31日目:初めてのお花見

 どうも、皆様。

 お久しぶりです、ほむひです。

 この一年近く、他の小説に挑戦してみたり、仕事に追われたりと交信ができておりませんでしたが、なんとかかんとか戻ってまいりました。

 これから、少しずつ、更新を進めていこうと思いますので、引き続きのお付き合いをなにとぞよろしくお願いいたします。

 さて、では早速本編へ、どうぞ!


 ・・・


 ・・


 ・


 という訳で、やってきましたお花見~!!

 前回がちょっと、、、な感じなってしまったので、今回は少し楽しい話題をお送りしたいと思います。

 なぜなら、「おとたん」はあんまりシリアスは好きじゃぁないからね。

 このお話の主眼は『愉快』!

 だから、それに負けないように楽しい話題中心にしていかないと、名前負けになってしまうからね。

 

 というわけで、話は少し戻って4月下旬の某土曜日。

 北国に位置するここは、関東に比べて桜の開花はまぁ遅い!

 どのくらい遅いかというと、関東以南では3月下旬の卒業式に桜の花道を歩けるそうだが、こちとらその時期はほぼ枯れ木・・・ってのはは言い過ぎだとしてもつぼみくらいのレベル。

 実際、入学式が終わって二週間過ぎたくらいでようやく花開き始めるのが普通なんです。ホント日本って広いね!

 正直、アニメやドラマで見る、桜の木を背景にする卒業式の告白イベントや、桜舞い散る校門での幼馴染との入学式再会イベントに憧れがあったことは、否定しません。でも、生まれ育った雪国では子供のころから桜はGW頃咲くものだという認識だったわけで、どうせ合成なんだろうなぁと「おとたん」は本気で思ってたりしてました。

 でも、社会人となり、大都会横浜で暮らし始めた一年後、あれは本当のことだったんだと気づかされました。いや~社会人って素晴らしいね(あれ?違う?)

 そんなあほな話は置いておいて、そんな訳で我が雪国での桜の見頃はといえば、そう今頃になる訳です。

 GWを控えた4月末。ここがベスト!


 さて、そんなベストな時期を選択したナイスガイな「おとたん」を先頭に繰り出した我ら「史たん」ズでしたが、今日来たここがどこかと申しますと、何を隠そう公園です!

 あ、ち、違うんですよ?一口に公園といっても、ここら辺では多少有名な公園なのです。

 そんな穴場スポットをチョイするする「おとたん」の感性に、ここは心打たれるところなんですよ~(まぁ、実際は「おかたん」が、『行きたい~』と駄々をこね、しぶしぶ連れて来ることになった訳なのだが、それは秘密)。

 まぁ、「おかたん」も「史たん」もこの地でのお花見は初めてになる訳だし、ここは張り切って案内せねばと、車を飛ばすこと数十分。無事に公園に到着しました。

 主役の「史たん」は、といえば車に乗った瞬間爆睡し、今は元気いっぱい「おかたん」のお腹に抱っこひもで括り付けられている次第です、はい。

 しかし「史たん」、最近、足の力が強くなってきて、興奮すると抱っこ紐の中で、急に飛び跳ねたり、反り返ったりするものだから、気が気ではない。当然、今日も公園に向かって歩く道すがら、ぴょんぴょん。公園について桜並木に向かう道すがらも、ぴょんぴょん。

 で、桜並木を見た瞬間


 ・

 ・

 ・

 

 止まった。

 

 もう抱っこ紐に全体重を預け、ピクリとも動こうとしない。


 なんということでしょう!

 0歳にして桜の美しさに心を奪われてしまうなんて!

 一面のピンクのアーチを見て、茫然自失となってしまうほどの感性を持ち合わせていたなんて!


 と思ったのも束の間。

 当然、んな訳はなかった。

 「史たん」をよく見ると、抱っこ紐に全体重を預けているものの、目線は桜にはない。

 ただただ中空を眺めている。

 どうやら疲れたらしい。

 そらそうだ、車降りてからずっと十数分は跳ね続けていたのだから。

 試しに、


『「史た~ん」ほら、桜だよ~綺麗だね~』


 といっても、無視。

 ほっぺをぷにぷにしながら、


『初さくらはどうですか~』


 と聞いたら、抱っこ紐の中に潜り込む始末。

 挙句、その場で、踏ん張りだす(あ、皆さんお察しの通り、う〇ちですね)。

 や、やっぱりちょっと早かったよね??

 まぁ、それでも(匂いに堪えながら)、家族三人仲良く写真を撮り、とりあえず今日の目標は達成!

 さて、帰るか!


