決めた!

 僕たちは今、お兄さんと一緒にお城へと向かっている。

 理由はもちろん、お姫様を救うため!

 でもなぜ僕たちが傲慢なお姫様を救うことになったかというと。


『本当にありがとうございます』


 ユウと同じ喋れるタイプのこの男の子の幽霊が、これまでの経緯を教えてくれたからだ。

 男の子は突然僕たちの前に現れると、やっと気付いてもらえるかたに出会えたと涙を流した。


 男の子が言うには、お姫様は悪い魔女の亡霊に操られているらしい。だから本当は宝石なんていらないし、今までのように村のみんなのことを想っていたいはずだと。


 僕は男の子が嘘をついているようには思えなかった。

 さらに男の子は泣きながら僕に続けた。


 宝石の原石が採れるあの洞窟には、獣人族にとって有毒な胞子を飛ばす植物が生えている。だからお姫さまは、大好きなみんなを危険な目に遭わせるようなことをさせてしまい、本当はものすごく傷付いていると言った。


 僕はたまらず男の子に訊ねた。君はどうして傷付いているのって。もちろん声に出して。

 すると男の子はまた大粒の涙を頬に零して、それは自分が原因でお姫様が魔女に乗っ取られてしまったからだよと言った。


 僕はわけがわからなかった。でも僕はそれらを全てお兄さんたちへ伝えたんだ。

 すると当然、お兄さんたちは目を白黒させて驚いた。でもそんな様子を見せながらもお兄さんは、僕と見えない二人へ話をしてくれた。


 あの洞窟は、手つかずのままだからこそ本来の美しい姿を保っていたのだそう。だけど野良のみんなは、お姫様の言いつけを守るために環境や身を犠牲にしてまでも、日々採掘へ向かっていたと言うのだ。

 なぜなら野良のみんなも、お姫さまが大好きだから。


 僕とユウの心は決まった。

 僕は自分の身に何かある場合はすぐに魔法を使って家に戻ることを条件に、お兄さんたちへお姫様を救いに向かうことを願い出たんだ。

 だって相手が亡霊なら、僕は役に立てるかもしれないから。

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