イソヒヨドリの聲、海風と共に。

心が枯渇してしまった裕佳子。
自分の部屋に閉じ籠り、外部との関わりが
何だかとても億劫なものに思えたが。
 父の一言で諾々と決めた、両親の故郷の
高校への編入。それが彼女の運命を大きく
変えてゆく。
 作者の緻密で精彩、そして美しい感性の
成せる技が、読み手を引き込む。
九州の高校で出会った友達、そして謎の
存在『袴の彼』…これは青春の物語で
あると同時にミステリーでもあり、さらに
人間の在り方の根源を抉るドラマでも
ある。そして、九州の美しい海が見える
土地によく見かける『イソヒヨドリ』の
高らかな囀りが心地よい。

続編の【ハクセキレイ】と併せて読むのが
良いと思うのだが、先ずはこの
『イソヒヨドリ』から読まれると、又
違った景色が見えて来る。

感動の青春ミステリー。

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