第74話 もうダメかもしれないダメな大人たち
「俺が悪かった…じゃけぇ神娘姉には黙っとってくれんかのぉ…」
僕をぶん殴った叔母は、僕を抱き締めながら言う。
別にそれは愛情表現ではない。
こんな破天荒な叔母さえ恐れる母への配慮なのだ。
「そもそも、なんで叔母さんがいるの?なんで真っ昼間から飲んで、小学生の下校時間に泥酔してんの?」
冷めた目を叔母に向ける。
「うるせぇガキじゃのぉ…大人にはいろいろあるんじゃ!!」
不機嫌そうに言う叔母。
「そもそも仕事は…」
「うるせぇんじゃクソガキ!!仕事しとるんが偉いんか?違うじゃろう!!俺ぁ別に好きで仕事しとらんわけじゃないけぇ!!そこんとこ間違えんな!!」
捲し立てる叔母。
ああ、また首になったのか…この人はダメだ。もうダメだ。
「女王様!!タバコ買って来ました!!」
そんな叔母に駆け寄る男。
「なんじゃこれ…俺の言った銘柄と違うじゃろうが!!」
正座した男の股間をグリグリと足で踏む叔母。
「トレジャラーブラックとか、その辺では手に入りませんよ!!アヒぃん!!」
「じゃったら這いずり回ってでも買って来るんが犬の仕事じゃろうが!!」
ヘブンへと旅立った男を更にグリグリと責める叔母。
青少年の教育に悪いので、さっさとしょっ引いて下さい、警察の皆さん。
他人のふりをしながら、僕は遠くを見ていた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「お姉ちゃん。」
「氷華ちゃん。」
私に抱き着いてくる可愛いその子を抱き締める。
可愛い。
私の友達は凄く可愛い。
ハスハスと可愛い友達の匂いを嗅ぐ私。
「お姉ちゃん、ママ程じゃないけどおっぱい大きい。」
そんな私の胸を揉みしだく氷華ちゃん。
「凛樹お姉ちゃんと同じくらいある。」
満足そうに言う氷華ちゃん。
「氷華ちゃんも大きくなるよ…多分…」
彼女の母と姉を思い出し、私は胸を隠す様に両手で抱きながら言う。
「氷華も大きくなるんだ…」
そう言いながら自分の胸を触る氷華ちゃんは、ジッと私の胸を見た。
「パパはママのおっぱい好き。よく夜ベットでママのおっぱい触ってるの。…お姉ちゃんのおっぱいは誰が好きなの?」
「氷華ちゃんかな…」
つまり、そういうことだよね…
私は小学生1年生が知るには早すぎる領域に踏み込まない様にそして真っ赤な顔を隠す為、俯いて言った。
「なんで氷華なの?」
子どもって純粋だぁ…
「氷華ちゃんは友達だから…私氷華ちゃん好きだから…好きな人のお…おっぱいが好きなの…」
私はなにを言っているのだろう。
「なるほどなぁ~。」
氷華ちゃんは納得した様に言って、私の胸に飛びつく。
「ふかふか気持ちぃ…」
私の胸に沈む幼女。
神様、私は悪い人間です。
正しいことを教えずに、間違ったことを教え、それを良しとしました。
必死に贖罪する私の気など知らず、氷華ちゃんは気持ち良さそうに私の胸とお腹を触った。
「ぷよぷよ…プリンみたいで気持ちいい。」
「ふ、太ってないもん!!昨日プリン食べ過ぎただけだもん!!」
痩せよう…
そう決意した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「神也さん!!」
夜明け前、叩き起こされた僕。
「大成功です。こんなに濃いのは…間違いなくデキてますね!!」
夜襲への警戒が足りなかった…
いや、そもそも…
「なにしてんですかねぇ!!アンタはぁ!!」
僕は極限を超えていた。
毎日、朝も夜も問わず迫る美女。逃げても逃げても襲い掛かるそれに己の理性と常識を盾に守り抜いていたが、隙を突かれた。
「ふふっ…責任はとって下さいねぇ…パパ。」
「結婚どころか交際もしてませんけど…」
「では、今すぐ結婚しましょう。うふふっ、よろしくお願いしますね、パパ。」
病んだ笑みを浮かべるアイギス・シュバリエに、僕は本気で泣いた。
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