クリスマス編 間違えた電話【side香椎玲奈】

12/23。冬休み初日、色々多忙な私は勉強、部活、私生活とスケジュールがびっしり。

今年高校生になった私は去年より明らかに忙しい。


この12/23って私には感慨深い日で、過去は小5のクリスマスパーティ。

去年は初めてケンカし仲直りしたドタバタの日で思い出深いよね。


去年私は承くんにケーキと唐揚げ作るよ!って申し出て、行き違いがありケンカ別れしたあと謝りに来てくれた承くんを家にあげてケーキを食べて貰って、パパが余計な事して…最後は手袋とマフラーを交換したなぁ。

過144話ー149話参照。  



私は仮の仮の仮とは言え婚約者(仮仮仮)が居る。

だからデートとか…不貞っぽい事はなんか生理的に嫌なのね。

だからもし承くんがデートや熱い夜…無いか。

もしデート誘われても両手をあげて歓迎!って訳にはいかない。

このジレンマどうしたらいい?


中学の卒業式後会えなかった時期を越え、再会できてロイン交換して、それなりの頻度で連絡を取り合う私たち…しかし、これと言ったデートは無いし、デートは抵抗がある…。

だからこないだのひーちゃんや望ちゃんの誘い最高!もういつでも呼んで欲しい!まあそれだけに頼る訳にはいかない訳で。



そこで!今年はね?

もうケーキ作っちゃった!って届けちゃおう!

去年だってほんとは食べたかったって言ってたし?

紅緒さんに告白だってされたんでしょ?私忘れられるわけにはいかないよ!


立花家にはひーちゃん行事や体育祭準備などで面識あるし?

望ちゃんやひーちゃんと食べて?ってクリスマスケーキ差し入れれば良い!

24でも25でも好きな時に召し上がって貰えればいいでしょ!


本当はクリスマスプレゼント交換したい…でも、プレゼント用意…うーん。

葛藤があるよ。

交換出来ないけどあげたい!でも負担になるな?

もし承くんが用意してくれたら?…無いな…まだ私たちは中学校の親しい同級生…友達?客観的に見てそうなるよ。



はあ、卒業式になんとかしておけばよかったなぁ。

これに尽きる。

ま、くよくよしても仕方ないよ!


明日の予定を確認する。

明日は12/24。

明日は松方新二さんとランチ。

断ったんだよ、12/24は家族と夜過ごすのでって。

でもどうしてもランチ!って事になっちゃって…いつもより良い店でドレスコードあるし、面倒くさいなぁ。

クリスマスイブに会うけど敢えてプレゼントは用意しないし、基本受け取らない…でも押し付けられるかもなぁ…?

それが多分午後15:00位には帰ってくる。


そしたら今日焼いた土台のスポンジをクリスマスケーキに仕上げて16:00位に承くんのお家に届けよう!

うちのクリスマスは19:00からだからママの手伝いして夜は家族で過ごせるよ!



そんな訳で12/23、夜21:00

私はやっと今日の諸々を終わらせてゴロゴロする。

さっきまでロインを処理して、必要なとこには連絡、要らない誘いには断り入れて見てたお姉ちゃんが、



姉『コンピューターおばあちゃんって知ってる?』


『なにそれ?』


わからないけど煽られてるってわかるよね。


姉『タブレットでロイン同期して、超速でタイピングして返信してるの?

チャットレディの仕事でもしてるの?』


チャットレディってなにするの?

…えっちいやつじゃない!失礼な!

優先度高いものから返信して内容の優先度を格付けして迅速に対応してコミュニティーを円滑に運営してるんだよ!って言うと、


姉『仕事中毒…私とスプラトゥース!しよ?』


『忙しいからむり。』


私は超速タイピングでロインの処理機と化してやっと自分の時間を手に入れたんだ。

よしよし、今日は21:00に仕事終わったぞ?

どうしよ、承くんにロインしようかな?バイトかな。


私はお風呂上がり、乳液でお肌をケアしてからスマホを確認する。

承くんとはロインでコンスタントにたわいも無い話をしてる。


…それが楽しいっ!なんの内容も無い学校の話とかでもすっごい楽しいの!

…細かい情報から承くんを取り巻く状況とか推理する事にも使ってるんだけどね?承くん、紅緒さんの告白以降女子にすっごい監視されてるし、男子からも注目されてる。本人はわかって無いみたいだけど…。

なんとは無く、ロインのやり取りを見返す。

9月が最初だからそんなに量は無いけどこんなに会話してるんだね?

…そう言えばこないだ一回ぶつかったね?二度目のケンカ!

仲直り出来て良かったなぁ…。


ぼんやりそんな事を思い出す。

声、聞きたいな…。


ロインのやり取りも嬉しいけどやっぱり会って声が聞きたいよ。

そう言えば私たちは電話ってしない。

いつでも好きな時に見れるロインが便利でそっちを使っちゃう。

電話…用も無いのに電話はちとハードル高いんだよね。




♪〜!!


おおお?!

手に持ってるスマホが着信で震えるとちょっとビックリするよね?!


誰だろ?

ええええ?!承くん?!しかもビデオ通話?!


私は超速で前髪を整えて、リップをシュッと引き、部屋の明かりを明るくする!

同時にん!ん!喉を整えて上記の作業を3秒でこなし、自然に自然に笑顔でビデオ通話を応答する。

お風呂上がりの私はもこもこの短めの部屋着。私は部屋着は半袖ハーフパンツとか薄着を好む。大丈夫!可愛いやつ!


まさかこのタイミングで来るとは…承くんわかってるね!


