第63話 ねっとりと眺めたい
「は? 意味が分かる訳がないだろう? ただ、お前はここで俺にボコられて死ぬという事だけは分かるぜ? 正義の味方気取りか何か分からないんだが、男性の癖に俺たちの邪魔をしたのが運の尽きだったな。 男性であれば大人しくしていればなんの危害も加えられないというのに」
「御託は良い。 実力で示せよ三下。 真正面からぶっ潰してやるからよ」
本当に、こういう自分に酔っていて周りが見えていない奴は大抵自分語りが長くなるのは何故だろうか?
そして大抵の場合は言っている事が的外れで周囲がドン引きしている事に気付いていないものである。
今回の場合は、まだ周囲がドン引きしている事に気付けていない方がまだましだったかもしれない。
「俺が何もしないからって偉そうな口を聞きやがってっ!! 俺に喧嘩を売って来た事、後悔させてやるっ!!」
「それそっくりそのまま返してやるわ」
「そげぶっ!?」
さらに言うとこういう奴らは大抵何故か怒りの感情をコントロールする事が出来ず、こいつも他に漏れず怒りの感情のまま俺にボクシングのフォームと立ち回りから右ストレートを撃ってくるので、それを左手で横に弾くと一歩相手の内に入り、そのままの勢いで右ストレートを相手の顔面にぶっ放す。
そもそも俺とこいつとでは場数も違えば、レベルも全然違うのである。
さらに言うとこいつは恐らく魔術行使用媒体を使えなくする機器を作って考えた作戦が『格闘技を覚えて肉弾戦でぶっ潰す』などという舐めた考えだったのだろう。
何故そこで体内の魔力を自由に行使する練習を並行していなかったのか。
こいつらが設置した機械は魔術行使用媒体を使用できなくするだけであるので体内にある魔力は自由に体内で行使する事ができるのである。
それこそ目に魔力を込めて洞察力や動体視力を向上させれば相手が撃ってきた右ストレートが止まって見えるようになるのだから勿体ないとしか言いようがない。
言い換えれば詰めが甘い。
もし今日スタンピードが無ければどうするつもりだったのだろうか?
魔術師たちが俺と同じように体内の魔力を利用して身体能力を上げればまず勝ち目は無かった可能性だってあるのだ。
なんならその可能性の方が高かっただろう。
「ほう……立ち上がってくるか」
ちっ、早く俺のかいりきチザードンちゃんをねっとりと眺めたいというのに、無駄にしぶとい奴め。
足も生まれたての小鹿みたいに震えているのに、無理して立ち上がって来るなよ……。
「あ、当たり前だっ!! まぐれでカウンターを入れられたからって調子にのってんじゃねぐぼはぁっ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます