第10話  シャンプー事始め

風呂話からのシャンプー話です

記憶を遡ると〝洗濯石鹸〟と〝浴用石鹸〟の分離はしている

けど洗髪専用石鹸なんてないよと いうとこら辺まで戻ります


とはいえ レンガを輪切りにしたような 全ての辺と角が鋭利で

子供の手では持つのもやっとな 洗濯石鹸を私は使った事はないです

でも私の町に沢山いたW大の下宿生にはあの重量感と溶けにくさが

良かった様で 洗濯も風呂も洗髪もこれいっちょの人が多かった

まあ 今や絶滅危惧種のバンカラですな


初めてのシャンプーは粉せっけんで 2玉入り焼きそばについてくる

つながった粉ソースみたいに 二個がくっついた形でした

袋は紙製だったので 二個とも浴室に持って入ると

使わなかった袋がふやけて 中の粉せっけんが固まってしまうので

叱られました

湿気を吸った紙の小袋からシャンプーを手に出してお湯で泡立てるのは

中々難しかったのを覚えています

風呂屋では番台でそれを分けて 一袋10円位で売ってたと思います


まあ 浴用石鹸は洗濯石鹼の鋭利なところが全部丸くなってて

洗い上がりに いい匂いがして明らかに違いが体感できたのですが

(母はお湯がかかるだけでドンドン溶けてしまうとも言ってましたね)


シャンプーは今みたいに髪に特化した洗剤とは思えないくらい

洗い上がりはゴワッとしてまして これを和らげてついでに髪が少し

茶色になるってんで 中学時代は洗髪後に酢を垂らした湯をかける

とか 飲み残しのビールをかけるとか 皆々色々やってました 

リンスは出来てたのか そんな余分なものまで買ってもらえなかったのか

そこんところは 混沌です

(コンディショナーなるものは 絶対なかったけど)


キューティクルなんて概念全くないから 髪をつまんでは櫛で

毛先から根元に向かってゴシゴシとといて 〝逆毛をたてる〟髪型が

全盛期で ボワッと逆毛をたててから 表面だけを撫でつけて

しっかりと盛り上がったヘアースタイルにする というのを

美容院から素人さんまでやってましたね

赤塚不二夫先生の女の子が前髪の根元にリボンをつけてその後ろが

グイッと山になってるアレは 逆毛で作ってたんですよ


毛つながりでいうと〝剃ると濃くなる〟というのも言われてました

腕毛やすね毛の気になる女の子が剃ると濃くなるのを恐れて

松脂みたいな液を熱でとかして肌に塗りさめて固まったら一気に

はがす という罰ゲームみたいな事を真剣にやってたり

逆に すね毛の薄い男子が濃くしようと剃っていたりしてましたね

(今の男子は脱毛してますけど 昭和は薄いのを恥じてましたんよ)


その延長で まつげを切ると長く濃くなるという噂を 

寝ている弟で試した姉は 私の同級生です 

 

 

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