覚えておいて』


「……分かった。覚えておくよ」


 それしか言えなかった。

 何に必要なのかは分からないが、ハーヴェストが伝えたということは元女神関連で何かあるのだろう。

 そこでふと気付いたことを口にした。


「ん? 俺とヴェルは権能が二つなんだな。ロータスや元女神は権能が一つなのに」


『そこに気付く貴方は本当に凄いわね。わたしと一緒に双子神として育ちたかったわ……。リオンの言う通り、わたしとリオンは二つ権能がある。それは上位の神だから。ロータスとミストはわたし達より下位だから一つしか権能はないの』


「姉なのに、権能が一つで下位なんだ……」


『姉妹、姉弟でも神格がそもそも違うもの。兄や姉が上位の神もいれば、弟や妹が上位の場合もあるのよ。人間と一緒よ』


 そうなのか。何だか神の世界も複雑だな。

 知るつもりはないけど。

 知ったら厄介事に巻き込まれそうだ。


『……ロータスから聞いたと思うけど、ミストがチェルシー・ダフニーに接触したわ』


「そうみたいだね。面倒臭いなぁと思ってるところだよ、本当に」


『そうね。面倒臭いわよ。わたしが帰った後から面倒臭いことになると思うから気を付けて。貴方の魔力も覚醒前だけど、今の時点でチェルシー・ダフニーよりは優に高いから大丈夫だし、ロータスもいるから魅了魔法に簡単には掛からないけど、それでもミストは元が付くけど腐っても女神。油断せずに気を付けて』


 姉に対するハーヴェストの言葉が辛辣だ。

 しかも、その言い方から今から仕掛けて来るってことじゃないか。面倒臭いなぁ、本当に。


「分かった。油断するつもりはないけど、気を付けるよ。あ、元女神ももしかして出て来る?」


『どうかしら? と言いたいところだけど、まだ現れない。女神ではなくなったからね、わたし以上に簡単にこちらに出るのは難しいのよ。この前、チェルシー・ダフニーに接触した訳だし』


「そうか。制限とか色々面倒なのか。出て来たら、捕まえた方が早いと思ったんだけどなぁ」


『……さらっとそういうことを考えるのね。その方が手っ取り早いし、すぐ終わらせられるのは確かだけれど』


「一瞬、俺を狙ってるんだから、俺を囮にして捕まえようかと思ったんだけど、まだ手札が足らないと思う」


 何せ、こちらは人間。あちらは元女神。

 魔力もこちらの方が弱い。

 するなら、俺の魔力が覚醒した後が良いような気がする。


『確かにまだ足らないわ。リオン以外にもウィステリアやディジェム、オフェリアは重要よ』


「え、あまり三人を元女神関連で巻き込みたくないんだけど……」


 俺はともかく、転生したのだから、何かに巻き込まれることなく三人には穏やかに暮らして欲しいと思っていたのだが……。


『残念ながら、ミスト関連なのよ。その話を三人にも聞いて欲しいの。それを聞いた上で対策を取らないと、三人共、リオンの敵に回るわ』


 ハーヴェストの言葉に、衝撃が走る。


「それは……嫌だな。つまりはチェルシー・ダフニーか元女神のどちらかの魅了に掛かるってこと?」


『そうね。少し先の話だけど、リオンが作ったアクセサリーでは効かない程の強い魅了をミストに掛けられる。三人とチェルシー・ダフニーを使って、ミストはリオンを追い詰めるつもりよ』


 ハーヴェストの話を聞いて、長い溜め息が漏れる。

 頭が痛いな、本当に!

 そこで、ハーヴェストの話に、既視感を覚える。


「ん? 今後、ゲームのウィステリアちゃんの位置に俺が立つってこと? 断罪されるの、俺?」


『対策を講じなかったらね。だから、今リオンに伝えているのよ。それにゲームのウィステリアの位置に立って、追い詰められたリオンは正直何をするか分からないからわたしも怖いのよ』


 追い詰められた俺……窮鼠猫を噛むをしてやろうか。というか、追い詰められたら噛むかも。

 ただ、何をするか分からないと言われると、腑に落ちない。


「酷い言い草だな。俺はネズミか」


『えぇー、それならミストは猫? やめて欲しいわ。リオンの方が可愛い猫でしょ。だからと言ってミストはネズミじゃないわ。虫よ虫』


「虫に失礼だろ。塵だ塵。あ、塵にも失礼か」


『……リオンの方が酷い言い草よ。とにかく準備は出来てるから、早めにわたしを呼んで』


「分かった。色々、教えてくれてありがとう。最悪の事態も想定して動くよ」


『ええ、そうして。出来れば、リオンの召喚獣とハイドレンジア、ミモザ、グレイ、ロータスにはちゃんと相談して。彼等はミストの魅了には掛からないから』


 ……ん? ハーヴェストの言葉に、動きが固まる。

 待て待て待て。俺の召喚獣と精霊と混血のグレイ、眷属神のロータスは分かるとして、何でハイドレンジアとミモザ?