『こんばんわ?どうしたのかな?』


私はちょっとビックリした感じで出るよ…うん、びっくりはしてるからね。


承くんはあわあわしてる、

紺色に明るい青ラインの入ったジャージに黒っぽいカーディガンを羽織っている…冬は家でそんな格好なのか…ふむふむ。

あー、これ多分?


承『あ、あ、香椎さん?こんばんは。

…押し間違えてしまいました。』


何故か敬語で話し始める承くん、可愛い♪

まあそんな事だろうと思ったよ!でも逃さないよ!


『ふふー!私とのロイン見返してて指当たっちゃった?』

※自分もロイン見返してるタイミングだったくせに。


承『…うん、なんでわかったの?』


赤くなって照れる承くんが可愛くてご飯2杯はいけそう!

でも、見返してたんだ…私も!言えないけどなんか照れちゃうね?


承『ごめんね!急に夜に!

間違いだから用事は無いから…!』


終わっちゃいそう!わたしのはぐれメタルは逃げ出そうとしている!

しかし、回り込むよ!

私は小さい事の質問交えながら、去年の事を思い出してその話しをした。

去年は大変だったよね?


承『はは!そうだったよね!でも仲直り出来てうれしかったし、おうちお邪魔して楽しかったし、玲奈さんのケーキ美味しかったよ!』


嬉しいな、ケーキ美味しかったって。

仲直り出来て嬉しかったって!


去年はマフラーと手袋交換したね?もちろんまだ使ってるよ!私も!

そんな会話を交わす。

今年は…交換出来ないね…?

実はケーキを用意している!明日のサプライズ!承くんびっくりするぞ!

私はほくそ笑む。



そしたら承くんが意外な事を提案した。


承『じゃあさ?一つだけ交換しない?

お互い聞きたい事を相手に聞かない?答えられない事はあるかもだけど嘘は無しで。』



びっくりした!承くんがそんな提案?!

正直驚いた!聞きたいことがあるってこと?

私に興味深々じゃない?ふー!


内心はニマニマしてるけど顔は優しい笑みを浮かべながら了承するよ。


『いいよ、承くんは何が聞きたいの?

…私先に聞いても良い?』


何でも聞けるってなると私の中からすごい量の質問がブワッと溢れ出す…どうしよ?一個だけでしょ?!

結局私は気になって気になって仕方ないこれを聞く。



『…なんで、紅緒さんの告白断ったの…?

すごい綺麗で、純粋で真っ直ぐな女の子でしょ?

…承くんは彼女居ないんだし?』


歯を食いしばって、良い子じゃない?勿体無くない?って、自分の灰汁のようなものが出ないように爽やかに聞いた。


文化祭代休で望ちゃんのラケット買いに行った帰りのバスで、私はオドオドしながら文化祭変わった事あった?って聞いたら大変だった。

…実は告白された…でも断ったんだ。

って聞いた。それ以上は聞かなかった、いや聞けなかった。


私はすっごい嬉しかった、何も無かったよ!とか言う男の子じゃない事はわかってたけど承くんが嘘ついて誤魔化すような漢じゃないって確認しちゃった。


スマホ越しの承くんはうーんって唸って、



承『…紅緒さんはね…。』


承くんはかいつまんで紅緒さんの事を、病気で死を身近に感じながら生きてきてって話をしてくれた。

なおさら承くんなら…?絶対に嫌だけど承くんが絆されちゃうんじゃ?って背が寒くなる。

でも、彼女に!って目で見てないから…。って言う。

でも、友達以上の女の子として見て欲しいって宣言して終わったって聞いた。



『付き合ってみる…とは考えなかったの?』


怖いけど、聞いてみる。

そんなの嫌だよ!でも、婚約者(仮仮仮)が居る私が言えるわけもない。

でも、聞かずにいれないよ!



『質問は一個とは?

…まあ香椎さんだしなぁ。

笑わない?』


香椎さんだしなぁ?私がわがままみたいじゃない!

私がわがまま言うのは承くんだけだよっ!

笑わないよ?って言いながら笑っちゃうかもなぁって予感がある。


何となく私の勘がコレじゃない?って答えを導き出す。


『あ、なんかわかるかも?

私と同じかも?』


承『えー?香椎さんとは言えそんな人の心が読めるわけ…?』


じゃ、いっせーので一緒に言ってみよ?って事になった、


いっせーの、


『『付き合った子と(多分)結婚するだろうから!』』


私は多分って付けた、承くんは断言した。

ふふ!2人で笑っちゃう!


承『なんで?何でわかったの?俺そんなわかりやすい?』


『うーん、わかりやすいかな?』



2人でクスクス笑っちゃう、私たちはいつもこうなんだよね。

違うよ、いつも承くんを見てたし、承くんの事考えてるからだよ?

でも、今後離れる時間が増えて、知らないコミュニティが増えれば私の中の承くんと現実の承くんが乖離してくる…。



私は早く、この婚約者問題を解決して、紅緒さんを退けて承くんの隣に立つ女の子にならなければならない。


間違いから始まったビデオ通話はとても楽しく、素敵な時間をもたらしてくれた、

次は承くんの番、私の何を知りたいのかな?

承くんが私に何を質問するかで今の承くんの気持ちを推し量れるよね。

恋愛関係かな?学校、進路系の話かな?

何か冬休みの予定?お誘い?

妄想は広がるばかり!

もうずーっと話してられるよ!


☆ ☆ ☆

25日まで全3話です。

基本承くんと香椎さんの話です。

のぞひーも少し出るかな?

意地悪なことや悲しい事は全く起こりません、頭空っぽで読んで頂ければ幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る