第17話 協力者の登場

 意気込んだのはいいが、一体どうすればいい? こんな時に魔法が、必要になるとは思わんかった。

 異能を使うか……いや、あれは確かに威力は高い。

 だが、別次元の物──あの光と真正面から、ぶつけられる物ではない。

 そんな事を考えている隙に、金色の光はくる。

 今度は一つではなく、無数の数に様々な方向から来た。

 消す……いや数が多すぎる。


「大人しくしてろよ!」

「え、それって?」


 少女は面を食らっていた。

 俺は少女を抱える。

 直後、後方へ下がり──横にステップをし、全部の光を躱す。

 光は地面に直撃をし、焦げ抉れていた。


「うーんこれは無理ですね」

「おい! 自分で対処法言っといて無理って言うなや」


 こいつは無理難題を言ってきた。

 無理と言われてもな、やるしかねぇんだよ! 俺は少女を抱えたまま前進をし、再び放たれる光を当たる直前で躱す。

 光を放つ男に目掛けて、空を蹴り抜く。

 直後、音速を超える風圧が男に向かう。

 男は横にステップして避ける。

 男の後ろに居ったパージの連中は、全員吹き飛ぶ。


「危ねぇな! どんな脚力してるんだよ」

「それを避けるお前も大概だぞ?」


 流石にこれでは光を撃てないだろう。

 問題はこの少女おにもつだ。

 馬鹿みたいにこいつを、狙い撃ちされたら俺が攻撃ができない。

 さてと、一体どうした物か。


「あの、私邪魔じゃないですか?」

「お? よく分かったな。邪魔に決まっているだろ?」

「あ、ごめんなさい」


 俺の言葉に少女はバツが、悪そうにしていた。

 あーもうめんどくせぇ! 


「え?」


 少女は再び面を食らっていた。

 俺は少女を降ろし、自分が羽織っている黒いコートを、少女に羽織らせる。


「これは一体?」

「見たの通り。俺のコートだ、それを羽織って大人しく向こうに下がってろ!」

「でも、私また狙われるんじゃ?」

「俺の言葉を信じたくないならば、信じなくてもいいが、そのコートを羽織って入れば無事だ」


 少女を軽く押し直視する。

 少女は分かったのか──遠くへと行った。


「またあの少女を狙ってやるよ!」


 男は指で銃の構えをし、金色の光を放つ。

 直径十センチ程の光が向かう。

 次の刹那、光が真っ二つに切られ、俺の近くの地面が焦げ落ちる。

 右手に持っている黒い刀身の刃物を、男に向ける。


「何をした貴様!?」

「切っただけだ」


 俺の言葉は嘘偽りなく、本当に切っただけ。

 この魔滅具マナデスピアでな。

 何か合った時の為に持ち歩いた。

 まさか、こんな事で使うとは思わんかった。

 てっきり魔素の力を、貸してる協力者に使うと思っていたが、ここで使うとはな。

 少女が言っていた速く、威力の高い物には程遠いが、この刃物と俺の力があれば、簡単に対処できる。


「お前を叩き切る」

「たかが一人如きで図に乗るな!」


 男は頭に装備しているヘルメットを取り、素顔を表す。

 男は憤怒の表情をしている。

 次の瞬間、男が前進をしながら、金色の光を放つ。

 俺は居合いの形を取り、光を横に薙ぎ払う。

 光は分解され──地面に落ちる。


「ちきしょう。何でだ! さっきまであんなに苦戦をしていた癖に!?」


 奴さん──余裕がなくなってきた。

 このまま攻め切る。

 俺は落雷の踏み込みをし、疾風迅雷の速さで、男の眼前に現れる。

 流れる様に刃物を切り下ろした。

 次の瞬間、ガキッと鈍い音がする。


「ググググ」

「隊長!」

「祐二お前は下がれ、そのままあれを準備しろ!」

「了解!」


 俺の刃物をパージの隊長が、ナイフで止めた。

 男は背を向け逃走する。

 追撃しようとしたが、蹴りや拳を合わされ、追撃ができなかった。


「お前は何の為に世界を破壊する?」

「お前らには関係のない事だ」


 俺とパージの隊長の切っ先は動かない。

 結構な力を入れているのに、押し切れない。

 一体どうやって押し切る? 試行錯誤をしたが切っ先は全く動かない。

 だったらこうするさ! 左手で握り拳を作り、押し出す様に殴る。

 パージの隊長の横腹に直撃し、苦渋の表情をしていた。

 一瞬だが、切っ先に力が緩んだ。

 その隙を逃す事もなく、振り抜いた。

 切っ先は装備を貫通し、血飛沫を出させる。

 パージの隊長は切られた事により、一歩、後ずさった。

 隙を逃さずに後ろ回し蹴りをする。

 パージの男の腹部に直撃し、数メートル吹き飛ぶ。

 さっきまでの余裕と違い、顔を歪ませ腹を押さえ悶絶していた。


「カハッ、その強さがあれば国を守れるだろ」

「国を守る? 冗談じゃねぇよ! 俺は復讐する為にこの国を破壊する」

「それが……目的……か」

「俺はこの国、いや世界に価値を感じない。その証拠にお前らは、あの少女を殺そうとした」

「だったら最後に教えろ。あの少女はお前に取ってなんだ?」

「……何でもねぇよ。ただ彼奴に手を出したら潰す」


 あの少女は唯一の情報源。

 

 情報を聞き出したら、始末でも何でもすればいい。

 刃物を上げ振り下ろそうとした。

 その時! 俺の頬に電撃が掠り、血が流れる。

 手を止め、電撃の方向に視線を向ける。

 そこには銃を、遥かに越える──砲台を先程逃げた男が持っていた。

 そして一番目に止まるのは、見覚えのある人間。

 緑髪の髪に目立つ程の大剣を持った男。

 どうやら協力者の登場の様だ。










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