『ああ、あの子達、貴方の眷属神のようなものよ』


 俺の混乱する顔を見て、ハーヴェストは微笑んだ。俺の混乱っぷりを楽しんでる顔をしている。


「何で? 二人は人間じゃないのか?」


『人間よ。リオンが助けた時に運命が変わった。その結果、二人は貴方に忠誠を誓い、リオンは長い時間を共にして、二人を家族のように思ったことで眷属神のようなことになっちゃったのよ。だから、あの子達はミストの魅了には掛からない』


 そこで不思議に思う。

 ウィステリアは四歳の時から婚約者として長い時間を共にしている。

 なのに、彼女は元女神の魅了に掛かる。何故だろう?

 そして、アルパイン達も魅了に掛かるということだろうか。何で?


「ウィステリア達とも長い時間を過ごしているのに、元女神の魅了に掛かるのか……」


『だから、対策を講じなかったらの話よ。対策の一つは三人がリオンや自分達の事情を知ること。そうすれば魅了には掛からない。それが三人の魔力覚醒の鍵だからね』


「何か、また疑問を増やしてないか? 頭がいっぱいいっぱいなんだけど」


『それは仕方ないわ。ミストのせいで拗れまくったんだもの。わたしだって、収拾するのが大変なんだから』


「女神様も大変だな」


『本当よ。リオンも神だったら、一緒に収拾出来るから、対応も早いのに。無いものねだりだけどね。絶対、ミストを捕まえて、生まれてきたことを後悔させてやる……』


 拳を握り締めて、ハーヴェストは唸るように呟いた。

 生まれてきたことを後悔させるという言葉に、聖の精霊王の月白を思い出した。

 五百年前に父親になるはずだった初代国王も、同じ言葉を言っていた。

 俺と双子のハーヴェストと顔が似ている父親になるはずだった、聖の精霊王。

 ある考えに辿り着き、嫌な予感しかしない。


「もしかして、聖の精霊王とヴェルって何か関係がある?」


『あら、よく辿り着いたわね。そうよ。アルジェリアンはわたしの子孫よ。わたしと言っても、分身体の子孫だけど。しかも先祖返り。わたしやリオンとまでは行かないけど、魔力が強くて、顔がわたし達に似てて、考えも少し似ているのも先祖返りが影響してるわ。だから、リオンが五百年前に生まれる前に死んだ時、毒と呪いを掛けた貴族令嬢に容赦しないで、生まれてきたことを後悔させて断罪したのはそういうことよ』


 言外に、俺もそうするだろう? とハーヴェストは言ってくる。

 いや、確かにウィステリアや、ウィステリアとの子供が生まれたとして、同じようなことが起きたら俺はしないとは言い切れない。多分、いや、絶対にする。

 現に、七年前の国王夫妻襲撃未遂の時にセラドン侯爵とホルテンシア伯爵にはウィステリアとハイドレンジア、ミモザに手を掛けようとしたので引導を渡した。

 やっぱり血筋かぁ……。


『まぁ、わたしの分身体の子孫はグラファイトにはもういないし、残りはカーディナルの王族のみなのだけどね』


 ハーヴェストが呟くように説明する。

 そういえば、月白はグラファイト帝国の当時の皇帝の庶子だった。


『アルジェリアンの母親がわたしの分身体の子孫なの。元々はグラファイト帝国と名乗る前の国の王族だったけど。色々あってカーディナルに来て、王国を作って、そのままリオンまで続いたのはわたしとしては驚きだけど』


「意図してなかったのか?」


『してないわよ。そこまで世界を拗らせる訳にはいかないもの。やり過ぎると、正直、世界が一瞬で消えるわ。わたしにもその代償が来る。ミストもリオンの魂を得ようとして、この世界と前のリオンの生を滅茶苦茶にした。魔に堕ちたのは代償を負った結果よ』


「そうか……。女神も代償を負うんだな。しかも、滅茶苦茶にしたら魔に堕ちるのか」


 ということは、ハーヴェストも?

