第24話 可愛いは正義で強い
「氷華も私も最高に可愛い〜!!」
いっぱい撮った画像を私に見せながらお姉ちゃんはそう言いながら、
「もう御布施入ってんじゃん!!アルさんマジ最高〜!!」
と、デバイスを触りながらはしゃぐお姉ちゃん。
「可愛いって強いの?」
そんなお姉ちゃんに私は質問した。
お姉ちゃんは強いよりも可愛いを優先する。なら、可愛いは物凄く強いのだろう。
「可愛いは強いんじゃなくって、正義。そう、可愛いは揺るぎない最高の正義なの。」
可愛いは正義…正義って正しいことだよね?
ママは以前、強さこそ正義って言ってたし…
「可愛いって強いんだね。」
じゃあ、1番強いママが1番可愛いんだ。
「やっぱり、ママは凄い…」
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「まあ、ここにいれば避けるだけだし…」
上空を舞う私は、風の力を使いながらそう気持ちを落ち着けていた。
拳圧を衝撃波として飛ばす攻撃も、分かれば位置的優位でなんとかなる。
そう思っていた矢先だった。
「どこを見ている?」
地上を見ていた私の背後に、武生神娘がいた。全く理解出来ないが、何故か上空に彼女は立っていた。
「…ヒィ!!」
咄嗟に火炎と雷撃を放ちながら、風を使い後方に飛び退く。
武生神娘は、そんな攻撃を拳の一突きで消し飛ばし、一瞬で距離を詰める。
本当に無能力者なの!?
咄嗟に能力で展開した岩の盾を彼女の拳は消し飛ばす。
「火に雷、風に岩…随分と多彩だな。」
余裕綽々に言う女。
「まだこんなもんじゃあないわよっ!!」
身体強化の能力を使いながら後方に飛び、水の能力で水龍を創り出し、女に放つ。
「しかし、どれも2流だな。」
空中で更に加速し前進する女の拳が水龍が消え去り、更にそこから放たれた拳圧の衝撃波が私を襲う。
「うっ…」
全力で身体強化に力を注ぐも、受けきれない程のダメージ。
ドサッと音を立てて地面に落ちた私を見下ろす武生神娘。
「いや…死にたくない…」
あまりにも圧倒的な力。その恐怖に這いつくばって逃げるしかなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
元とはいえ、世界一位のヒーロー、ワンマンコマンドーが特別に情報を集める人物。
その時点で余程の相手とは思っていたが…
「あなたが来ても勝てませんよ、これ…」
私は、圧倒的強さを誇った雇用主を思い浮かべ、そう呟いた。
武生神娘。
能力を駆使し、ヒーローとヴィランが鎬を削るこの世界で、無能力者でありながら異常な強さを見せつける彼女。
いや、そもそも、あの拳の威力にせよ、空を飛んだり、光よりも速く動きたり…
本当に彼女は無能力者なのだろうか?
そんな疑問は一旦捨て、雇用主の娘を助けるべく、非常に嫌だが2人の間に入った。
目的は1つ済んだのだから。
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