第48話 光の精霊王と聖の精霊王

『ヴァーミリオン』


 優しい声音で言う、その言葉に、声が出ない。

 初めて聞くはずなのに、聞いたことがある気がする声で、音で、懐かしくて、息が詰まる。

 光はまだ輝いていて、目の前の女性の召喚獣の正体は、俺以外、誰も見えていない。気付いていない。

 眩しくて、誰も目を開けられていないようだ。


『やっと会えた』


 一歩、一歩と俺に近付く召喚獣は、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。


『詳しくは、後で話すから、私と契約して。お願い』


 懇願するように、泣きそうな顔で、召喚獣は抱き着いて、俺にだけ聞こえるくらいの声で訴える。


「……分かりました。光の、精霊王……」


 頷くと、召喚獣は俺から身体を離した。

 輝きは収まり、召喚獣の正体――光の精霊王は嬉しそうに微笑んでいた。

 ウィステリア達や他の生徒達、クレーブス先生、タンジェリン学園長が呆然と俺と光の精霊王を見つめる。


『また後で、話すから、喚んでね?』


 そう言って、光の精霊王は消えた。


「嘘でしょ。ヴァル君、今の、光の精霊王……?」


 光の精霊王に驚いた様子で、タンジェリン学園長が俺に問う。

 タンジェリン学園長の言葉に、生徒達がざわめく。


「そうみたいですね」


「とんでもない召喚獣を喚びましたわね……。しかも……」


「あれ、驚かないのでは……?」


「ごめんなさい。わたくしがいけませんでしたわ。ヴァル君を甘く見てましたわ」


 息を吐いて、タンジェリン学園長は首を緩く左右に振る。


「まさか、精霊王をこの目で見られるとは思いませんでしたわ」


「まさか、初めてですか?」


 タンジェリン学園長が静かに頷いた。

 タンジェリン学園長でも精霊王を見るのは初めてらしい。

 精霊と親和性が高いエルフだから、てっきり見たことがあったり、言葉を交わしたりしていると思っていたが、そうではなかったらしい。

 精霊王だから、滅多に会えないのかもしれない。

 それなら、俺の召喚獣の萌黄や紫紺を喚んだらどうなるのだろうか。

 次期風の精霊王と闇の精霊王。

 卒倒したらどうしようか。

 少しだけ、いたずら心が湧いたがやめておくことにした。


「――?!」


 その時、一瞬だけ、部屋の外から言い知れぬ嫌な気配を感じた。

 気配がした方向を見るが、その気配はすぐ消えた。

 気のせいとは思えず、魔力感知を部屋の外まで範囲を広げて、確認する。

 気配がした方向にはヒロインの魔力反応だけがある。

 何か、良からぬことを考えているのだろうか。


「ヴァル君?」


 タンジェリン学園長が不審に思い、俺に声を掛ける。


「……大丈夫です。何でもありません」


 何でもなくはないが、ここまでのようだ。


『紫紺。念の為、部屋の外の周囲を確認してもらえる?』


 念話で、紫紺に声を掛ける。

 深いところで繋がっているから、俺の意図が伝わる。


『分かった、ヴァル。確認しよう』


 俺の影からすっと静かに部屋の外へ向かった。


「ヴァル様、父が外へ向かったようですが、何かありましたか?」


 グレイが駆け寄り、小声で俺に問い掛ける。


「変な気配を感じたから、確認してもらいに行ったんだ」


「一瞬感じた嫌な変な気配のことですか? 何もないと良いのですが」


 精霊王と人間との混血だからなのか、グレイも気配には敏感のようだ。




 結局、紫紺にも確認してもらったが、ヒロインが居ただけで、スライムを召喚して落ち込んでいるだけだったようだ。

 それでも、杞憂には思えず、言い知れぬ不安だけが残った。








 今日の魔法学園の授業が終わり、夜になり、俺は紅、萌黄、青藍、紫紺だけがいる部屋で、光の精霊王を喚ぶことにした。

 防音の結界を念の為、張る。

 深呼吸をして、光の精霊王を喚んだ。


「光の精霊王」


 喚ぶと、光の属性と同じ黄色の光が目の前に輝く。

 牡丹色の髪、右目が花葉色、左目が銀色の光の精霊王が現れる。


『喚んでくれてありがとう。ヴァーミリオン』


 嬉しそうに、花のように顔が綻ぶ。

 その声を聞いただけで、何故か息が詰まる。


「……い、いえ」


『貴方の疑問についてお話をする前に、もう一人、喚んでもいい?』


 俺は咄嗟に声が出ず、頷いた。


『ありがとう。いいわ、あなた。来て』


 光の精霊王の言葉に反応して、白色の光が輝く。

 白色ということは聖属性だろうか。

 光が収まると、俺と同じ紅色の髪、右が金色、左が月白色の目の男性が立っていた。