 思わず、ハーヴェストを見る。彼女は何だかんだと俺に助け舟を渡してくれている。神のルールがどういったものがあるのか分からないが、それも代償にはならないだろうか。


『大丈夫よ。リオンに色々教えていることは代償にならないから。むしろね、リオンの方が大変なのよ? ミストのせいで、リオンは神の資格を持ったまま人間として生まれた。だから、リオンはほぼ神扱いよ。神同士みたいなものだから、わたしが色々教えていることは代償にはならない』


「えぇー……。俺は人間で良いんだけど」


『それなら、人間としての人生を終えた後に神になってくれる? わたしと一緒に双子神として』


「それは、もう少し考えさせて。流石にまだ生まれて十五年の小僧では答えに辿り着けない」


 ウィステリアを幸せにするという目標もまだ達成出来ていないのに、死後のことまで考えつかない。


「……というか、ちょっと待った。俺がほぼ神なら、色々な人の運命に介入しまくってるけど、これの代償はないのか?」


『それは大丈夫。ほぼ神と言っても魂だけの話で、身体は人間だし、他の神もリオンの境遇や人となりは知ってるから皆、目を瞑ってるわ。むしろ、拗れまくった世界を収拾する手助けをしてくれてるからわたし達、神のアイドル的な存在な目で見てるわよ? わたしの半身だから、皆、羨ましがってるのよ』


「いや、それ、やめてくれ。救世主じゃなくて、アイドルって……。アイドルも救世主も嫌だけど。しかも、俺の動向、神様達が見てるのか? 恥ずかしい……」


 何にも出来なくなるじゃないか。まぁ、するけど。

 というか、神達も何してんの?


「もう意味が分からない……」


『あ、そろそろ帰ろうと思うのだけど、もう一つ言い忘れがあったわ』


「え、何? もうお腹いっぱいなんだけど……」


『リオンの魔力覚醒の鍵は、貴方の最愛から愛を貰うことよ』


 いきなり抽象的な言葉に、思わず固まる。

 え、愛を貰うって、何?


『そのままよ。最愛から愛を貰う。与えてばかりだと育たないわよ?』


 いや、与えてばかりって、俺だけが与えてるって言いたいのか?

