因果応報
翌日の朝僕はステージに立っている。
目の前に座るのはいじめっ子達の親御さん達だ。
「本日は私の不始末によりお時間を頂いてしまい誠申し訳ございません」
親御さんたちは表情をピクリとも変えず僕を睨みつける。
「ではまず事の経緯の説明からといきたいと言いたいのですが先にこちらをご覧下さい」
僕はステージにセットされているスクリーンを下ろして今日の朝準備したプロジェクターを起動してある動画を見せた。
「こ、これは」
「まさか」
「そんな」
「本当に」
親御さんたち、はたまた先生たちも驚いている。
理由は簡単。
僕が流した映像はこれまで涼音が虐められてきた場面を録画したものだ。
もちろん昨日の映像も入っている。
「さてと」
俺は映像を消して親御さんたちに話しかける。
「ご覧いただいた様に今回の件の起因は数十人単位のいじめであります」
僕が説明し始めてもほとんどの人が下を向いてる。
それはそうだ。さっきまで自分の可愛い子をいじめた子の謝罪を聞くと思っていたのに実際は自分の子がいじめをしてた。
まさに因果応報の喜劇だ。
「ですがその本人たちには自覚がない最後の方には女の子を化け物と呼び自分をヒーローと言っています」
それを聞き何人かが更に苦しそうな顔をした。
恐らくアイツらの親御さんなんだろう。
「しかし子供たちには罪はあっても責任はないと私は思っています」
それを聞きここにいる全員が驚く。
「まだ何も知らない子供。間違いを起こすのはしょうがありません。ですが、私は少し呆れています。私は考えるのです、そもそも先生方がこの事を面倒ぐさらず対処していればこんな事にはならなかったんではないか。子供たちがもう少し他人を大切にできていたらこんな事にはならなかったと」
誰も何も反応しない。
既にみんな力尽きている。
「それでは最後に皆様に謝罪を。今回は私の為に時間をとってくださりありがとうございました。
しかし私は今回の件、反省や後悔はしておりません。何故ならそれが間違った事ではないだと確信していますから」
そう言って僕が締めると親御さんたちは項垂れながら帰って行った。
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