『やっと会えたな、ヴァーミリオン』


 こちらも嬉しそうに男性が微笑んだ。

 こちらも、声を聞いただけで、息が詰まる。

 漂う魔力の量が普通の精霊と違う。

 聖属性の精霊王か……。

 小さく溜め息を吐く。

 タンジェリン学園長でも精霊王に会うのは今日が初めてって言っていたのに、俺はこの数日で何人の精霊王に会ったんだ……。


「は、初めまして……」


 やっとの思いでそれだけが言えた。

 初めて会うはずなのに、この湧き上がる、懐かしいという気持ちは何なのだろうか。

 戸惑う俺を見て、二人は苦笑する。


『戸惑ってるなぁ』


『戸惑ってるわね』


 どう反応していいのか分からず、上目遣いで見てしまったせいか、聖の精霊王が頭を掻いた。


『あー……とりあえず、ヴァーミリオンが戸惑ってる訳だし、俺達の自己紹介するか。俺は聖の精霊王だ。元々は人間だった。人間の時の名前はアルジェリアン・クローム・カーディナル。歴史とかでよく耳にする、初代国王だ』


 聖の精霊王こと初代国王の自己紹介に、俺は固まる。ということは、隣の光の精霊王は……。


『私はさっきも会ったけれど、ちゃんと自己紹介してなかったから、私も言うね。私は光の精霊王。人間の時の名前はカスティール・コスモス・カーディナル。アルジェリアンの妻で、初代王妃よ』


 光の精霊王こと初代王妃の自己紹介に更に固まる。

 それは懐かしいって思うよね。

 両親になるはずだった二人で、記憶はないが初代王妃の胎内にいた訳なので、声は覚えていたのだろう。

 戸惑っていたのはそういうことなのだろうと、自分で分析する。


『可愛いな。俺達の正体が分かった後の驚いた表情がティアそっくりだ』


『あら、普段はリアンそっくりじゃない。可愛いのは私も同意するけれど』


 そう言って、二人揃って俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でる。


『ヴァーミリオン』


「は、はい……」


 どういう対応が正解なのか分からず、俺の名前を呼ぶ光の精霊王に目を向ける。


『ずっとね、貴方に御礼と謝罪を言いたかったの。私を毒と呪いから守ってくれてありがとう。ちゃんと産んであげられなくてごめんね』


 そう言って、光の精霊王は俺を抱き締めた。


「あ、あの、光の精霊王が謝ることではないです。俺が勝手に引き受けただけで……」


 記憶はない。けれど、何となくそう感じたことを伝える。

 この人の胎内にいた時、俺が生まれなくてもいいから、母を守りたいと確かに思ったように感じる。

 本当に記憶はないが。


『それでも、だ。ヴァーミリオン。お前が守ってくれたから、俺は最愛を失わずに済み、せっかく作った国を滅ぼさずに済んだ。まぁ、お前を失った時は毒と呪いを掛けた貴族令嬢の家系は全て滅ぼして、その血を継いだ者はもう現在はこの世に残っていないが』


 物騒だな、初代国王。

 しかも、実際にやったのか。

 でも、ウィステリアに同じことが起きたら、俺もやり兼ねない。

 血は争えないというのはその通りだろうなと感じる。


『だから、俺達はお前にずっと御礼と謝罪がしたかった。親として何もしてあげられず、生まれる前に死なせてしまい、この手で抱き上げて、愛情を注いであげることも出来なかった。どういう訳か俺達は精霊王になることになり、お前の事情を知り、また俺達の血筋として生まれると知った時に、お前に守護と祝福を贈った。それを知ればお前に負担になると分かってはいたけどな』


 聖の精霊王も光の精霊王ごと俺を抱き締めた。


『俺の最愛を守ってくれてありがとう。父として守ってあげられなくてごめんな、ヴァーミリオン』


 聖の精霊王の言葉に、胸が締め付けられる。

 五百年前に生まれる前に俺が死んだことで、二人に大きな傷を与えてしまったんだと悟る。


 ただ、母を守りたかった。

 母を失うことで父を悲しませたくなかった。

 それなら、生まれる前の俺が、と思った。


 記憶はない。

 それでも、その時の感情が甦る。

 今なら分かる。

 ああ、俺はなんて罪を犯してしまったのだろう。


「……ごめん、なさい……。二人の、子供として生まれることが出来なくて、ごめんなさい……」


 自然と涙が溢れる。

 成人した身体は十五歳で、精神年齢は三十四歳。

 いい歳したヤツが小さな子供のように泣いている。


『泣かないで、ヴァーミリオン。貴方のせいではないの。毒と呪いを掛けた貴族令嬢が全て悪いのよ。私達の子供として生まれて欲しかったけど、貴方がちゃんと生まれてくれて、私達は嬉しいのよ』


