第145話 Side - 15 - 81 - くさいかも! -
Side - 15 - 81 - くさいかも! -
私の名前はリーシャ・ユーキ、17歳です。
住民達の暴動が起き、私のお家が襲撃されてから20日が過ぎました。
お隣の大陸にあるローゼリア王国の騎士様達に助けられ、少なくない謝礼金や食料援助と引き換えに騎士団の活動拠点としてお屋敷を貸し出す事になったのです。
お父様から聞いた話だと・・・私たちの住むデボネア帝国は完全に崩壊、各地で暴動や略奪が多発して無法状態になっているのだとか・・・。
貴族に虐げられた平民の人達が武器を持ち、生き残った貴族を襲っていて、ローゼリアの騎士様はその暴動を制圧し、再びここを国として機能させようと遥々やってきたのだそうです。
20日の間に随分とお屋敷は清潔になりました、時々やって来るメイドさん達によってお掃除され、騎士様が屋根に登って雨漏りを修理してくれました。
そしてほとんど無いに等しかった食料やお洋服も運ばれて来て、私たち家族は飢えたり寒さに凍える事がなくなりました。
騎士様にはまだ食料が十分ではなく粗末なものしか出せず申し訳ないと言われたのですが・・・私達にとっては見た事もないような美味しそうな食べ物・・・エテルナ大陸の人達はこんなお食事を毎日食べてるんだぁ・・・いいなぁ・・・。
見た事もない・・・と言うのは正確では無いですね、遠い過去、私がリーシャ・ユーキとして生まれる前に、これと似た美味しい料理を食べた事があるのです。
辛い日常に追われて記憶の奥深くに仕舞い込み、蓋をしていた様々な事・・・思い出せば戻りたくなって悲しいから考えないようにしていた私の前世・・・そしてその記憶・・・。
「私の名前は茂留田・・・莉紗」
日本語の発音、これでよかったっけ?、ずっと使ってなかったから少し忘れてるかも・・・誰もいないお部屋で一人、私は前世の自分の事を思い出しています、心に余裕ができたからなのか最近よく思い出すのです。
騎士様は私達家族に特に何もしなくていいと言ってくれたのですが・・・お父様は情報提供、そして国の再建に向けた準備のお手伝い、お母様はメイドさんと一緒にお掃除のお手伝いをしています。
私も何か手伝うと言ったのだけど、身体の事・・・そして男の人に対する恐怖もあって・・・私だけはお部屋で一人、何もする事がありません。
だからお散歩したり、騎士様が持って来てくれた本を読んだりしています・・・エテルナ大陸語なので挿絵しか分かりませんが・・・。
「あぐっ・・・」
お薬が切れそう・・・でももう少し我慢できるかな。
「はぁ・・・はぁ・・・」
そわそわ・・・もじもじ・・・
「んっ・・・もうダメ、我慢できない・・・」
私はベッドの横に置いてあるお水とお薬を一包み震える手で取り出し、口に含んで飲みました。
騎士様が探して集めてくれているのだけど、このお薬は皇帝陛下から供給されなくなって2年経った今とても貴重なのです、私もギリギリまで飲むのを我慢しているのに・・・もう残り5つになってしまいました。
「うぅ・・・飲むのが遅くなったから痛くて苦しいのが・・・治らないよぅ」
私は15歳になった時に行われた首輪の儀式の後、上級貴族の男の子達に身体を・・・純潔を奪われ、その後3日間犯されていました。
その時にこの「お薬」を無理やり飲まされてしまったのです。
これには強い幻覚作用と依存性があって・・・一度飲み始めると・・・このお薬がないと生きられなくなってしまいます。
ギャラン大陸の中央部に生えているお花の根から特殊な作業を経て作られるお薬は首輪で縛られていない平民を従わせるために先代の皇帝陛下の時代に考案されたのだとか・・・。
貴族は全員首輪を装着しているから支配下に置く事が出来る・・・でも平民に配るほど首輪の数が無いのです。
