★★★ Excellent!!! 変えられない過去への清算 月桃なび 「帰郷」というタイトルに吸い寄せられ、目を通したところ、作者の回顧的な自叙伝が記されている作品。読んでいて、すごく考えさせられる内容でした。 親の心子知らずではありますが、親もまた子の心を知り得てないところで、互いで摩擦が起きるんだろうな、と感じました。 登場人物として姉が登場しますが、姉の心の内も私には深く刺さるところがありました。 作者様の心の清算、しかと読ませていただきました。 レビューいいね! 2 2023年5月26日 20:01
★★★ Excellent!!! 色彩を取り戻す故郷 神崎あきら 宮古島は白い砂浜に宮古ブルーの美しい海、まるで楽園のような島だ。 ご実家は白い橋を見下ろす高台にあると聞いて、毎日美しい風景を眺めて過ごせるなんて羨ましいと思っていた。 しかし、彼女の目に映るのは色を失った孤独で無常な風景だった。 20年も故郷に帰っていないと聞いた。誰もが夢見るような美しい島や懐かしい家族を恋しいと思わないことには理由があった。 ここには小説を凌駕するような壮絶な体験が記されている。 本来、甘えたい、守って欲しいはずの両親から受けた仕打ちに心を抉られた。父を災厄とまで称したことに想像を絶する苦難を強いられたことが感じられて衝撃を受け、涙が滲んだ。 お姉さんのエピソードから人間は哀しくも強いということを思い知らされた。僭越ながら私もお姉さんの幸せを切に願いたいと思う。 彼女はそんな苦しみを乗り越えて、いや乗り越えるなんて簡単な言葉では伝えられない、強くあろうとして生き抜いた。 今はイラストレーターとして大成され、魅力的なイラストでたくさんのファンを楽しませてくれている。 彼女の絵には揺るぎない強さと優しさがある。それは過酷な人生を強いられながら創作と真摯に向き合い、血を吐くような苦労をして得たものだ。 これからもきっと活躍され、たくさんの人の癒しであり救いになるだろう。 彼女のお墓参りのとき、私は白い橋の見える高台で海を眺めていようと思う。彼女が戻っ… 続きを読む レビューいいね! 5 2023年5月19日 11:43