 光の精霊王が止まらない涙を優しく拭いてくれる。母親が小さな子供にするような仕種で頭を撫でる。


『そうだぞ。俺達はお前がちゃんと生まれてくれて嬉しかったんだ。生まれた時からお前をずっと見ていた。お前の最愛を守るためにお前が頑張ってること、お前の両親の死の未来を変えたこと、側近達の悲劇と死の未来を変えたこと、薬師と青薔薇の精霊の死の未来を変えたこと、闇の精霊王の息子の死の未来を変えたこと、双子の伯爵令嬢の姉の未来を変えたこと……ずっと見ていた。これからも見ている。ただ、少し不満はある』


 不満という言葉に、涙が止まる。

 俺より背が高い聖の精霊王を見上げる。


『ティアは召喚獣にするのに、俺はしないのか?』


「……っ、はい?」


 泣き過ぎたせいで、ついでにひくりとしゃっくりも出た。


『お前は、俺を召喚獣にしないのか?』


 ずいっと俺に顔を近付けて、聖の精霊王がじっと見る。ご先祖というのもあり、顔が俺に似ていて、余計に圧を感じる。

 自分の顔はとりあえず棚に上げるが、聖の精霊王も光の精霊王も顔が綺麗だ。

 俺の今の父もイケメンだが、特に母は王国三大美人と言われるくらい顔が美しいのだが、目の前の二人はそれ以上に綺麗だ。

 俺の顔は母に似ていると思うが、どちらかというと聖の精霊王と光の精霊王にも似ていた。

 タンジェリン学園長の似ていると言っている意味が分かった。

 特に髪の色も俺と同じで、聖の精霊王の性格は最愛の人に対しての過激なところは余計に似ている気がする。

 それはさておき、目の前の生まれたら父になるはずだった人、もとい聖の精霊王が俺をじっと見ている。


「あの、召喚獣になって下さるんですか……?」


『元々、俺達はお前の召喚獣になるつもりだった。守護と祝福は召喚獣になるまでの繋ぎだ。色々と予定が狂ったが……』


 じろりと何故か聖の精霊王は闇の精霊王の紫紺を睨んでいる。

 紫紺が必死に目を逸らしている。


「紫紺が何か……?」


『一つ伝えておくが、あれは俺達の息子で、お前が死んだ後に生まれた子で、本来ならお前の弟になるはずだった』


「…………はい?」


 突然の爆弾発言に固まる。

 というか、精霊王が俺の身内で固められているのは何故だ。

 俺の半身の双子の姉、ハーヴェストを喚びたい。

 詳しく説明しろ、マジで、おい。

 俺の心が不穏になり、言葉が荒くなる。

 ちらりと、俺も紫紺を見ると、滅茶苦茶たじろいでいた。困ってる表情をしている。

 初めて会った時にたじろいでいたのは、俺が兄になるはずだったから、緊張とか諸々の感情があったのだろう。

 というか、そうなるとグレイは俺の甥、になるのか?!

 関係性が滅茶苦茶だ。拗れまくってる。

 マジで、ハーヴェスト、説明しろ!


『だから、もう一度聞く。俺の妻と息子を召喚獣にしたんだ。お前は、俺の息子は、俺を、父を召喚獣にしないのか?』


 じっと不満げに眉を寄せて、聖の精霊王が俺を見る。

 その表情は俺にそっくりだ。


「……なって、下さるなら、嬉しいです」


 少し苦笑も混ぜて微笑むと、聖の精霊王は満足げに頷いた。


『よろしい。じゃあ、俺と妻の名前も決めてくれるよな?』


「え、名前、あるじゃないですか……」


『人間の時の名前は流石にまずい。俺と妻は初代国王と初代王妃だ。その名を呼ぶだけで、俺達もお前も色々面倒臭いことになる。ロザリオの前なら構わないがな。それにあれには紫紺という名を与えて、父や母には与えてくれないのか?』


『私も欲しいなぁ、ヴァーミリオン』


 両親になるはずだった二人の圧力が凄い。

 というか、もう一人の息子なのに、あれと呼ぶのは可哀想だと思うのは俺だけか?