そこでこのお薬を使って皇帝の目に留まった有能で使えそうな平民を支配しました・・・最初は疲労に効果のある貴重なお薬だと騙して・・・このお薬の事が知られて警戒され始めたらこっそりとお食事や飲み物に混ぜたりして・・・。
一度お薬の「虜」になった人は他人にその危険性を漏らしたらお薬が貰えなくなって、・・・多くの人達が痛みに耐えられなくなって自ら命を絶ったそうです。
最初は確かに疲れが取れて快適になるのだけど・・・お薬の効果が切れそうになると痛くて苦しくて・・・依存が酷くなると苦痛を紛らわせる為に・・・ある人は気絶するまで壁に頭を打ち付け、ある人は自分の体を刃物で切り付けたり、そしてまたある人は・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・んっ・・・」
私のように・・・自分の身体を愛撫し、慰め、快楽に浸って苦しさを誤魔化すのです。
「・・・ひっく・・・ぐすっ」
ようやく痛みと苦しいのが治まって・・・、私は一人、お漏らしをして・・・途中で我慢して止めたけど・・・間に合わなくてぐしょぐしょになったベッドの上で泣いています。
・・・羞恥と嫌悪感でもう死んでしまいたい・・・少し飲むのが遅れただけでこんなに苦しくて辛いのに・・・これから先お薬が無くなったら本当にどうしよう・・・。
「身体中汗やおしっこまみれだ・・・うぅ・・・嫌ぁ、こんな事したくないのに・・・あいつらのせいで・・・ぐすっ・・・お布団もこんなに汚しちゃった・・・」
コンコン・・・
「リーシャちゃん・・・」
「ひっ!」
お母様が来ちゃった・・・今私ベッドの上で全裸だし、こんな恥ずかしい姿見せたくない!。
「お・・・お母様!、ごめんなさい!、入って来ないで・・・今・・・私、あれだから・・・」
「そう・・・、お食事できたから食堂に来てって言おうと思ったんだけど・・・お部屋の前に持って来るから身体が落ち着いたら食べてね」
「・・・うん、お母様・・・ありがとう」
お父様やお母様は私がこんないやらしい事をしてお薬の禁断症状に耐えている事を知っています、だから何も言わないけれど・・・。
「うぅ・・・恥ずかしいよぉ・・・」
ようやく動けるようになったから、お部屋の扉をゆっくりと開けます、布がかけられたトレイが廊下に置いてありました。
でも廊下に誰か居たら私は終わり・・・全裸だから!、でもドキドキして不思議な気持ち・・・、一度やり始めたらこの緊張感が癖になっちゃってやめられない・・・もしかして私って露出狂の変態?。
「あむっ・・・あむっ・・・んくっ・・・美味しい・・・」
私は全裸でベッドに腰掛け、お母様が用意してくれたお食事を食べています・・・お野菜が入った温かいスープ、柔らかくて美味しいパン、少しだけどパンに挟まって鶏肉の蒸したのも入ってる。
「・・・うぅ・・・ぐすっ・・・」
美味しくて幸せ・・・嬉しくて切なくて涙が出て来ました。
「ごちそうさまでした・・・」
「この世界にはお食事の後でこんな事を言う習慣はないけど・・・前に住んでた世界ではいつも言ってた・・・懐かしいな・・・戻りたい・・・お兄ちゃんに会いたいよぅ」
ぶるっ・・・
「あぅ・・・全裸だから冷えて来ちゃった、風邪ひいちゃう」
私は脱ぎ捨てた服を拾って・・・。
くんくん・・・
「臭くは・・・ないよね、でも自分の体臭は気付かないって、前世で見たテレビか何かで言ってたなぁ・・・朝お水で身体を拭いてるだけだから臭いかも・・・それに今しちゃったからいやらしい匂い・・・してるかも」
腕や腋の下・・・
くんくん・・・すーはー・・・すぅぅ・・・はぁぁ・・・
下着は・・・
くんくん・・・
「・・・ちょっと香ばしいかも」
・・・
