第2話 チート
道の真ん中に立っている状態からすぐに木陰に隠れる。この世界のことはまだ殆ど知らないが、魔物から世界を救って欲しいと言われたので無防備な状態で安全では無いだろう。戦闘手段が無いので何かに遭遇すれば危険だ。
隠れながら周りの様子を確認したが、近くには何も無く一安心だ。今は森の中にいるようで立派に育った木に囲まれている。
少し落ち着くとすごく空気が新鮮で美味しい。森林浴が良いとも聞くしたまにはこういう環境に身を置くのも気持ちが良くていいものだ。
自分の状態を確認すると背も低く体も動かしやくなっており、首肩腰にあった違和感が無くなっている。鏡が無いので顔は確認できないが、かなり若そうだ。そして、服装も部屋着から変わって冒険者みたいな服を着ている。武器や防具はない。
どれくらい力があるのだろうか?と思ったところで突然SFに出てきそうな光ったダイアログが出てきて自分のステータスが表示されていた。これがARっぽいやつか。
ヒデ(12) 男
Lv 1
HP 50 MP 50
攻撃 50 防御 80 魔力 100
敏捷 60 器用 80
【スキル】
アイテムボックス
Lv1で攻撃より魔力の方が高く魔法使い寄りのステータスだ。チートは何だろう?剣聖のように動けない、賢者のように魔法を使えない、達人のように覇気みたいな力もない。アイテムボックスは初期スキルだと思うが、これがチートってことだろうか?
その辺の土を収納してみると少ししか収納できない。慣れればいろんなことができそうだが、今はこれが限界だ。これでは戦うことはできないのでまずは安全を確保することが最優先だろう。
周りを見て少し高くなっている場所があったので、誰にも見つからないように姿勢を低くし音を立てないように移動する。高いところから周りを見れば町や村など何か見つかるかもしれない。
少し進むと見たことが無い奴がいた。1.5メートルぐらいで肌が薄緑だ。俗に言うゴブリンだろう。
もちろんこちらから攻撃したりはしない。ゴブリンならすぐに倒せそうと思うが、本当の戦力は未知数だ。思い込みで攻撃して想定より強かったら取り返しがつかないので、陰に隠れゴブリンに見つからないように移動を続ける。
高台に登って周りを見渡すと絶景が広がっていた。森が広がり遠くにはそびえたつ大きな山が見える。高台から見た風景は非常に美しく感動した。
景色に少し見とれた後でお目当ての村を探すと、少し進んだところに村があることがわかった。まずは村に行っていろいろこの世界のことを教えてもらおうと決めたときに、後ろから声がした。
振り返りゴブリンを見たとき、ゴブリンもまたこちらを見ていた。叫び声を上げこちらに走って来たので全力で村の方に逃げた。危険を感じて全力で走るが、体力が無くすぐに追いつかれてしまいそうだ。
アイテムボックスで土を収納すれば転ばせるぐらいはできるかもしれない。
ゴブリンを確認して足元の土を収納するが、ゴブリンの通り過ぎたところに穴が開き転ばせることはできなかった。
慣れていないスキルで、動いているゴブリンの足元に穴を作るのは簡単では無い。ゴブリンが迫り腕を振り上げたので、横に回避して距離を取る。攻撃を見極めることなどできる訳が無く無我夢中で避ける。
私が弱いと感じて余裕ができたのか、ゆっくり歩きながらこちらに来る。
今がチャンスと再度アイテムボックスを使って土を収納すると上手く足元の土を収納することができ、大きくバランスを崩したゴブリンが転んだ。
近くにある手頃な石を持って全力でゴブリンの胸を殴ってすぐに距離を取ってしまった。ゴブリンは大きな爪や歯を見せて威嚇してくるので殴られた程度で逃げたりすることは無いようだ。
頭を殴った方がダメージが与えられたと思うが、平和な日本で生活していた奴が躊躇せずそんなことできる訳が無い、胸を殴れただけでも良くやったと思う。少しはダメージがありそうだが、走って逃げきれるかはわからない。
次同じことをしても上手く行くとは限らないし逃げ切れなかったとき非常に危険な状態になるだろう……。
やるしかない……。
持っている石をゴブリンに投げるとゴブリンの肩に当たり怯んた。周りにある石を拾って今後はゴブリンの頭を石で殴る。
魔物を攻撃したことなど無く、極度の緊張で吐き気と息切れしながらも何度も何度もゴブリンを攻撃する。
何とか倒すことができた。
ここでのんびりしていると血の臭いで他のゴブリンや魔物が集まってくる可能性があるため、すぐに移動を開始してその場を離れる。
隠れながら移動したのが功を奏したのか、その後は魔物に遭遇せず村までたどり着いた。
ゴブリンに襲われたときはどうなるかと思ったが、石を使うことで倒すことができたので圧倒的な戦力差があるわけでは無く、この世界のことを知って、戦い方を考えれば魔物に勝つことができそうだ。
まずは村の人とファーストコンタクトだ。
ここから世界を救う冒険が始まる!
------------------------------------------
はじめて使うスキルなので満足に使うことができませんが、
非常に高性能なアイテムボックスで今後様々なことができるようになります
皆さんならアイテムボックスにどういう機能を期待しますか?
少しでも面白そうと思ってもらえたら応援と★お願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます