第231話 研究者の屋敷の罠?


中に入ると豪奢な玄関ホールだった。


「にゃぁ」


お部屋探索しなきゃ。


猫の習性的なやつだ、お部屋をスンスンして回らなきゃいけない気持ちになってる。


「ここの玄関ホールの部屋は開かないらしいぞ」


「うにゃ」


開けなきゃ。


タタタッと早歩きで扉前に行って、カリカリと爪でひっかく。


グレイが気を利かせてドアノブを回すが、ガチャガチャするだけで開きはしない。


「にゃ!」


ノックしてお邪魔します!


魔女の家でお馴染み!扉に穴を開けてお邪魔するのだ!




……壁だった。


扉は飾りだったのだ。扉を壊したら壊れないダンジョンの壁だった。



「にゃ」


これが省エネ。


「キュー」


ギルド情報通りに行こうね。とヤクシはふよふよと行ってしまった。



ちょっと肩透かしされた感じだけど、気を取り直して!ホール奥の階段を上がって右側がダンジョンの奥に進む道らしい。


最初に正解の部屋を確めまくった人達ありがとう!


玄関ホールというか、階段登った先も合わせたこのフロアの扉の数は50。それを1つずつ確認して、ギミックが無いか探し回るとか、俺には無理。


人間だった頃ならやれるけど、今は猫だから確実に飽きる。


本能に負けてきている今日この頃。


「ここだな……無駄にパスワード付きの扉だが、パスワードの問題もランダムで鍵を探す謎からの出題らしいぞ」


『えーと、鍵を得る為の試練で出てきた数字を入力せよだってー』


「にゃうん」


歩数のやつだな。


問題の紙、まだ持ってるんだが?グレイは記憶というより記録だから紙も見ずに入力しちゃったけど。


「キュー?」


ここって本当に中級なの?


「うにゃ」


まだ入ったばかりだから。


というか、まだ入ったばっかなのに既に疲れたぞ?嫌がらせレベルだけど、地味に効くやつ用意してんなぁ。


「開いたぞ」


ロックが解除されて、グレイが気を付けながら扉を開けた。


「にゃ」


目の前に糸張ってる。


ついでに罠察知が反応したんだけど、糸の向こう側に落とし穴(危険度低)があるっぽい。


「うにゃぁ?」


ダンジョンの罠って人間用だけなの?


「こんな食い物もないダンジョンに入るのは大抵人間だから動物対応にはしてないんじゃないか?」


……それもそうだ。


とりあえず落とし穴ごと飛び越えて先に進むことになった。


この先から、なんだか雰囲気が変わって無機質で何かの研究施設みたいな廊下になっている。


ここから色々なモンスターが出てくるらしいので、気を付けねば!


ただ、残念なことに扉が金属製で軽いひっかくでは壊せない。ちょっと強めに魔力を込めると斬れるんだけど、加減を間違えるとキィィィッと音がするのだ。


耳がイーッとなるので、遠慮せずにやろうと思う。


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