「う……では、名前、考えます」


 それしか正解はなかった。

 なので、俺は最早恒例になっている召喚獣の名前を考えることになった。

 と言っても、俺の知る召喚獣はとても綺麗なので、大体は決まっている。

 特に、聖の精霊王も光の精霊王も目の色が綺麗だ。


「聖の精霊王は月白(ツキシロ)で、光の精霊王は花葉(ハナバ)はどう、ですか……?」


『……良い名だ』


『そうね。素敵な名前』


 嬉しそうに聖の精霊王と光の精霊王が笑う。

 その笑顔で俺も自然と笑みが零れる。


『私達のことはその名前で呼んでね、ヴァーミリオン。あ、でも、お父様お母様でも嬉しいわ』


『俺達召喚獣の前ではお父様お母様で呼んでくれると俺達も報われるなぁ。そう思わないか、フェニックスにクラウ・ソラス。ああ、今は紅に蘇芳だったな?』


 ニヤリと聖の精霊王――月白が紅と蘇芳に笑い掛ける。

 そうだった。紅は俺の前は初代国王の召喚獣で、蘇芳は俺の前は初代国王が使い手だったことを思い出す。


『……我に振るな。決めるのはリオンだ。どちらを選んでも我はリオンを支持する。リオンは我の友だからな』


 紅はドヤ顔で胸を張って言う。

 紅の言葉に感動する。本当に、紅はイケメンだ。

 大分前からだが、もう惚れた。


『私も今はリオンが使い手だしねー? 私もリオンが選んだことを支持するよー。それにしても、私以外にもリオンが生まれた時からずっと見ていた人達がいるなんてね。君達も溺愛がひどいね』


 蘇芳が俺と同じ年頃の人型になって、ニヤニヤと月白を見る。


『うるせぇ。黙れ。父親が息子を気にして何が悪い。しかも、生まれる前に離れ離れになったんだ。気に掛かるだろうが』


 俺に対しての言葉遣いと違い、月白の口調がガラリと変わる。

 その遣り取りを俺は呆然と見つめる。


『で、ヴァーミリオンはお父様お母様と呼んでくれる?』


 小首を傾げて、光の精霊王――花葉が俺に問う。


「父上、母上ではないのですか?」


 ふと疑問に思ったことを聞く。


『うん? それだと貴方の今の両親と混同しちゃうでしょう?』


 成程。確かに混同するのはどちらの両親に対しても失礼だと思う。

 それなら、と、子供の時に呼んでみたかった敬称で呼んでみる。恥ずかしいが。


「あ、あの、では、父様、母様は、どう、ですか……?」


 少し、いや大分恥ずかしさが増して、顔を真っ赤にして上目遣いになって言ってしまった。


『……何コレ、この可愛い息子! 俺達の娘より可愛いぞ! あの貴族令嬢、生まれたことを後悔するくらい断罪したが、まだ足りなかったな。ちっ』


 月白が大きな舌打ちをする。

 娘いたのか。姉なのか妹なのか気になる。

 というか、物騒なことを言っている。


『絶対、息子でも娘でも可愛かったはずよ。ああ、本当に何で私達の子供として生まれなかったの! あの貴族令嬢、許すまじ。リアンが完膚なきまでに滅ぼしたからもう無理だけど、それでも断罪が足りなかった気がするわ!』


 俺の両親になるはずだった月白と花葉が、物騒なことを言いながら、ぎゅうぎゅうと俺を抱き締める。


『ヴァーミリオン、私達のことは父様母様で良いわ。むしろ、それ以外で呼んで欲しくないわ。まぁ、色々と説明は面倒臭くなるから、人前では貴方が考えてくれた月白と花葉で呼んで頂戴ね。あ、もちろん、口調も他の召喚獣達と同じように接してもらえると更に良いわね』


「わ、分かりました。父様、母様……」


 慣れない。この二人との距離感が慣れない。

 人前で、ちゃんと召喚主として振る舞えるか不安だ。不安しかない。

 ウィステリアに演技指導をお願いした方がいいかもしれない。


『というわけで、長くなってしまったが、ヴァーミリオン。お前に伝えることがある』


 いきなりの真面目モードの月白に俺は思わず、襟を正す。


「何でしょうか? と、父様」


 俺も真面目モードになりたいが、こそばゆい。

 この敬称、ちょっとだけ、口にしたことを後悔した。


『お前の事情は女神ハーヴェストを説教した時に全て聞いた。それも踏まえて言う。これからのチェルシー・ダフニーには気を付けろ。今までの比にはならないくらいお前に近付いて来るはずだ。それによって、お前の最愛にも魔の手が及ぶ可能性が高い。俺達もお前やお前の最愛を守る。またお前を失うのは嫌だからな』


 言いながら、俺の存在を確かめるように月白は頭を撫でる。


『貴方の今までの努力がきっとこれから活かされるはずよ。全てが繋がる。ただ、警戒を緩めないで。貴方の最善の方法で、よく考えて動いて。私の時のように、それなら自分が、と思って命を散らすのだけはやめて。私の時はあれしか方法は確かになかったけど、今は違う。様々な情報を辿れば、命を散らすことにはならないから』


 花葉も俺の存在を確かめるように、両頬に手を添える。


「はい。気を付けます。俺も、ウィステリアを置いて死にたくはないので」


 彼女を悲しませることはしたくない。

 最悪な結末、命を落とす訳にはいかない。

 今ならそれがよく分かる。

 五百年前に犯してしまった罪は、目の前の両親になるはずだった二人に与えてしまった傷は、消えない。

 自分で命を投げ出さずに、俺の最愛の人と共に寿命を全うしたい。

 それが二人に対しての償いになるかは分からないけれど。


『ちゃんと分かってるな? もちろん、俺達もフォローする。あそこの息子もな。そうだろう? 会いたかったお兄様な訳だしな』


 紫紺をじろりと見て、月白が言う。


『もちろん、フォローはする。その、会いたかったので……ヴァーミリオン、兄上に』


 紫紺が呼ぶ兄という言葉に、じわじわと俺の顔が赤くなっていくのが分かる。

 数日前の、闇の精霊王としての威厳は何処に行ったというくらい、紫紺は俺を見ている。

 綺麗な紫紺色の目は兄を見る弟の目だ。

 前世の妹が俺を見る時の目によく似ている。

 五百年前にちゃんと生まれていたら、弟だったんだと紫紺の目を見て感じる。

 そして、思う。


 知らないって、怖いし、俺にとっては罪だ。







 そして、次の日。

 魔法学園は休みなのだが、タンジェリン学園長に先触れを出して、会う約束をした。

 一応、タンジェリン学園長は花葉とは異母姉妹だし、月白とは親友なので、会ったら喜ぶのではないかと思ったからだ。

 それに、召喚獣として二人を喚んだ時に驚かれても困るので、先手を打って先に知ってもらっておけば何かしらのフォローをしてくれるのではという打算だ。

 魔法学園の学園長室の前で、扉を叩く。

 中からタンジェリン学園長の応答する声が聞こえ、中に入る。

 俺が入るのを確認して、タンジェリン学園長はすぐに防音の結界を張ってくれる。


「失礼します。ローズ伯母上、突然すみません」


「いらっしゃい、ヴァル君。気にしないで」


 嬉しそうににっこりと微笑み、タンジェリン学園長はソファに座るように俺を促した。

 ソファに腰掛けると、タンジェリン学園長が紅茶を淹れて、ティーカップを差し出してくれる。


「それで、今日はどうしましたの?」


「えーっと……昨日、授業で光の精霊王を召喚獣にしましたよね?」


「そうですわね。とっても驚きましたわ、本当に」


 言いながら、タンジェリン学園長はティーカップに口を付ける。


「実はその後、夜に聖の精霊王も召喚獣になりました」


「ごほっ……!」


 ティーカップから口を離し、タンジェリン学園長が咳き込んだ。


「ごほっ、ど、どうして、聖の精霊王まで召喚獣に……?!」


 咳き込みながら、タンジェリン学園長は俺を怪訝な表情で見る。


「聖の精霊王と光の精霊王は夫婦でして、私に光の精霊王を召喚獣にしたのに、自分は何故召喚獣にしないのかと言われまして……」


 ざっくり事情を省いた俺の言葉を聞いて、タンジェリン学園長はピタリと何故か動きが止まる。


「ちょっとお待ちなさいな、ヴァル君。聖の精霊王と光の精霊王が夫婦というのは初耳ですけれど、その前に、その聖の精霊王と光の精霊王、わたくし――私の知っている人物達ではないかしら?」


「はい。なので、今日こちらに伺いました。喚んでもいいですか?」


「ええ。是非とも。その後、可愛い甥っ子のヴァル君ではなく、聖の精霊王と光の精霊王を説教してもいいかしら?」


「え、はい……。えっと、父様、母様」


 俺が付けた名前にしようかどうしようかと悩んだが、タンジェリン学園長は正体が分かったようなので、とりあえず敬称で喚んでみた。


『どうした、ヴァーミリオン?』


『何かしら? ヴァーミリオン』


 喚ばれた、両親になるはずだった聖の精霊王と光の精霊王がすぐ現れ、俺を後ろから抱き締める。溺愛がひどい。

 俺と深いところで繋がっているのだから、状況を知っているだろうに、二人は伯母になるはずだったタンジェリン学園長を無視して、俺の頭を撫で回す。


「……アル、カティ。二人共、私にヴァル君の可愛がりを見せつけるんじゃないわよ……!」


 今まで聞いたことがない、タンジェリン学園長の唸るような低い声に驚いて、思わず固まる。


『仕方ないじゃないか、ローズ。目の前に可愛い息子がいるんだ。可愛がるに決まってるだろ?』


『お姉様、ごめんなさい。目の前に可愛いヴァーミリオンがいたので、お姉様よりヴァーミリオンに目が行ってしまいました』


「カティの気持ちは分かるけれどね、私もヴァル君をまだ可愛がってないのよ! そこは姉にも分けなさいな。特にアル! 貴方、何か言うことはなくて?」


『何か? 何だろう……。色々ある気がするが、五百年も前の話を蒸し返されてもな。時効だし、根に持ち過ぎだろ、ローズ』


「ヴァル君に関わるから言ってるのよ。いくら私でも五百年前の、既に終わらせたことを今更蒸し返す気も起きないわ。二人が残した面倒臭い問題は甥の第一王子と解決させたわよ、ええ。面倒臭いのだけ、わざと残したんじゃないかと思うくらいのものを残しやがりまして。アルの墓に泥玉をぶつけたい衝動を何度抑えたか。そんなことより、貴方達、ヴァル君にまだ言っていないことはなくて?」