 ・

 ・

 ・


 なぁんて、都合よく行く訳がない。

 そう、何を隠そう(前述の通りではあるが)ここに来たかったのは「おとたん」でも「史たん」でもない。

 そう「おかたん」!なのである。

 何故かって?それは「おかたん」が無類の出店好きだから。

 お祭りと言ったら出店、花見と言ったら出店、もしかしたら結婚式といっても出店を探すほどかもしれないくらいには出店が好き。

 もう完全に花より団子(出店)を地で行く女である。

 そんな「おかたん」が写真程度で、すごすごと引き下がるはずがない。


 何を隠そう今日来た公園は旧城址跡であり、天守はないものの石垣や庭園などはそれなりに残っている普通の観光スポット。

 もちろん練兵等に使用されていた広場だって残っている訳で、いつもは人々の(ってほど普段は来訪者が多いわけではないが)憩いの場となっているそこが、今はまさに出店が立ち並ぶ、出店スポットと化しているのである(あ、すみません、違いますよ?都会の皆さんが思う立ち並ぶと、田舎のイベントの立ち並ぶは。もう、容器の中身が水か綿あめかくらいは違います。ホント、悪しからず)。

 もちろん、「おかたん」が来たかった理由はまさにこれにある(まぁ、「史たん」に初花見をさせてあげたいというのも20%くらいはあったと思うが)。

 笑顔で「おとたん」の手を引いていく「おかたん」。

 正直、鬼気迫るものがあって怖い(もはや帰りたい)。

 そして、意気揚々と問題の広場を目前に…と、そこで足が止まる。

 久しぶりの出店に感動している、のだろうか?

 そう思って、恐る恐る「おかたん」の顔を伺うボク。

 すると、「おかたん」が目を大きく見開きながら一言。

 

 『少なっ』


 まぁ、何を期待していたんだって話である。

 所詮は綿あめである。そらぁ、スッカスカですとも。

 過疎の進む北国、イベントだからそれなりに人は出ているとはいえ、来場者だって数百人(もしかしたら千は超えるかもしれないが)規模のイベントである。

 出店の8軒も出ていれば、、、って、数を数えてボクも愕然とする。

 少なくないか?

 眼をこすりもう一度、数えてみる。

 ひぃ、ふの、みの、、、、いや、ホント少ない(あれ?ボクの子供の頃ってこんな少なかったっけ?)。

 流石に広場の4分の1も出ていないってのは、ちょっと残念な気分になる。

 まぁ、でも、そう、出ているだけ御の字!と言えなくもない訳で!

 別にお祭り事に自治体として力を入れているわけでもないんだろうし、「おとたん」「おかたん」が学生時代に経験してきたH市の日本三大桜とはスケールがそもそも違うものね。

 そう気を取り直して、

 

『ほらほら、回っておいで、「史たん」は持っていてあげるから。』


 と気遣いを見せる「おとたん」。それに対し、


『大丈夫、「史たん」も回るもん。』


 とまたちょっと拗ね気味で進み始める「おかたん」。

 その背中に若干の寂寥感を感じたのは言うまでもない。が、ついて速攻、


『ねぇねぇ、「おとたん」、たこ焼きとから揚げどっちがいいかな?りんご飴は絶対買うんだけど‥。』


 と、十分楽しんでいるようであったのでこれはこれで良しとしようか。

 そんなこんなで、「おかたん」が買い物を終わらせたのはそれから20分くらいたったころだったろうか?

 「おかたん」の買い物欲も大分満たされたなぁと思い、ふと胸元の「史たん」を見やると…寝ていた。

 すげーなこいつ。

 これだけの熱気に晒され、「おかたん」の圧に振り回されたというのに、寝ている、だと?

 まぁ、額に、というか、頭全体を汗でぐっしょり濡らしながら、それでもすぅすぅと気持ちよさそうに寝ている。

 「おかたん」にしては結構歩き回った方だとは思うので、なかなかにハードな睡眠環境だったように思うが、そんなことは関係なかったようだ。

 公園を抜ける頃には完全に眠りに落ち、一切の身動きもしていない。

 確かに、公園に来る前に車で食事を済ませ、道中はずっと動き続け、あまつさえ排泄までもを完了しているのだから、寝るにはベストな体調だったのかもしれない。

 が、なんという、豪胆な男だろうか?

 「おかたん」と、

 

『この子スゲーなぁ、本当に将来大物になるんじゃぁなかろうか?』


 などと話していると、ふと、「おかたん」が何かを見つけたように「史たん」のぷにぷにのほっぺを指さす。

 まぁ、ぷにぷにで可愛いほっぺは普段からよく見てはいるから今更なんだが、、、なんて思って、その指の先を見やる。

 すると、そこには、一片の花びら。

 いつの間に入手したのかその花びらは、夜陰に浮かぶぷにぷにのほっぺをひときわセクシーに飾り立てていた。

 桜を見始めてから、静かにしていたからてっきり全く興味がないのかと思っていたが、なんという鮮やかな手並みか。

 実は、今回のお花見を一番楽しんだのは「史たん」だったのではないだろうか?とそんな思いすら抱いてしまうほどの、見事なお土産をゲットした「史たん」なのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る