第226話 閑話 不運?な探索者


もう少ししたら中級に上がるので、貢献度上げのための依頼を受けて、魔女の家ダンジョンに来ている。


何回か来てるのでルートも罠も把握済み。油断さえしなければ直ぐに終われる筈だった。


……姿は見えないけど、視線を感じる。気配察知スキルは無いが何かが居そうな気配とかはわかるもんなんだが、良くわからない。


無機物系じゃないし、フェアリー系でもない。


「というか、なんか全体的にボロっちくなってないか?」


こんなに壁紙剥げてたりしたかな?


ダンジョンに異変を感じたら、ギルドに報告を入れるのは探索者の義務なので、一応安全確認してから電話する。


謎にダンジョンでネットとか使えるんだよな、便利だから気にしてないけど。


「魔女の家ダンジョンで異変報告が出てないか確認して欲しい」


『魔女の家ダンジョンですね、確認してますが、今どのような異変を感じていますか?』


「姿は見えないけど視線を感じる、1つ2つじゃない。気配察知は持ってないので確定ではないが気配も無いように感じる。あと何故かダンジョン内が少しボロボロになってる気がする」


『視線とダンジョン内部の変化ですね、ダンジョンには修復機能があるのにボロボロなのは変ですね、ダンジョン内が劣化している感じでしょうか?それとも修復が間に合って無いだけでしょうか?』


「……どちらかというと、修復が間に合って無い感じか?なんというか、ドールが悲しそうに部屋の片付けをしているのを隠れて見てるんだが」



『少々お待ちください……………えー、とある方より情報提供がありました』


とある方?というかタイミング良く情報提供が来るなんてついてるな。



タタッ


ん?今何か通っ……………ん?


「なぁ?」


『なんでしょう?』


「魔女の家ダンジョンって獣型モンスターは出ないよな?」


『……出ません』


「じゃあ、俺の目の前に居るのは……」


『……猫です』


「猫かぁ……」


本物の茶トラかぁ……


「いや、何で!?って別な猫もいる!?」


何故かダンジョン扉から出てくる猫…あれ?猫扉が設置されてね?


俺に気がついて一瞬止まってダッシュで逃げて行くんだけど、何匹出てくんの!?


『少し前に野生動物たちのギルド登録も開始いたしまして、改札も通れるようになってます。そして情報提供者によると野良猫たちが魔女の家ダンジョンに住み始めたそうです』



「ダンジョンに住む!?」


住んでんの!?え、まさかダンジョン内がボロボロなのは……


『雨風凌げて気温も一定、床がカーペットでベッドや毛布もある。モンスターや罠が無い部屋なら快適だと判断したそうです』


……確かに、考えてみれば良い場所かもしれない。


『家具で爪とぎしたり、遊べる物も沢山あって理想的な住まいらしいです』


モンスターや罠さえなければ高級ホテルより豪華な部屋だもんな、モンスターや罠さえなければ。


「り、了解した。では異変は異変じゃなくて、ギルド側も把握はしたということだな?たぶん視線は猫だろうし」



『はい、即時ホームページにて情報を更新いたします』


「わかった、ありがとう」



『では、お気をつけて』



電話を切って、ドールたちを見る。


片付けて、補修されたそばからボロボロにされるのか……そらぁ悲しそうにしてるわけだ。


でも、猫扉設置してるから嫌では無いんだろうな。


……とりあえず、依頼品をゲットして猫の写真撮ろ。

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