第58話 魔術師たちを狩る狩場
むしろこれが無いと俺はこんなクソみたいな企業になんか就職はしなかった。
ここへ就職したのは、万が一俺がアンノウンに誘われた時の事を想定して入社したに過ぎない。
そして、もしアンノウンから引き抜かれなかった場合は、俺は定年退職するまでこの会社にしがみついていたであろう事は容易に想像できる。
その点からしても、比較的早くこの俺にアンノウンから声がかかって良かったと思う。
こんなクソ会社など一秒でも長く居たくないからな。
しかしながら、バカというかなんというか『男性』ってだけで俺の事を舐めすぎだろう?
でもそのお陰でおれはこの企業の研究データを引き抜けたのだからざまぁねぇな。
それから俺は退職してアンノウンへ所属すると、毎日二十時間は研究に没頭した。
普通であればそんな生活は一か月と耐えられないであろうが、目的意識がはっきりしており、それが俺の生き甲斐である今の俺からすれば、これほど充実した日々は無かったと言えよう。
そしてそんな充実した日々を過ごして早四年が経た頃、ついに俺は魔術行使用媒体の効果を改造して、結界を張った中にいる者は魔力を魔術行使用媒体へ供給するのを妨害する事ができる物を開発したのである。
しかしながらその時にできたモノの効果範囲はかなり狭く、とてもではないが実戦で使用できるような物ではなかった。
しかしながらこのゼロから一へと変わったのはかなり大きく、原理は理解できているので後はこの効果範囲を広げるのは魔術行使用媒体を使えなくなる結界を作り出す事に比べればかなり楽であったと言えよう。
そして今現在、魔術行使用媒体への魔力供給を無効化するアイテム『魔術行使用媒体アンチシステム』の効果範囲は一台で半径五キロもの範囲を無力化できるようになっていた。
ちなみに、当初こそ人の背丈ほどの大きさであったのが今では手のひらに乗るくらいの大きさにまでコンパクトにすることもできた。
その『魔術行使用媒体アンチシステム』を、我らがアンノウンの所持しているビルの屋上全てに設置して、この町はどこにいても『魔術行使用媒体』を行使する事はできないように配置していた。
言い換えればこの町すべてが俺たちアンノウンにとって魔術師たちを狩る狩場へと変わったという事でもある。
「なぁ、今まで見下した男に一方的に攻撃をされるというのはどういう気分だ? これが今まで男がお前たち女にやられてきた事なんだよっ!!」
「…………っ」
「おらっ!! どうしたっ!? いつもみたいにやり返して来いよっ!! まぁ、スレットのスタンピードで魔力を殆ど使っているだろうから身体強化をした所で直ぐに魔力が枯渇してしまう為動くに動けないんだろうなぁっ!!」
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