十四話『拷問』
目を覚ましたテイトの瞳に映ったのは、こちらをじっと見つめる金髪の美女だった。
「えっ?誰?女神様?ここは…天国?」
「やっぱり僕、死んだのぉ?」
「おっ!起きた!おはよー、テイトくん!」
「アナタはまだ死んでないよ」
「これからどうなるかは分かんないけどね」
ニコッとスマイル。今、なんか物騒なこと言ったような気がするんだけれども。立ち上がろうとする。ん?立ち上がれない。
両腕が後ろで縛り付けられている。両足が座っているイスに縛り付けられている。辺りを見渡す。四角い部屋に自分と金髪美女の二人。
あれ?机の上にペンチやらノコギリやら置いてあるし、本でしか見たことない、アイアンメイデン。水責めするやつ。三角木馬…。
あれ?もしかして今から僕、拷問されるの?おそるおそる美女に聞いてみる。
「あのぅ…僕、今から拷問されますぅ?」
「おっ!よく気づいたね!そうだよ、テイトくん今から私に拷問されるんだよー」
ニコッとスマイルのまま答える美女。
「それじゃあ早速だけど、始めようか?」
「う、うわあぁぁぁ!嫌だよおぉぉぉ!」
テイトの悲鳴が響く。スマイルの美女。
「こちょこちょこちょこちょー!」
「ひゃひゃひゃひゃ!」
「吐けー!吐けー!秘密を吐けー!」
「知らない!知らない!」
「質問もされてないし!」
「こちょこちょこちょこちょー!」
「ひ〜!なんか出ちゃう!出ちゃう!」
「あはは!なかなか口を割らないな!」
「これなら、どうだ!」
「そこは…!本当になんか出ちゃうから!」
「くすぐったい!ひ〜!ひゃひゃひゃ!」
バンッ!と扉が開く。聞き覚えのある声。
「おい!何してんだ!」
「勝手に入って来てるんじゃねぇ!」
「ひゃひゃひゃ!あっ!アルフさん!」
「良かったぁ!無事だったんだぁ!」
笑いすぎて涙が出てきたテイト。アルフが無事だったことに感動。嬉し涙も出てきた。
「しまった!見つかっちゃった!」
とは言いつつ、くすぐる手を休めない美女。
「こちょこちゃこちょ!」
「ひゃひゃひゃ!」
「くすぐるのを止めろ!」
…は〜落ち着いた。目の前で正座させられて、アルフさんから説教されている美女を見ながら、ふと考える。無事で良かった。
火だるまにされて、ネックレスの中に吸い込まれて行ったミルフさんも無事なのかなぁ?矢を受けて倒れたトルトスさんも。
あれ?僕もアルフさんをかばって背中に矢を受けたような?めっちゃ痛かったような?たくさん血出てたような?何で無事なんだ?
「…はぁ、もういい」
「部屋に戻ってろ」
「うぅ、ずみまぜんでじた」
泣きじゃくる美女。一目散に部屋から退室。結局、誰だったの?彼女の目的は?謎だ…。
「次は…テメェだ、ルイボルのガキ」
「はっ、はいぃ!」
「テメェ、アタシらに嘘ついてたなぁ?」
「えっ?何のことですかぁ」
「自分は竜人じゃねえって…テメェもゴリゴリの竜人じゃねえか!」
アルフさんから、僕が竜に成ってクロウとヒヒを消滅させたことを聞いた。それも楽しそうに笑いながらだったと言う。記憶に無い。
いや!そんなはずは…そう言おうとしたが考えてみると確かに。僕がただの人間だったら、オクトとの戦闘で僕一人だけ無事に生きていること、クロウとヒヒとの戦闘で矢を受けたのに生きているのはおかしいだろう。
その答えが"僕が竜人だから"だったら説明がつく。アルフさんから聞いた。竜はこの世の神を除いた生態系の中で、天使・悪魔に並び、頂点に君臨する最強の種族らしい。
じゃあクエラが親父から聞いたって言ってた"僕には竜の力は遺伝していない"ってのが嘘だったのかなぁ。本当に親父も知らなかったのかなぁ。よく分かんなくなっちゃった。
それと僕が使った竜の力は、その辺にいる竜とは別物。もっと上位の竜のものじゃないかとも言う。これは、僕ら兄妹が幼い頃に消息を絶った、母親に会って話を聞いてみたい。
「アルフさん」
「僕…これからどうなるんですかぁ?」
「竜に成ったテメェは、カラスとサルを消滅させた後、アタシにも攻撃してきやがった」
「目に入ったヤツを無差別に攻撃するんだろうな、そん時の意識もねぇみてぇだし」
アルフが机に置いてあるペンチやらノコギリやらを物色している。えっ?やっぱり拷問はされるの?また涙が出ちゃいそう。
「目的は分からねぇが、あのサルとカラスもテメェのことを狙ってたみてぇだし」
「そんなヤベェヤツは
アルフがアイアンメイデンの扉を開く。あ、中の針に赤い液体が付いているように見えた。何の液体なんだろ〜ガクガク。ブルブル。
「テメェのその力、コントロール出来るようになりゃ、魔人との戦闘でも役に立つわな」
「でも戦闘中、突然竜に成られてアタシらのことを攻撃されても困るからな」
「テメェには竜の力をコントロール出来るようになってもらう」
「えっ?」
「アタシの古い知り合いに竜人がいんだよ」
「そいつに竜に成る方法を教えてもらえ」
アルフが指パッチンをすると、動かなかった手足が自由になった。
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