第3話 積極的なアプローチ
誠君は、行ってしまう・・・!
だけど、私は何をしている?
何がしたいの?
誠君に伝わるようにわかるように、告白しなくてはいけないはずなのに、どうしてだか口が動かない。
振られることがこわい。
誠君ともっと良好になりたいけれど、今の関係を崩すことがこんなにもこわい。
誠君は、曖昧にしてはだめなのに。
私は誠君を取られてしまいそうで、胸が苦しくなる。
廊下で、すれ違った女性がいると、誠君が「モーション先輩!」と叫んで、駆けつけた。
この人が、誠君のいうモーション先輩?
髪は腰まで長くて、綺麗だった。
「モーション先輩、久しぶりです」
「君は、誰なの?
この学校の生徒みたいだけど」
知り合いじゃないんだ・・・・。
「俺ですよ。
俺。
後輩の井藤誠ですって」
「ごめん、誰なのかわからない。
君と私は、どこかで話したりしたことある?」
「あるわけないじゃないですか?
今日が初めてですよ」
初対面なのに、なれなれしくしすぎじゃない?
「あ、そうなんだ。
君は、確か井藤誠君だっけ?
私がモーションというあだ名だということも含めて、いつ私のことを知ったの?」
「あはは、遠くからみれば誰でも知っている人になれますよ」
「つまり、君は私のストーカーをしていたということでいいの?」
「はい。
それと近いです」
誠君、何を言っているの?
これ、完全なる天然じゃない?
モーション先輩は、顔が青ざめていた。
「君は、罪悪感とかないの?」
「え?
何が?」
「私のストーカーとかして」
「あるわけないじゃないですか!
モーション先輩が好きなんですよ。
そのまま連れて帰りたいくらいに。
ですから、モーション先輩、俺と付き合ってくれませんか?」
「無理です!
こんなストーカーじみた人は、こちらからお断りです」
「そんなあ」
ショックを受ける誠君をおいて、モーション先輩はそのまま去っていった。
「振られちゃったよ・・・・。
どうして?
赤音、俺のどこか悪いんだと思う?」
「それは、誰でも振ると思うよ。
まず、自分がされたら、言われたらどう思うかを先に考えるべきだと思う。
でないと、誠君は一生彼女なんてできないと思う」
「そんなあ。
俺の運命の人は、本命として、両思いになれる人は、どこにいるんだろう・・・・?」
「誠君、そんなに落ち込まないでよ。
第一、私がいるじゃない。
それじゃあ、満足できないの?」
「赤音の存在には、感謝している。
感謝しても、しきれないくらい。
この先も、何年先もずっと一緒にいてほしい。
いてほしいの。
だけど、だけどね、それくらい俺には特別な存在がもう一人ほしいんだよ」
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