第224話 閑話 マリモちゃん


マリモちゃんの1日はご主人の霧吹きで始まる。


人類が小ダンジョンをスルーしちゃったから、あら大変。


でもマリモちゃんにその皺寄せがくるのは違うと思うんだよねぇ。


すべてのダンジョンに魔苔は居るし、世界樹とも繋がってるからってさぁ。


ダンジョンの意思っぽいものを受け取れて外に発信できる存在が、マリモちゃんだけなのは知ってるんだけど……


『狭く作ったのがーいけないんでしょー?自業自得なのにー!マリモちゃんに迷惑かけないでよねー!』


スキル回収に小ダンジョンに通うと、毎回毎回煩いんだよねぇ。


回復の水は取りにくるけど攻略はしてくれないとかさぁ、属性魔法が取得出来るようにモンスター出してるのにスルーされるとかさぁ。


マリモちゃんに関係無くない?


全部、小ダンジョンを狭く作ったのが原因だし、属性魔法取得モンスターはモンスターだとわかりにくいんだよ。


わかるのって特別な鑑定持ちのマスターくらいじゃない?


だって石ころだったり、ミニスライムだったり、人間は気がつかないと思う。地面との距離を考えてよ、動かないピンポン玉サイズの透明なスライムは気がつかないでしょ。


あと地面に石ころ転がっててもモンスターだとはおもわないよね?


集客うんぬん言うならもっと人間に合わせてダンジョン作りなさいって話だよね。



『今はーそこそこ入ってるんでしょー?昔スルーされたことーぐちぐち言っちゃってーウザイんだけどー?』


ダンジョンが女々しくてツラいよ。


うるさいから早々に小ダンジョンから出たよ。マリモちゃんは進化しないので攻略報酬はスキルかアイテムを選べるの。


今回はスキルが短剣術でアイテムはカッターナイフだった。両方要らないけどスルーしたらダンジョンが拗ねるのでカッターナイフを選択したよ。


まぁ、マスターじゃなければ小ダンジョンなんてこんなもんだよ。


そうそう、マスターといえば…


知識に入ってる猫と違うんだけどさぁ。ナニアレ?


中に変なの入ってない?実はモンスターだとか?ダンジョンから解き放たれた突然変異体の家猫型モンスターとかじゃないの?


自分を鑑定して、雑種だったことに驚いてたけど?


こんなに真っ白なイケ猫なのに雑種!?ってめっちゃ驚いてた。


でもさぁ、マスターのイケ猫って人間から見た猫の美形だよね?だってこの前話した猫たちは強さとか匂いとかで美醜が決まるとか言ってたし。


いや、まぁ、美醜って感覚すらない感じだったけどさ。



でもマスターって中身が人間かと言われたら、猫なんだよねぇ。ご主人も人間が入ってそうだけど、人間が入ってるにしてはアホって言ってたし。


……アホって言うか、猫なんだよねぇ。ってご主人も言ってたし、やっぱり猫なんだろうけど。


フォレストドラゴンのマスターが普通の家猫って凄く笑えるよねぇ。


マリモちゃんも、マスターに倣って怠惰にお昼寝しよーっと。

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