最終話 楽しい学校生活の始まり……?


 残された私と八神君。


 八神君はまだ隣で、口に手を当ててオロオロしている。

 その動揺する姿がなんだか可愛くて、思わず吹き出してしまった。


「ふふ……! なんだか、いつもと逆みたい」


 くすくすと笑う私に、八神君はむっとして、


「なんだよ。……だって、お前、学校に来たかったんだろ?」


 と口を尖らせて呟く。

 自信満々な彼も素敵だけど、こうやってへそを曲げる彼も同い年なんだなぁと安心する。


「嬉しい」


「え」


「私、学校に来たかった。教室で授業も受けたかった。友達も作りたかった……だから!」


 八神君の、澄んだ瞳をじっと見つめた。

 彼の目に映る私。零れる様な笑顔を見せた。


「ありがとう。すごく……すっごく嬉しい!!」


 笑う私に、彼も眉を下げて微笑み、


「ん、良かった。俺が野乃原を見ているうちは、絶対に中学校生活を楽しい事で埋め尽くしてやる。……覚悟しておけよ!」


 カッコいい捨て台詞を吐けば、生徒会室のある南校舎へと歩いて行く。


 その後ろ姿。

 しなやかな背中を見つめては、胸がきゅうっと苦しくなる。

 これは、新しい学校生活がとっても楽しくなりそうな高揚感から?


 ……それとも??






 ――しかし、幸先良さそうな学園生活は一転、大ピンチに陥る事に。


 八神君の下駄箱前で一通の手紙を拾った事によって、彼の逆鱗に触れた私。


 彼の奴隷係に任命されてしまう事になるのだった……。

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私は八神君の愛され係 さくらみお @Yukimidaihuku

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