第3話 出会い①

 安田改めラポーラは、森の中で安全そうな、所を探すことにした。手にはアイテムボックスに入っていた短刀を持っている。持つことで少し強くなった気がしたが、自己満足だと思う。

ステータス見ても変わらないし。



 しばらく歩くと見晴らしの良いところに出た。7歳の身体なのであまり進んでないと思うし、意外と疲れる。まだ体力がないから仕方ないが。ある程度強くしといてくれたら良かったのにな。



「とりあえず、ここなら見渡せるし、安心か。とりあえず食事でもしよう。」


 アイテムボックスから水と白いパンとウインナーを取り出しウインナーをパンに挟んで食べていると食べ物につられてか、犬みたいな小さくて可愛い四足歩行の白い毛並みの動物が近づいてくる。



「異世界で初めて合う動物だな。襲ってくる気配はないな。お腹空いてるのかな?でも、警戒はしとかないとな。」



 ラポーラはアイテムボックスからウインナーみたいな肉を取り出して、その小さい犬に少し離れて渡してみる。するとその犬は警戒しながらも、ゆっくりと食べだした。



 後、水とウインナーを追加して渡す。数分経過し、お腹もいっぱいになったのか、小さい犬は安心したように警戒心もなくラポーラに寄ってくる。



 ラポーラも警戒を解き、心を許し、手を差し伸べる。


小さい犬と触れた瞬間、目の前に透明なボードが現れる。


【福祉力のスキル条件が満たされました。

   福祉力のスキル ラポール

キュービー(幼体)と仲間になりますか。 


      《ハイ・イイエ》      】




 福祉力のスキルでラポールだと。ラポールは私が前世の福祉の仕事の際に1番大事にしていたものだ。簡単に言えば。この人なら大丈夫だと安心・信頼してもらう『信頼関係』の事である。信頼関係がなかったら本当に必要な支援なんか出来ない。その人の事も知る事出来ないし。ま、思い出すのはこれくらいにして…


 

 まさか、想像魔法以外に福祉力でラポールがスキルみたいになって現れるとは、前世と違って信頼が見られてわかりやすい。果たしてラポールはスキルと言っていいのか、仲間になったよという報告なのか?前世は信頼してもらえてるか、分かりにくかったからな…などと考えていると、キュービーは可愛く首を傾げている。

ラポーラは慌てて[ハイ]を押す。



【キュービーと仲間になりました。キュービーとお互い助け合う事ができるようになりました。】


「待たせてごめんごめん。キュービー、私の名前はラポーラだ。これからよろしくでいいのかな?」



 ラポーラはラノベでよく読む仲間になった事かなと認識し、キュービーに聞いてみる。すると、キュービーはそうだよと答えるかのようにラポーラに擦り寄ってくる。ラポーラもしばらくキュービーのモフモフを楽しんだ。





-----------------------------------------------------------------【ラポーラの用語講座】


「ラポール」

心理学の用語。主にセラピストとクライエントの相互の信頼関係のことで、フランス語で「橋を架ける」という意味から、心が通じ合い、互いに信頼しあい、相手を受け入れていることを表します。カウンセリングをするうえで、最も重要なスキルの1つ。最近ではカウンセリングなどにとどまらず、ビジネス、家庭などの人間関係構築・改善のために用いられることもよくあります。


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