第11話 今度は真剣

 翌日は休養で特に予定はないが、何か見たいものや行きたい所はないか聞かれた。武器屋に行きたいと言うと、ギルドに寄ってから行きましょうとバルバラは言った。

 教会から少し離れた周りより大きめな建物がギルドのようだ。ギルドって何だ?!

 バルバラについて入って行くと、左側が食堂みたいで、右側にカウンターがあり職員が対面していた。バルバラに視線が集まり、その後にカツヤにも興味が注がれた。バルバラは自然に無視して、カウンターに歩いて行った。

 バルバラは美人でもあるし、シスターの洋装もたいへん目立つ。普段から注目を浴びることに慣れていて、視線を無視することにも慣れているのかも知れない。

 「今日はどんなご用ですか。」

 カウンターの女性が聞いてきた。

 「勇者様の冒険者登録と魔石の換金をお願いします。」

 バルバラは抑揚よくようのな口調で言った。

 カウンターの女性は一瞬息を飲み、周りにも緊張というのか変な空気が流れた。バルバラは微動だにせず相手のことを待っていた。

 「こちらの登録申請用紙に記入をお願いします。」

 女性が用紙とペンをバルバラに差し出した。

 「勇者様はおいくつですか。」

 バルバラがこちらに向き直って聞いてきた。

 「十五歳です。」

 「!?私と同じですね。」

 バルバラがわずかに微笑んだ気がした。

 以外に若かった。てっきり年上かと思っていた。

 「ハーデスさんとヘルセポネさんも同い年です。」

 それも以外だ。こちらの人は実年齢より大人びて見える。

 バルバラが用紙を女性に手渡すと、カードをはめ込んだ水晶が置かれ、手を乗せるように言われた。手を乗せるとほんのり白く光り、女性は申し込み用紙に何か記入し、カードを外した。

 「問題ありませんので無事登録完了です。」

 カードを渡された。そこには名前と年齢、ランクが書かれていた。

 ランクはF,D,C,B,A,Sとあり実績によりアップするとのこと。カツヤは昇段みたいなものかと思ったがよくわからなかった。

 換金は入口横の広いカウンターでやっているので、そちらに行ってくれと言われた。

 換金カウンターには壮年そうねんの男性がいた。

 バルバラに昨日の魔石を出すように言われ、袋からカウンターに出した。男性は素早く魔石を確認し、銀貨二枚を出した。

 銀貨二枚がどれくらいの価値なのかはわからないが、冒険者がこうやってお金を稼いでいるようだ。


 それからこの前の武器屋に行った。店主はカツヤのロングソードを見て顔をしかめた。

 「あんちゃん何かちょっと達人っぽい雰囲気出てるけど素人しろうとかいな。」

 ロングソードは左右対象に見えるが、切刃きりは打刃うちはがあるそうだ。日本刀のように相手を切りに行く時は切刃きりはを使い、硬いうろこを持っているような相手には打刃うちはを使う。要は切刃きりはは尖っているので硬い物にぶつけるとかけてしまう。打刃うちは先端が丸く衝撃に強くなっているそうだ。

 持っているロングソードを下取りにして、とにかく頑丈がんじょうな剣に交換してもらった。

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