 凄むタンジェリン学園長に、月白と花葉の俺の頭を撫で回していた手がぎくりと止まる。


『……あるな。小出しに少しずつ言った方が、ヴァーミリオンも情報の整理が出来て良いかなと思って言ってない。重要なことはちゃんと言ったが』


 まだ何かあるんかい。

 情報過多なことがここ最近あり過ぎて目眩がする。出来れば、幼少期から少しずつ情報が欲しかった。


『すまんな、ヴァーミリオン。俺達もお前が子供の時から会って話したかったところだが、何かと面倒な制限があって、お前の前に現れる時期が決まっていたんだ』


 時期? そんな制限があるのか?

 目を丸くして、月白を見つめたせいか、彼は固まった。


『……ヴァーミリオン。無意識だろうから言っておくが、そんな仕種、絶対、お前の最愛と家族、お前の召喚獣以外の前ではするなよ。勘違いする愚か者が増えるぞ。俺の二の舞を踏むなよ』


 何のことだろうか。

 二の舞って何を俺は踏もうとした?


『ヴァーミリオン、あのね。リアンもね、貴方と似た顔だから、幼少期から色々と狙われたのよ。特に貞操とか。リアンは返り討ちにしてたけどね』


 首を傾げていた俺に苦笑しながら、花葉が教えてくれる。


『特に俺は当時のグラファイト帝国の皇帝の庶子で、皇族の中では地位が一番低かった。今は知らないが、カーディナル王国と違って、当時のグラファイトは実力主義な上に、血で血を洗う皇位継承権争いが常日頃だったからな。地位は低いのに、魔力と顔が一番良かったせいで、他の皇族や貴族に貞操を狙われる日々だった。うっかり気を抜くと勘違いする愚か者が多かった。だから、俺の二の舞を踏むなよ』


「……成程。一応、気を付けてはいますが、今以上に気を付けます」


 月白の言葉に共感し、大きく頷く。

 やっぱりどの国でも、そういうことを考える愚か者がいるんだな。

 俺の家族は皆仲が良いが、当時のグラファイト帝国は皇位継承権争いが日常茶飯事だったと思うと、月白は心休まる日々があまりなかったのだろうなと感じる。


「ヴァル君の貞操は確かに大事だけど、アル。その前に、ヴァル君の前に現れる時期が決まっていたというのはどういうこと?」


『現れることが出来る時期はヴァーミリオンの魔力が覚醒する前、と決まっていた。覚醒した後では遅いんだ』


 え、覚醒? 覚醒するの? 魔力が増えるの?

 これ以上、魔力が増えるのは勘弁して欲しいのだが。


『ヴァーミリオンもローズも知っているだろう? 貴族は元々の魔力が高く、十五歳を境に更に魔力が上がる者が多い』


 それはもちろん、知っている。

 だが、俺は十二歳の時点で、セレスティアル伯爵以上の魔力があったから、もう覚醒しているものと思っていた。

 乙女ゲームではヴァーミリオンは、魔法学園入学前に覚醒し、魔法学園でヒロインと共に魔力を抑える術や制御を学んでいた。

 だから、魔力が高かったから、覚醒しているものと本当に思っていた。


『ヴァーミリオン、まだお前は覚醒していない。既に高い魔力を持っているから、覚醒しているものとお前は思っていたかもしれないが、更に高くなる。厄介な程に高くなるから俺とティアは覚醒前に現れるように決まっていたんだ。お前が制御出来るまで、俺とティアで魔力を受け持てるように』


「……更に高くなるんですか……」


 項垂れるように、額に手を当てる。


『それが後々、役立つ。だから、制御出来るようになっておけよ』


 後々ということは、恐らくヒロインと元女神関連で、ということなのだろうと感じる。

 深いところで繋がっているから、両親になるはずだった二人の考えていることもちゃんとは分からないが、何となくなら伝わってくる。

 それなら、しっかり制御しないといけないと思う。

 ウィステリアを守る手の一つになるし、あくまでも元女神。ただの人間の俺では太刀打ち出来ないかもしれない。


「分かりました。あの、ローズ伯母上。制御する際に何処かお勧めの場所はありますか?」


「あら、ヴァル君。両親になるはずだった精霊王達ではなく、私を頼ってくれるのね。嬉しいわ。それならもちろん、うちの魔法学園のダンジョンよ。あそこはアルとカティに私、甥っ子の第一王子で作った自慢のダンジョンよ。貴方の魔力が覚醒して更に高くなって、思いっきり魔法を放っても問題ないですわよ、多分」


 いやいやいや、今さっき自慢って言ったじゃん。なのに、多分って付くのは何故?