「騎士様に近付いた時・・・こいつからいやらしい雌の匂いがする!とか、一人えっちしてただろ!、って思われたらどうしよう、そんなの恥ずかしくて死ねる・・・」
・・・
「ダメだ、気にし始めたらどんどん恥ずかしくなって来た・・・それに気のせいじゃなくておしっこ臭いし」
・・・
・・・
「お台所で少しお水をもらって身体を拭こうかな」
私はお洋服を着てお部屋の外に出ました、・・・その時私は懐かしいメロディを聴いたのです。
「♩ 〜」
「この曲知ってる!、何の曲だっけ?、登山に行く前の日にもお部屋で聴いてた、・・・そうだ!・・・相川七瀬・・・」
「♬ 〜」
「何でこの世界にこれを知ってる人が居るの?・・・もしかして私と同じで前世の記憶を持ってる人?」
私は引き寄せられるように鼻歌が聞こえる方に向かうと、そこには私より小さな銀髪の女の子が居ました、何日か前に紹介された転移魔法が使える幼女さん・・・。
「待って!」
足が不自由らしく、杖を使っているのにひょこひょこと器用に歩いているから速い、転移の魔法陣が置いてあるお部屋に向かっています、待ってよ!、お話がしたいの!、転移魔法陣を使ったら・・・もしかして向こうの世界に戻れるかも!。
どん!
「ひうっ!」
「捕まえた!、そんなに怯えないで、私はあなたとお話がしたいだけなの!、あなた日本を知ってるの?、今歌っていた歌、私も知ってるの!、・・・あれ?・・・もしかして・・・デボネア帝国語・・・通じないの・・・そんなぁ・・・」
フルフル・・・
「いえ!、言葉が通じなくても意思は伝わるかも、お願い私の話を聞いて!、こら逃げるな!」
がしがし!
「おい!、何をしている!」
ドン!
「きゃっ」
いつも私や両親に優しくしてくれている騎士様が怖い顔で私を突き飛ばしました。
「あぅ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・」
どうして・・・銀髪の幼女さんを守るように私の前に立ち・・・け・・・剣を抜いて私に刃を向けました。
「・・・うぁぁ・・・、怖いよぅ・・・ひっく・・・ぐすっ・・・」
しょわわわぁ・・・
ほかほかぁ・・・
「あぅ・・・怖くてお漏らししちゃったぁ・・・」
・・・ってそんなの気にしてる場合じゃない!、待って、幼女さんが行っちゃう!、そうだ!、日本語なら通じるかも・・・でもちゃんと話せるかな・・・もうかなり忘れてるから・・・。
「・・・ニ・・・ニホン・・・ノ・・・ウタ・・・」
「え?」
あ、反応した。
「イマ・・・ウタッテタ・・・アイカワナナセ・・・キョク・・・ナゼ?」
お願い・・・通じて!、そう祈りながら私が発した言葉を聞いて・・・銀髪幼女さんは目を見開き、そして叫びました。
「日本語喋ったぁ!」
懐かしい・・・17年ぶりに聞いた日本語・・・私はその場で泣き崩れてしまいました。
(柚亜紫翼よりお知らせ)
途中でリーシャさんが一人でえっちをするところは「カクヨム」では怒られそうだったのでカットしました。
「ノクターンノベルズ」の方に「R-18完全版」投稿しています。
尚、R18の方は無理に読まなくても本編のお話に影響はありません。
〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!- R 〜
Side X - 15 - 81 - くさいかも!〜リーシャさんは一人えっちで気持ちよくなりたい〜 -
https://novel18.syosetu.com/n3126ih/2
※近況ノートにイラストを掲載しています
リーシャさん
https://kakuyomu.jp/users/hkh/news/16817330659944331251
リーシャさん(裸)
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