第251話 決勝
ご主人はエンタメを覚えた!
決勝の相手はタンク系の人だったから、ちょっと攻めきれない演出を行ってから魔法付与のスラッシュで倒した。
魔法付与した瞬間、観客席はどよめいてたんだけど、あれは何に驚いてたんだろうか?
「魔法剣見せちゃうんですか…大盤振る舞いですね」
「うにゃ?」
「何か変なのか?と訊いてるぞ」
「変というか、魔力を物に纏わすの難しいんですよ。魔法剣士になってから次の職業進化前にやっと出来るかんじで、それを学生がやったので驚いてるんです」
開いた口が塞がらないとはこの事か!
高村の話を聞いて俺もヤクシも口をパカッと開いて固まってた。
グレイは何故か、だよな!みたいな感じで頷いてるけど。
「ドラゴンはともかくミロク君が出来るのが不思議なんですけどね」
「うにゃにゃ!?」
「魔力操作って基礎スキルだよな!?とかおかしなこと言い出したぞ」
「にゃにゃぁ!」
「だってひっかくで勝手に動くの気持ち悪いから魔力操作覚えるよね!と言ってるが」
「人間にひっかくはありませんからねぇ」
「にゃぁー!」
「スラッシュとかも気持ち悪いだろー!とか言ってるぞ」
「特に気にしてる人は居ません……はわわってる猫って可愛いですね」
ニッコニコしてるんじゃないよ!
「うにゃぁ……」
「確かにご主人は難しいとか言ってたけど……マスターは難しいを素直に受け取らなかったのか」
ご主人は剣士だしそんなもんかと思ってたんだ。
「キュキュー」
「まぁヤクシ先輩が言うように、出来ないよりは出来る方が良いんだろうけど」
そうだな!もうご主人は出来るんだから考えても仕方ないな!
「あ、表彰式が始まりますね……私、総評任されてるので行ってきます」
高村は立ち上がって表彰台の所に行った。
高村が紹介されながら出てきたので観客たちも選手たちも歓声を上げた。
「にゃにゃ」
あいつ、こんな歓声上がるほど人気なのか。
「まぁ有名人みたいだからな」
「キュキュー?」
あの叔父さんでも一般人からしたら憧れなんだし高村なら妥当では?ってヤクシの含みを持たせた言い方よ。
確かにおっさんとなら比べるまでもなく高村だよな。
「うにゃ?」
それよりご主人が優勝したけどお祝いするかな?
なんか不本意そうだしそっとしといた方が良いんだろうか?
「……一応ケーキは用意してるぞ」
「キュー」
優勝する前提で作ってたもんね。とヤクシは言ってるがいつの間に?俺知らないんだけど?
「颯人様が学校の間にレアチーズケーキ作ったんだが……そういえばマスターはポカポカクッションで熟睡してたもんな」
それなら仕方ない。あのクッションは猫を駄目にするクッションだからな。
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