「……ヴァル君なら何かしらやらかしそうな気がしたから、多分と言ってしまったのよ。段々、自信がなくなってきましたわ」


 フラグが立った。盛大に。

 確かに、俺もやらかしそうとは思ったが。


「でも、あそこならカーディナル王国の中では安心よ。覚醒しそうになったら遠慮なく使って」


 覚醒しそうって、予兆のような、何かすぐ分かるものがあるのだろうか。


『俺も十五歳の時に覚醒したが、予兆はある。ちゃんと分かるから安心しろ。むしろ、予兆に気付かない者はその程度ってだけだ』


 俺の頭を撫でながら、月白が優しく微笑む。


『でも、心配だわ。ヴァーミリオンの場合、覚醒したら、王子力が更に上がるもの……。うっかり笑ったらご令嬢達が真っ赤になって気絶するわ』


 俺の頬を突きながら花葉が心配そうに呟く。

 何で、王子力って言葉を花葉も知っているんだ。


「あの、何で王子力って言葉を知っているんですか?」


『ああ、ヴァーミリオンの最愛や彼女の侍女が話していたのを通りすがりに聞いたのよ。生まれた時からずっとヴァーミリオンを見ていたし、周りの人達がどんな人達か気になって姿を隠して見ていたの。そしたら、面白い言葉を作ってて、的を射ているなって』


「その言葉は私もシャトルーズ侯爵令嬢とブリスフル子爵令嬢……エクシュシオ子爵夫人から教えてもらいましたわ。ヴァル君が如何に美しいか等を私もヘリオトロープ公爵令嬢ともよく話しますのよ、パーティーで」


 にっこりとタンジェリン学園長が笑顔で言った。


「……パーティーにあまり出席しないことが仇になりましたわね、ヴァル君」


「…………」


 ティーカップに口を付け、目を逸らす。ティーカップの中の紅茶はすっかり冷めている。

 俺はパーティーに、良い思い出はない。

 ウィステリアの可愛いドレス姿を見たり出来ることに関しては良い思い出になるが、それ以上に貴族をあしらうのが面倒臭い。

 王族として、どうしても出ないといけないパーティーはウィステリアと共に出ているが、それ以外は出席していない。

 というか、国王が放置した書類仕事が溜まっていて俺に回ってくるのだから、パーティーに出る暇があるなら、その仕事を終わらせる方に時間を回したい。そうしないとウィステリアとの時間も減る。

 これからは、そうも行かなくなるのは分かっているが。

 成人したのもあり、もうすぐ社交界デビューというものが待っている。

 第二王子の俺も逃げられない。

 もうすぐ秋だ。

 春と秋は社交界シーズンらしく、招待状がわんさか届く。

 成人した貴族の子息子女は、秋に王家主催で社交界デビューのパーティーが開かれ、そこで初めて成人として認められる。

 王家主催なので、今年からもちろん俺も出席することになる。今年は特に成人する側なので。


「……パーティーに出る意味が見出だせなくて、逃げていたのは認めます。今度の社交界デビューのパーティーは諦めて、大人しく、仕方なく出席します。今後のパーティーは招待先を吟味して、仕方なく、諦めて出席するつもりです」


 全てに出席する気は全くない。

 招待側は招待する貴族の爵位や品位、顔の広さ等を招待された貴族達に評価される。

 なので、もちろん王族を招待出来れば、それだけで評価は上がるし、仲が良いところを見せられれば、更に上がる。

 そんなことに使われる気はないし、そこまで第二王子の俺も仲良くもない貴族に媚びを売る気はない。近い内に王位継承権は放棄するのだから。

 行くとしたら、普段からちゃんと会話が成立する貴族達のパーティーだけだ。


「ヴァル君はそういうところもアルそっくりですわね。言い回しがそっくり」


『仕方がない。俺もパーティーに出る意味が見出だせなかったからな。出ないといけない時は仕方なく、諦めて、大人しく出るしかないと思っていた。理由も気持ちも分かる。顔目当ての、連中の気持ち悪い目が嫌なんだよ。俺をそういう目で見る連中の息の根を止める魔法道具を作れないかと当時は考えたな』


 わー、凄く気持ちが分かるー!

