花菖蒲 記憶捲りて 偲ぶ恋

花菖蒲はなしょうぶ 記憶めくりて しのぶ恋』


      桃もちみいか作




 衣替えの季節、ふと見つけた。

 クローゼットと記憶の片隅に、押し込んであった昔のアルバム。

 視界に入れば、すでにあの頃にとらわれてしまう想い。


 懐かしい写真を見つめる。

 一瞬で心が感情が戻る、あの頃へと――。


 かたわらには花菖蒲が咲く庭がある。


 切ない想いが甦る。


 昔の、恋を懐かしむ。


 叶わなかった……。

 あの人との儚い、……微熱のような恋。


 くっきりと心に浮かびだしてしまった。


 もうどうしようも出来ず、どうすることも叶わない。


 だって、あの人は……。

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