第292話 断ったら説教
そしてわたくし達はその後、料理番が摘める軽食をお持ちくださり、それを摘みながら軽く雑談をした後ノア様が一緒にピクニックに行こうなどとほざきやがりますので丁重に断ろうとしたのだが、何処からともなくお母様の殺気が『断ったら説教』という想いと共に飛んで来た為不詳不精ではあるものの本日も昨日と同じこのメンバーでピクニックである。
途中で生徒会長であるオズウェルも参加し、わたくしからすれば正に死のグループ。
サッカー、ワールドカップであればベルギーやフランス、ブラジルやイングランド等強豪国犇く絶望感しか無い死のグループを何とか一日乗り切り帰宅。
楽しくないと言えば嘘になりますがそれ以上に緊張感が勝っていたので無駄に疲れてしまった。
そして夜ご飯を家族と食べたり入浴したりしながら就寝の為にわたくしに割り振られた部屋へ入ると、ロープで簀巻きにされた何かがうごうごと呻き、そして動いているでは無いか。
「んんーっ!!んんーっ!!」
えぇーと、わたくしの記憶が正しければ、この目隠しをされた芋虫はスサノオがエルフの国から拾ってきた生け贄さんであると思うのですが、気のせいだと良いなーなどと思ってしまうのは致し方ないとわたくしは思う。
そして今日というとんでもない厄日に疲れ切っているわたくしは『もうなる様になりますわ』と開き直り芋虫からロープを解き目隠しと猿ぐつわを外す。
「と、トイレは何処ですかっ!?」
「この部屋を出て右側、突き当たって左ですわ」
「あぁあああありがとうございますぅぅうう漏れるっ!漏れちゃいますぅぅううっ!!」
そして件の芋虫エルフはロープを解き、目隠しと猿ぐつわを外すや否や『バビュン』と擬音が聞こえそうな速さで風となり駆けて行った。
「ふぅううー……何とか間に合いましたぁ。ありがとうございます」
「そ、それは良かったですわ」
本当、このわたくしが使用している部屋で、このエルフに漏らされたと想像するだけで恐ろしいですわ。
何がとは言いませんが敢えて言うならば般若と化すお方が約一名いる事は容易に想像出来ましてよ。
「って、そういう事では御座いませんわぁぁぁあああっ!!何当たり前の様に生け贄にされたエルフがわたくしの部屋にいるんですのよっ!?」
「ひぃぃいっ!ドラゴンの餌だけは嫌ですぅぅううっ!何でもしますからぁっ!」
そしてあんまりな状況に思わず現実逃避しかけるも無理矢理現実に戻って来ると件のエルフが何がそんなに恐ろしいのか脅えながら絶叫する。
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