 逞しいイケメンな今の父より、俺と似た顔の、父親になるはずだった月白に相談とかしたい。


「……ヴァル君。貴方の悩みは分かるけれど、あまりアルに感化されないで欲しいわ」


『失礼だな、ローズ。俺に感化されるのは駄目なのか? 初代国王だぞ?』


「当たり前ですわ。アルの言葉遣いは悪過ぎます。教師として看過出来ませんわ。それに比べて、ヴァル君は言葉遣いは綺麗だし、何より天使のように可愛い甥っ子なのに、貴方の言葉遣いが移ったらと思うと……」


『いや、思うなよ。ヴァーミリオンが可愛い天使は認めるが。別に俺の言葉遣いが移っても問題ないだろ』


「問題ありまくりですわ。ガラの悪い天使なんて、ヴァル君には合わないわ。ヴァル君は今のヴァル君で十分可愛いので、これ以上、何にも染まって欲しくありませんわ」


 ……何だか、謎の言い合い? のようなものが始まった。中身は俺関連。これは何の羞恥プレイだ。


『ああ、それは俺も同意だな。今のヴァーミリオンは十分可愛い。これ以上、可愛くなったら俺とティアの領域に閉じ込める可能性が高い。やっぱり、息子として生まれなかったのは痛いな。会えなかった分、拗らせてるな』


 成人した男に可愛いとか言わないで欲しい。

 自分の子供に対しての可愛いという意味なのは分かるが、それでも可愛いと言わないで欲しい。

 一応、俺も男なので。


『……話が逸れたが、とりあえず、今言えることは言った。明日の魔法学園から気を付けておけよ』


 頭を撫で回しながら、月白が言う。

 明日から、ということはヒロインのことだろう。


「分かりました。気を付けます」


『ローズもすまないが、ヴァーミリオンを頼む。平民の編入生のこと、気を付けておいて欲しい』


「魅了魔法を使うから、もちろんよ。ヴァル君に色目を使おうとしているという報告は聞くもの」


 え、誰から? クレーブス先生?


「私の召喚獣よ」


 顔に出ていたのか、タンジェリン学園長は妖艶な笑みを浮かべた。


「ローズ伯母上の召喚獣は何ですか?」


 エルフだし、どんな召喚獣なのか気になって、つい、上目遣いで聞いてしまった。

 最近、家族? に対しての緩み具合が酷いなと我ながら思う。

 子供の頃はもう少し表情には気を付けていたように思う。

 次からは気を付けよう。


「ぐっ……! ヴァル君の上目遣い、成人してる男性なのに可愛過ぎるわ。アルが言っていたように、本当にそんな仕種、絶対、貴方の婚約者と家族、貴方の召喚獣以外の前ではしないで欲しいですわ」


 胸を押さえながら、タンジェリン学園長は小さく息を吐いた。


「私の召喚獣は妖精女王のティターニアですわ」


 うわぁ……妖精か!

 精霊やエルフも居るんだし、妖精も居るよね、そりゃあ……。

 見たことがないけど。見てみたいな。


「ごめんなさいね。ヴァル君達生徒には見えないようにお願いしていたのですわ。まぁ、貴方の召喚獣達には見つかってましたけれど」


 紅達、気付いていたなら教えて欲しかったなぁ。

 まぁ、タンジェリン学園長の召喚獣だから、俺に危害が加わらないから警戒もしなかったのだろうな。

 あれば言っているだろう。俺の召喚獣達も過保護だし。


「魔法学園では私もヴァル君のフォローはもちろんしますわ。だから、御礼にデビュタントの時はヘリオトロープ公爵令嬢の次に、私と踊って下さいませね?」


 にっこりと家族がするような、愛情深い惜しみない笑みを浮かべ、俺に言った。


「……王妃陛下に睨まれそうです」


 嬉しい申し出だが、きっと母が拗ねる。

 ウィステリアは婚約者だから、ファーストダンスは譲ってくれるが、その次はきっと母のつもりだろう。


「それならシエナちゃんの次で構いませんわ。私はあちらの両親になるはずだった精霊王達と違って、心が広いですから」


 その割には、伯母だから譲れないって顔をしてますが。

 だが、ちょうどいいかもしれない。ウィステリア、母、タンジェリン学園長で三人と踊るのだ。他の令嬢と踊らなくて済むのではないだろうか。

 ウィステリアに関しても、ヘリオトロープ公爵やヴァイナスにお願いすれば、ちょうど彼女も三人と踊ったことになり、中座してもいい気がする。

 よし、これで逃げ切ろう。


「……分かりました。婚約者、王妃陛下の次にお願いします、ローズ伯母上」


 笑顔でお願いし、しばらく両親になるはずだった精霊王達とタンジェリン学園長の会話を聞き、また王城に戻った。







 そして、次の日の魔法学園から、月白が警告していた通り、俺とヒロインの嫌な追い掛けっこが始まる。


 

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