第6話 7枚ババ抜き

手札

ライト |♡J|♡Q|♡K|Joker|

キノコ |◇J|◇Q|◇K|

***



最初は私か・・・


ライトさんは、どっちがジョーカーを持っても同じような顔してるけど、

これは、ジョーカーを引くたびに2000万円の負債よ。


先に持ってる方が気持ち的には、楽だと思うわ。


慎重に考えさせてもらうわ。


ライトさんの顔はポーカーフェイスを装っている。

確か、最初に配られた時、あの、一番右端のカードの位置がジョーカーだったはず。


でも、そんなことは向こうだって見られていることは分かっているよね。


だから、入れ替えているなら、右端は大丈夫!


目をつむって


「えいっ!」


勢いよく引き抜いた。


一瞬、ライトさんがにやりと笑うのが見えた。



「キノコ様が、ジョーカーを引かれたので、キノコ様に2000万円の負債です」


スタッフが淡々と状況を説明する。


「えっ」

思わず声がこぼれる。

まさか、順番を入れ替えずに持っていたの・・・


「悪いな」


嬉しそうにライトが言う。


「でも、まだ1回。まだまだ大丈夫」


すぐにシャッフルして広げて持つ。


「さあ、どうぞ!」




「うーん…」

ライトさんは、少し考えてから、おもむろに口を開く。


「なあ、このまま負けてくれたら、ねえちゃんの負債を、俺が払ってやってもいいぜ」


「え?」


思わぬ提案に驚く。


「ほら、このままねえちゃんが負けると、俺は5000万円もらえるだろ。ねえちゃんの負債2000万を俺が肩代わりすれば3000万円残る。ついでに、ねえちゃんの借金の分だけ、そこに払っておいてやるよ」


「う…」


言葉につまる。

確かにこのままババ抜きを続けて、不毛な引き合いを続けると、泥沼式にお互いの負債が増えてしまう。それなら、ここで私が負ければ3000万円もらえることになる。

それなら、私の返済額1500万円なんて余裕だわ。この男がちゃんと支払えばのことだけど。


いい提案のように聞こえるけど、


「断るわ」


「そっか、残念だ」


ライトさんは迷うこと無く私のKを引いた。


「おし!」


小さくガッツポーズして、2枚のKを場に出す。


私だって、生き残りたい。


手札

ライト |♡J|♡Q|

キノコ |◇J|◇Q|Joker|  負債2000万




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