第17話 陰陽師
「いらっしゃいませ~」
「こんばんは」
今宵、あやかし古書店を訪れたのは普通の青年だった。妖怪には見えない。
「僕は妖怪学校、陰陽師科に通っているのですが、レポートの題材の本を探しに来たのです」
「妖怪学校なんて所があるんですね」
「あるんですよ。あなたも、あやかし古書店で働いているのなら、多少なりとも妖怪に免疫があるのでは?」
「まあ、ここの夜開店で働き出してから色んな妖怪に会いましたけど」
「それはそれは。よろしければ妖怪学校に転入されてみては?」
「ええっと。俺は文学が学びたくて、普通の大学の文学部だけで十分です」
「そうですか。……それで探してる本なのですが安倍晴明の『簠簋内伝』です。現代語訳が付いているものがいいのですが」
「ホキナイデン?」
「ええ。安倍晴明が陰陽道の奥義を解説した本です」
「安倍晴明に関する本は、確かここに……」
「ああ、これですこれです」
青年が一冊の本を本棚から取り出す。
「簠簋内伝、難しい字を書くのですね」
「はい。これを読み解けば、私も安倍晴明に一歩近付けます」
「頑張って下さいね。応援してます。……2300円です」
「はい」
「ありがとうございました~」
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