第294話 長寿種族のエルフである

「そうですね………私、胸がエルフにしては大きすぎるのです。貧乳を美として見ているエルフの国民からは醜いミノタウロスの雌だの魔獣だのと常に虐められ、仕事もまともな仕事に付けず糞尿集めの日々。だと言うのに私の胸が大きいという理由だけでお駄賃も通常の半分ももらえません。ですがそんな醜い身体でもエルフはエルフ。一歩外に出ればどんな悪い魔術師に捕まり魔術の実験または媒体にされるか分かりませんから外に出る事も出来ず………そんな時、黒竜さんが現れて、『これだっ!!』と思ったのです。外の世界に出るにはこれしか無いと。そしてあなた様をみて確信しました。楽できる………ではなく、押しに弱そう………でもなく、お優しい方だなと」


そしてこのエルフは言う。


「私も貴女みたいな貧乳がよかったです………」

そして次の瞬間、『ドスッ』という鈍い音と共にエルフの手の甲に黒い万年筆がぶっ刺さっていた。


「へ………?い………痛いぃぃいいいいっ!!」


そして叫びだす駄エルフ。


勿論部屋を取り囲む様に真空の空間を作り防音はバッチリである。


「あら、ごめんなさいね。思わず手が滑ってしまいましたわっ!オホホホホッ!!」

「うぅー、酷いじゃ無いですか。私の綺麗な肌に傷が………あれ?傷が無い。それに、痛みも引いてますし、手の甲に奴隷紋が浮かんでますっ!と、言う事は私はご主人様の奴隷にして頂いた、という事ですねっ!?」

「感謝する事ですわね」


少し早まったかなぁー、と思いはするもののストレスは解消出来たので良しとしよう。


このエルフは明るく生きて行かないと精神が壊れてしまう為無意識の内に天真爛漫を演じていたのであろう。


長寿種族のエルフである。


何百年もの間、虐げられて来たのであろう。


そう思えばこそわたくしの身体を見て『スレンダー』と宣った件に関しては先程の一撃でチャラですわね。


「ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!ご主人様ぁぁぁああっ!黒竜様から聞かせて頂きました死者すら蘇生させる事が出来るという賢者様の奴隷と成れたのですから、これであの憎きエルフ共に今までの借りを返すチャンスが得られましたっ!」

「えぇぇいっ鬱陶しいから離れなさいな暑苦しいっ!!メイさんっ!ウルさんっ!アンナさんっ!この駄エルフを引き剥がして下さいましっ!」


なんかこの駄エルフが恐ろしい事を言っていた様な気もするのだが、とりあえずメイ、ウル、アンナ達にこの駄エルフを引き剥がして頂き、その後幾つかの誓約を交わした後スサノオを半ば強制的に呼び出して一旦メイと共に現ブラックローズ本拠地であるジュレミア邸までこの駄エルフを連れて行く様に命令を下す。

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