 俺も貰ってると思うんだけど、具体性がなくて分からない。


『しっかり考えてね? ついでにいきなり貰うとその場で魔力が暴走するから、場所には気を付けてね?』


「……ダンジョンで貰うのも、雰囲気的にどうかと思うんだけど?」


『それもそうね。それなら、わたしからちょっと贈り物。リオンの最愛から愛を貰ったら、すぐ暴走しないように一時間後くらいに暴走するように小さな祝福を贈るわ』


 そう言って、ハーヴェストは俺の両手を持って、自分の額に近付ける。俺の両手が小さく輝き、すぐ消える。


「……そこは暴走しないようにする祝福じゃないのか?」


『そうしたいところなのだけど、リオンの場合、覚醒した魔力を暴走させないと、魔力が身体を巡らないのよ。多過ぎるのもどうかと思うわ、本当』


「それは俺のせいじゃないんだけど。今以上に多くなっても、使い道がないんだけどなぁ……」


『大丈夫。後々、あるから。暴走が落ち着いたら、とりあえず高くなった魔力に慣れるまでアルジェリアンとカスティールに魔力を預けてね』


「分かった。情報が多過ぎて、もうお腹がいっぱいだけど、早めに対策を練りたいから、明日三人が問題なければ、ヴェルを呼んでもいい?」


『ええ、呼んで。二日連続でリオンに呼ばれるのは嬉しいな。それじゃあ、また明日ね』


 嬉しそうににっこり微笑んで、ハーヴェストは帰った。


「……うへぇ……断罪かぁ……」


 一人になり、滅多に出したことがない変な声を出した。

 俺が、断罪される。

 それは別にいい。元女神やらヒロインやらをどうにかした後ならどうにでも出来る。断罪される前に、色々根回しをしておけばいい。

 最悪、国を出る。

 魅了が効かない俺の召喚獣達や側近、侍女、暗殺者、眷属神がいれば珍道中になって楽しいかもしれない。

 問題はそこじゃない。

 最愛のウィステリアと親友のディジェム、親友の恋人のオフェリア、護衛達が俺の敵に回るのが嫌だ。

 そうならないために対策を講じれば良いとハーヴェストは言った。

 その対策が、俺の事情を知ってもらい、更には俺とウィステリア達の事情を知る必要があると言う。

 その意図が分からない。

 何故事情を知ったら、元女神の魅了に三人が掛からなくなるのだろうか。

 アルパイン達は難しいのだろうか。

 魔力の覚醒の鍵になるとは言っていたが、覚醒しただけで、元女神の魅了を防げるのかと不思議に思う。


「意味が分からない……」


 だから、またハーヴェストから俺とウィステリア達の事情を教えてもらうしかない。

 それでも、知っていて尚、へこむ。

 ゲームのウィステリアちゃんは謂れのない理由で断罪された。

 対策を失敗すれば断罪されると分かっている俺でもへこむのに、知らないまま断罪されたウィステリアちゃんはどう思ったのだろうか。

 まぁ、俺の婚約者のウィステリアが断罪されないならいいと思うけど。

 ずっとあの子は将来断罪されるかもしれないと怯えていた。

 その未来がなくなるなら、それでいい。

 彼女が断罪される可能性はゼロじゃないから、ウィステリアを守るけど。

 恐らく、ヒロインはゲームどおりにウィステリアを悪役令嬢として断罪したいと思う。

 学園でもよくウィステリアを睨んでいるから。


「……紅」


 小さく、俺の最初の召喚獣で、最初の友人の名を呼ぶ。一番、信頼している相棒だ。


『どうした、リオン』


 ふわりと俺の髪と同じ色の羽根を広げて、目の前に紅が現れる。


「ハーヴェストの話、聞いていたと思うけど、元女神が俺を断罪するメリットって何?」


『ふむ……。我も全てを知る訳ではないが、リオンを魔に堕とした後に側に置きたいのだと思う。あの元女神の心の内は我も分からぬが、恐らくな。我や召喚獣、精霊達もリオンの綺麗な魂に触れたい、共に居たいと思うが、元女神はリオンを自分の側に置きたい、独占したいと思うのだろう。ただ、綺麗な魂だから、魔に堕ちた元女神では触れられないから、リオンを魔に堕とす必要があるのだろう』


「それで、俺を断罪するってこと? 断罪される前に断罪し返すつもりなんだけど」


 転んでもただで起き上がるつもりはない。

 ざまぁ返しするよ、俺。


『……そこはアルジェリアンの息子だなと我も思う。そっくりだ』


「生まれる前に死んだけどね……。紅、俺の考えていることを聞いてくれる? それで、もし、ヤバイ考えだと思ったら、止めて欲しい」


『……相変わらず、リオンは難儀だな。我はリオンの召喚獣で、友人で、相棒だ。言われなくとも、いくらでも止めてやる。我の目の黒い内は、リオンが道を外すようなことはさせない』 


「ははっ。ありがとう」


 紅の言葉に思わず、声を出して笑う。彼の目は俺の右目と同じ金色だ。








 紅に色々話し、気持ちが落ち着いた俺は彼を右肩に乗せ、王族専用の個室を出ようとして、扉の取っ手に触れたまま固まる。


「……いるね」


『……いるな』


 常時、発動中の喋らないけど様々な情報を教えてくれる、もう一つの相棒が、危険を知らせる。

 魔力感知がヒロインの魔力に気付いて教えてくれる。

 何故か、扉の向こう側で、ヒロインが待ち構えている。


「……やっぱり、俺狙いか……。嫌だなぁ……。俺はリアが良いのに……」


 ウィステリアになら待ち伏せされてもいい。というか、してくれないかな。


「どうしようか。レンにヒロインがいるからって話して、窓から出る? それとも転移魔法? 何で、こんなことで悩まないといけないかな」


『……折角、落ち着いたのに、またか。あのヒロインはリオンを苛立たせる天才だな』


 溜め息を吐いて、紅が俺の頭を羽根で撫でる。ふわふわだ。


「性格から合わないんだよ。前世の時から思ったけど、乙女ゲームのヒロインも、今のヒロインも俺とは性格と考え方が合わない。虫酸が走る」


『相変わらず、リアや身内以外には辛辣だな、リオンは』


「紅もそうだろ。というか、皆誰しもそうだと思うけど」


 そう言いながら、この状況を打開出来る案がないか考える。

 元女神と接触したヒロインとまだ対峙したくない。ロータスに動向や力量を調べるようにさっき言ったばかりだ。


「早くリア達が待ってる食堂に行きたいのになぁ」


『どうにかするしかないだろう』


「本当にね……。どうしようか、これ」


 だんだん投げ遣りになって強行突破したいところだが流石にそれは悪手だし、今は会わないのが一番良い。


「……姿を消す魔法を自分に掛けて、窓から出る。レンに伝えてくるよ」


『……それがまだマシだな』


 溜め息を吐いて、ハイドレンジアがいる王族専用の従者の控室に向かう。

 そこでハイドレンジアに状況説明と、念の為、俺の作った状態異常無効のアクセサリーを付けておくようにと伝える。

 そして、姿を消す魔法を自分と紅に掛けて、個室の窓から飛び降りる。高さは二階から一階なので、そこまで高くない。余裕で降りられる。

 着地した後、誰もいないことを確認して姿を消す魔法の解除し、食堂へと向かった。


 そして、食堂でまた面倒臭いことに巻き込まれることになった。

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