第229話 研究者の屋敷入り口
少し肌寒くなった秋の日差しを浴びながらぽかぽかクッションに身を任せる。最高に贅沢な時間を堪能しているのだ。
「扉を設置して3日は経ってるんだが?」
知らぬ。俺はダメになってるんだ。もはや液体だ。溶ける猫で検索したら俺が出てきそうなほど溶けてるぞ。
「にゃぁ…ん」
「キュー」
「いや、ヤクシ先輩!猫だから仕方ないとか言わないで!設置のために交通費かかってるんだから元取らなきゃ!」
ハッ!そうだった!こうしちゃいられねぇっ!
「にゃ!」
行くぞ!
猫部屋に設置していたセーフティハウスの扉から中に入り、研究者の屋敷ダンジョン近くの公衆トイレに設置したセカンドドアから出る。
人影無し!
「……急にやる気出すじゃん」
「キュー」
『だよねー猫ってそんなんだよねー』
うむ、皆来たな!では入るぞ!
改札を通って中に入ると、テレビとかで見かける貴族の屋敷って感じの建物が見えた。
その屋敷までの道は石畳で、途中には噴水がある。
石畳以外は芝生というか、庭園?低木で迷路みたいなものがあったり、バラのアーチがあったり……
「うにゃ」
研究者の屋敷でこれは解釈違い。
「貴族の屋敷だな」
「キュー」
ヤクシも、研究者が庭の手入れに力入れるって感じしないよねって言ってる。
『ダンジョンの名前はーダンジョンが考えることもあるからー』
…成る程。ダンジョンさんのネーミングなら仕方ないな。
さて、ギルドホームページによると、玄関に鍵がかかってて、その鍵を探す謎解きも一緒にドアに書いてあるらしい。
謎の答えの場所に行ったら、また謎があって、何回か繰り返したら鍵が手に入るんだとか。
しかも謎の答えは中に入ったあとにも使うので鍵だけ手に入れても後で大変になるという面倒さで不人気らしい。
「……にゃ」
……噴水の中に鍵あった。
「こういう幸運要らないが?」
だよね!無駄に謎解きしなきゃいけないやつだ!
噴水の水飛沫が気になって、ちょいちょいやってたら見つけちゃったんだ。
でもこんなとこに隠すのが悪いと思うんだよ!噴水見るだろ!?
とりあえず鍵はグレイが持って、玄関扉前に到着。えーと、謎は……
「美しき赤の見える高所にて、か弱き君を守る砦の中に」
「キュー」
日本語で話してくれないかな、ってヤクシが言ってるが、ホントそれ。
「にゃ」
まぁ赤といったらバラしかないんだけどな。
『高所ってことはー木の上かなー』
「じゃああっちの方に行くか」
良い感じにバラが見えそうな木が生えてるからたぶんそれだろう。
……こういう難しくないけど面倒な移動系な謎なんだな。これは不人気。
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